1. 恒星の光度と質量
2. HR 図と恒星進化
3. 恒星の形成と収縮過程
4. 宇宙の果ての銀河の光度
5. 銀河の輝度について
星の内部は、核融合がそのエネルギー源であり、表面において 6000 度程度の温度をもつから、内部ではそれよりも高温、高圧であって 核融合の反応素材と反応生成物である、水素原子核、ヘリウム原子核、そして電子は、原子を形成せず、ばらばらの状態のプラズマ状態である。 プラズマ状態は良導体であって光を通さない。星のエネルギーは、ニュートリノ以外は直接の放射ができず、中心から表面まで熱は散乱された 伝導と対流によってゆっくり伝播する。太陽の場合、中心の変動が表面に伝わるのに半径 70 万キロを 10 万年がかかるという。 これは、じつに 7km/year、20m/day、1m/hour という遅さである。
太陽の発熱は、P-P 反応(陽子と陽子反応)という核融合反応によって起こり、その反応に最低限必要な 1000 万度という温度は、太陽の中心 付近にしかないと思われている。1000 万度は、6000度の 1000 倍以上も大きく、温度と半径のほぼ反比例関係を使えば、核反応の起きる領域は、 太陽の半径の 1/1000 程度の半径でしかない。太陽よりずっと質量の大きい星では C-N-O サイクル(炭素、窒素、酸素を使って循環する反応) という、より高い温度、数億度の必要な核融合反応が行われていると考えられている。それは、P-P 反応よりさらに中心でしか行われない反応 である。
絶対等級Mから質量を計算する式 m= 3.89*10^(-0.1194M) (mは太陽質量(2x10^33gr)を単位にする)は、表面温度を無視しているのだろうか。 ステファンの法則 5.71*10^-5 T^4 erg/sec/cm^2 から、光度は、温度の 4 乗比例である。10 倍の温度比をもつ O 型と G5 型は、10^4 倍 も違い、さすがに O 型は例外としても、F0型〜K0型の間でも 3.6 倍の違いがある。それなら上式は、全く意味をなさない。そうでなく、 質量が半径(表面積)と温度を決めると考えると、上の式に意味を与え、それは、HR 図上で一本の線になる。つまり、これは主系列を説明する かもしれないが、同じ光度の様々な温度をもつ、主系列以外の赤色巨星、超巨星、準矮星、白色矮星を説明しない式である。 m= 3.89*10^(-0.1194M)と、絶対等級の式、M= -2.5log(L/(4πr^2))+C から、光度と質量の関係は、L∝(m/3.89)^3.35。 星の寿命は、τ∝m/L からτ∝m^-2.35 となる。
(*) 約6000度 (5780K)の表面温度をもつガス体が自重で球体をなすにはその表面での大きな重力と大きな脱出速度が必要である。 太陽の半径は、70万 km(6.960x10^10 cm)であり、地球の半径 6500km の 100 倍を超える。そのため、もし太陽の比重が地球と同じなら 太陽の質量は、地球の100万倍にもなるが、それは、1.989x10^33 g であり、地球の質量 5.9742x10^27g の 30 万倍である。 重力は、M/R^2 に比例し、太陽表面の重力は、地球の 30万/100^2 = 30 倍程度であるが、位置エネルギーは、M/R 比に関係し、 30万/100 = 3000 倍である。そのため脱出速度は3000の√で 58 倍である。温度はそのままエネルギーに比例し、脱出するガスの温度は 地球のそれの 3000 倍大きい。
主系列星の性質が均質であるから、質量を与えると星のサイズと表面温度が自動的に決まると考えて、半径と、表面温度は、どのように 質量に依存するのだろう。R∝m といわれるのはどの程度正しいのだろうか。 R∝m では、2 倍の質量は 2 倍の半径である。光度の質量依存 3.5 (または 3 〜 4.5) は、どのようにもたらされた推定だろう。累乗の 3 〜 4.5 (3〜5 という数字も見掛ける) は、大きな不確定さである。
形状とサイズからは、星が球体とすると、体積は半径 R の 3 乗に比例し、放射の出口にあたる表面積は R の 2 乗に比例する。そのため 体積あたりの出口は、サイズに逆比例する。つまり、大きい星は、体積あたりの発生エネルギーは小さくても表面で同じ放射密度が保てる。 同じ表面温度の星は、体積あたりの発生エネルギーは、1/R に比例する。
半径の質量依存を k とし、半径が 質量の k 乗 に比例する (R ∝ m^k) ならば、星の平均密度ρは、ρ∝ m^(1-3k) である。小さい星と その半径が 2 倍の大きい星の質量比が 8 倍未満 (k>0.333) のとき、大きい星の平均密度が小さい星の平均密度より小さく、サイズと密度 の逆転が発生する。また、同じ表面放射密度では表面積に比例する発生エネルギーが必要であるから、質量比が 4 倍より小さい(k>0.5) とき質量あたりの発生熱が大きくなり、大きな星が小さい星よりも短命になる。
表面温度の質量依存を j とし、T ∝ m^j (j >0) とすると、L∝T^4 R^2 から、光度の m 依存は、半径の m 依存の 2 倍と Tの m 依存の 4 倍、L ∝ m^(2k+4j) となる。これで、2k+4J= 3.35(3.5) とすると、k= 1 では、j= 1.35(1.5)/4= 0.3375(0.375)、T∝m^0.3375 (0.375) だが、 デネブと太陽の間では、R= 40, m= 16.5 から、k= 1.32, j= 0.1775、R ∝ m^1.32、T∝ m^0.1775 になる。
定常的発熱 W を外に伝導する恒星内部の半径 r の温度 T(r) を考える。熱の流れが温度勾配に比例する J = -λ grad T と、 流れの発散がその点の時間的な温度変化を与える熱の保存式(連続方程式) div J = -Cv dT/dt とがあって、両者から熱伝導方程式、 Cv dT/dt = λ∇^2 T (Cv: 熱容量、λ: 熱伝導率、ラプラシアン∇^2= div grad) ができるが、定常状態では J = -λ grad T だけを使う。温度が r だけによる球対称な T(r) として、J = -λ dT(r)/dr になる。
気体の熱伝導率λは、気圧には依らず、原子分子の速度である温度の 0.5 乗に比例する。さらに 0.5 乗よりも 0.6 乗が使われる。 最初、熱伝導率を一定、λ= 1 として考え、その後、T^0.6 を使う。基本的考えは、温度の勾配に比例する熱伝導 J(r) と面積(r^2比例) の積が一定の熱の流れ W であり、熱の通路の断面積が半径の 2 乗に比例するから、流れ密度 J は、1/r^2 に比例する。そしてそれは、 温度 T(r) の微分である。
J(r)= W/(4πr^2)= -T(r)'
dT= -(W/4π) dr/r^2
T(r)= (W/4π)1/r + c
T(r) は、内部点温度が半径に反比例する部分と小さい c の和である。λ= T^0.6 を使うと左辺の dT が変わり、
T^0.6 T(r)'= -W/(4πr^2)
T^0.6 dT= -(W/4π) dr/r^2
(1/1.6) T^1.6 = (W/4π)1/r + c
T(r)= [1.6((W/4π)1/r + c)]^1/1.6
表面の r= r1 で T(r1)= T1、という境界条件をもたせ同じ表面温度では、1/r に比例する式(とその変種)であり、r=0 で発散 するため中心では何もいえないが、1/2 の半径の場所に約 2 倍(2.06)の温度である。小さい星と 2 倍大きい星があって、 大きい星の内部に小さな星のサイズの核を考えるとその温度は、表面の約 2 倍の温度である。表面温度の等しい大きな星の内部は、 小さな星の内部温度より温度が高く、温度は恒星の中心からの距離にほぼ反比例する。これは、中心だけから熱が発生し、熱の流れが 定常で半径によらないと仮定し、熱伝導率の温度依存性を 0.6 乗とした恒星内部の単純な熱伝導による推定がもたらす結果である。
この話の骨組みは、J= -λ grad T であり、通路が r^2、流れは一定から、温度の r による微分が熱の流れであるため、熱の通路の 逆数 1/r^2 の積分 1/r となる。これは中心で温度が無限大になるような単純なモデルである。3 次元球対称だから 1/r だが、 線状の熱導体では線形、面状の熱導体では対数に線形になる。
距離は、数 100 パーセク以内の恒星では年周視差による 3 角測量ができるが、遠方では精度は低下する(*1)。遠方の恒星の距離は、 セファイド型変光星以外、距離推定の方法がない。1910 年 G.リービットによる小マゼラン雲中のセファイド(ケフェウス変光星)の 測定から周期と光度の関係 (2 倍の周期に 1.7 倍の光度(-0.6m)) がわかったが、そのように、その恒星が距離の判っている星団に 属すと仮定できればそれによる。
恒星の質量は、距離がわかっている 2 重星 3 重星では、軌道周期から推定できるが、単独星の質量は類推でしかない。 2 重星の重心からの距離 r を太陽地球間の半径(AU)単位、軌道周期 T を年単位、質量を太陽質量単位にすると、M = r^3 T^-2 となる。 重力=遠心力から GMm/r^2 = mrw^2、GM= r^3 w^2。ケプラーの第 3 法則、惑星の軌道半径と軌道周期との関係、T^2:r^3 一定は、 太陽の M 一定からくるが、本来、中心質量 M に依存するのであり、r と T から M を求めることができる。
恒星の距離には不正確さが残るだろうし、その半径の推定はさらに難しいものであろう。恒星は、地上の望遠鏡では点にしか見えない。 恒星の半径の直接測定は恒星から光の干渉性によって求めると昔聞いていたが、最近、HST によって近くの巨星(ベテルギウス、ミラ)に 限られるが、恒星の直接像が得られるようになってきた (*2)。
もし、太陽と表面温度が等しく半径が 2 倍の恒星は、表面積が 4 倍であるから光度が 4 倍、そして体積は、8 倍である。もし、恒星の 平均密度が等しいなら、質量 8 倍と、放射 4 倍とから、寿命は、質量/光度(M/L 比)であり大きい星が小さい星の 2 倍になる。 もし、大きい星の平均密度が小さい方のちょうど 1/2 とすると、質量比が放射比と等しくなり寿命は等しくなる。現実が、両者の間にあれば、 大質量星が小質量星より一般に寿命が長くなるが、これは普通に言われることの逆なのである。
半径が 2 倍大きい星の寿命を小さい星の 1/2 にするには、密度を 1/4 として質量を小さい星の 2 倍まで小さくする。 それは、2 倍の半径の星が 2 倍の質量、R ∝ m の関係であるが、1/4 の密度の星に全体で 4 倍の発熱させるのである。体積は 8 倍だから、 体積あたりの発熱量は 1/2 だが、質量あたりの発熱は、2 倍である。このことは、密度が低くても温度が高ければ反応速度は大きいという 激しい温度依存性 ∝ T^15 があるから、少しでも温度が上がれば不可能ではないが、その任意さは、R∝ m を導く"ためにする"議論かも しれない。大きな星の重力は、小さな星より密度の高い内部を想像させる (それは、R ∝ m^0.333 以下に対応する。) という常識から乖離した結論を要求しているとみることもできる。
光度が質量に比例する以上に増加して初めて質量の大きい星は寿命が小さい。その光度の質量依存性に 3.5(3.35)乗という数字がある。 光度 L ∝ m^3.5 なら、寿命τ= m/L ∝ m^-2.5 となる。しかし、この 3.5 とかをまだ説明できていない。要するに、サイズの増加とともに 面積よりも体積が速く増加し寿命は長くなる一般的なスケール則は、恒星において成立しないと十分に納得できるかである。
(*1) ヨーロッパ宇宙機構 ESA のヒッパルコス (Hipparcos) 衛星 (1989年8月〜1993年 6月) は、約 12 万個の恒星の年周視差を 1/1000 秒角
精度で測定した。その精度では 1000 pc までしか測定できず (1000 pc での誤差は 100% である)、100 pc で 10 %程度である。予定の
静止軌道への移行に失敗し、近地点 500 km 遠地点 3 万 6000 km という超楕円軌道になったため、測定計画全体が修正され、出版(1997年)
された測定結果の信頼性にも疑問が多く提出された。133 pc 程度のプレアデス星団の距離にさえ議論がある。
http://arxiv.org/abs/astro-ph/0408370
http://arxiv.org/abs/astro-ph/0412093
http://arxiv.org/abs/astro-ph/0505431)
(*2) 1995年のHSTの観測によってオリオン座の左上肩の赤色巨星ベテルギウス(Betelgius)と変光星クジラ座ミラ(Mira)の直接像が得られている。 APOD の Archiv の 2001年1/21、2006年7/22、2007年2/21 などにある。
伝導方程式から恒星内部温度の T(r)∝ r^-1 と、ステファンの放射の法則からの同じ放射を実現するための表面温度 T(r)∝ r^-0.5 と が異なる累乗をもつが、両者を併用すると光度が恒星表面の半径 r を決める式になる。T= (W/4π) 1/r を、T^4 (4πr^2) = W に代入し、 (W/4π)^3 = r^2、r= (W/4π)^3/2。半径が放射の 1.5 乗に、温度 T は、放射の -0.5 乗に比例し、H-R 図上では右上りの線になるため、 主系列の線が出ると思ったが、この考え方に現実性はないと思われる。
(項末まで 2016/3/5 修正) 恒星の質量について、温度と圧力とがどう密度をもたらすか。半径に依存する密度ρ(r)は、ボイル・シャルルの法則 PV = nRT で、 nR/V= ρ/m 密度を原子量mで割ったものであるから、P= ρT/m。体積 V 一定のときのように圧力 P が温度 T に比例する場合、 ρは T との関係を失い、密度 ρ(r) 一定になる。
仮りに P が T の 2 乗に比例するとき、ρ(r)∝ r^-1 になるがそのとき、恒星の質量 M は、M= 4π∫r^2ρ(r)dr の 0〜r1(表面)の積分であり、 M ∝ 2πr1^2。質量はr^2に比例する(M ∝ 2π r^2)。これから、M∝ L^3、L∝ M^0.333 となる。
密度ρ一定なら、質量は半径の 3 乗比例である。M ∝ r^3, r∝ L^(3/2) から、M∝ L^(9/2)、L∝ M^(1/4.5) となる。両者ともに、光度が質量の 1 乗よりも小さい累乗になるため、大きな星は寿命が長いという結果である。L ∝ m^3.5 を求めたいのに、この結果は累乗がその 1/10 である。
恒星では圧力P(r)勾配と重力がつり合う。
dP(r)/dr= G M(r)/r^2 ..........(1)
質量M(r)は、中心 r=0 から半径 r までの球殻 4πr^2 ρ(r) の積分。
M(r)= 4π∫r^2ρ(r) dr ..........(2)
圧力P(r)は、微分が重力である、重力ポテンシャルM/rと相似。(2)を(1)に代入し、P= ρT/m を使って、
rP(r)= -4πG ∫r^2ρ(r) dr ..........(3)
ρrT/m = -4πG ∫r^2ρ(r) dr
(ρrT/m)' = -4πG r^2 ρ ..........(4)
熱伝導から単純に (rT=一定) と近似して、rT/m = c1 とすると、
ρ'= -4πG/c1 r^2 ρ
ρ'/ρ= -4πG/c1 r^2
log ρ= -4/3πr^3 G/c1 + c2
ρ= ρ0 exp(-4/3 πr^3 G/c1), ρ0= exp(c2) ...........(5)
密度ρ(r)は、-r^3 を肩にもつ指数関数である。ρ0は中心密度。 (2016/3/05 修正)
以上、初歩的段階よりも、 ArXivには、 よい文献(http://arxiv.org/abs/math/9703214) があった。 (2016/3/12 修正)
昔、考えられたのは、これを時間的並びとするものである。つまり、星の進化の流れをそのままに見るものだとする。 それは、主系列の左上から右下へ、青く耀く早期星から赤く暗い晩期星への変化である。この早期星、晩期星という言葉は、いまも使われる。 この考え方は、興味深く、星の進化のありさまがそのまま図になっているなら、これほど分かりやすいことはない。 存在分布が時間的分布で、集合平均が時間平均である。星の進化の過程はすべて見えていることになる。 ところが、HR 図が現在の存在分布のスナップショットでしかないなら、星の進化がこの図と関係ないという考えも可能になる。 星は、この図の上に現れ消えるだけで、存在分布は、星の進化の上の安定期しか見ないとするのである。そしてその考え方では、 この存在の分布図に現れないほどに急速な、又は暗い進化の過程があるということになる。図に存在しないものを利用するこの考え方は、 正しいのだろうか。図に見えているものを存在の変化と見ないのは、基本的な誤りかもしれない。
昔の星の進化説は、主系列の左上から右下への進化であり、青く明るい星から赤く暗い星への変化である。温度が高い青く若い星が、 徐々に歳老いた赤く暗い星になるとする。それは、なにか自然の生物の加齢の過程と一致するものであるが、過程は燃料終了とともに終わる。 それでは、過程は1段階であり、水素の核融合によってヘリウムができ、ヘリウムの次の過程がないことになりそうだ。 主系列星以外の、例えば赤色巨星から青色巨星までの列は、はっきりと別の並びになっている。それが説明できない。ヘリウム以降の変化も 主系列星の中で起こっているとしては、それらの系列間の質的変化を持ち得ないのではないか。
逆に、主系列が右下から左上への進化なら、弱く赤く暗い星が、中心温度を徐々に増大させて青く耀きその最期を遂げるという変化である。 これは、質量が増えるように思えるから否定されるのだろうか。質量推定の方法を調べたほうがよい。主系列中の青い星は、本当に赤い星より 質量が大きいのか。主系列は、質量一定の直線よりも多少左上がりとされるが、それが確かなら、主系列を左上にいくのは、星が核反応によって 光と熱を放出しているのに、なぜか質量を少々増加させているということになる。温度上昇は、水素がヘリウムに変化し、ヘリウムがその他の 元素に変化する反応が徐々に並行して進行するという説明になる。核反応の過程は、連続的と考えることになるが、そうすると、青い散開星団は、 実は歳老いた星たちの集合であり、球状星団の星々は若いものになる。これは、常識のひっくり返しである
一般の考えは、水素からヘリウムに変わる融合を利用した主系列は、そのうち中心核にヘリウムが溜り、中心核は収縮し外側の水素殼は膨脹し、 ヘリウムを融合する反応が始まるのは、赤色巨星になるときであるとする。中心核は、全体の10万分の1のサイズになるという。 主系列から赤色巨星までの変化は、非常に急速で HR 図に現れないなら、それを確認する方法もないことになるが、いままさに変化している星を 見付けてもよいのではないか。その後の超新星爆発現象による巨星から白色矮星への変化が捉えられるようにである。 この考え方のモデルシミュレーションで散開星団の HR 図が再現されるというが、本当だろうか。
物質が用意されたとしても、前世代の超新星爆発から今の太陽系が形成されるまでの収縮に必要な期間を考えると、太陽系が第 2 世代という 確信は、なくなる。散乱した微細な原子、分子を結合するには、サイズの小ささから重力でなく、光圧が最も強い引力を与える。宇宙空間の光圧は弱い。 太陽系の原子分子の集合過程は、通常の星が光を放つ期間よりもオーダーとして、十分長い期間が必要に思える。物理的な過程は一般に、 発散は短時間で、収縮過程は長期である。数年間土中に幼年期をすごし成虫で数週間しかいない蝉のように恒星は、物質のサイクルからみると、 核融合に点火して光る期間はその一部ではないかと思う。これは光るのを待つ通常物質ダークマターの量に関係する。
太陽質量の水素がヘリウムに変わるエネルギーと現在の太陽のエネルギー放出率からみた寿命は、1000 億年である。太陽の質量 2*10^33 gr の水素がヘリウムに変わるエネルギー効率 0.7% と現在の太陽のエネルギー放出率 4*10^33erg/sec からみた寿命は、E= mc^2 から、erg と gr と cm/sec で、2*10^33*0.007*(3*10^10)^2/4*10^33 = 3*10^18 sec = 10^11 年、1000億年となる。
これが宇宙の進化説からは、宇宙進化のスケールより大きいため、恒星の全ての水素がヘリウムに変わるのでなく、恒星の中心核だけが ヘリウムに変るとして太陽の寿命を 1 桁下の 100 億年にする。それほどに恒星の効率を低く見る必要はないのではないか。 さらにヘリウム以降の反応の期間もあって、それを極端に短く見積もりすぎではないか。その根拠も全くないのに、現在が太陽の活動の中期 であり、最も活発に反応しているとされるが、他の期間は、もっと緩やかだとするだけでも寿命はもっと長くなる。
輝く物質の N 倍の通常物質ダークマターがあるとき、物質が恒星を経る周期は、星の寿命の N 倍であろう。これは、単純な算数だが、 もしも定常を前堤にして、すべての物質が循環するとするなら、時間平均が集合平均に一致するエルゴード仮定が満たされない理由はない。 そうすると、前世代の超新星爆発は、そのぐらいの昔となる。太陽の寿命が星の物質平均の輝く期間の代表になるかどうかは不明であるが。
恒星の収縮過程では、超新星爆発で飛散した物質は、その重力ポテンシャルの井戸を出ると速度が落ちるだろう。さらに物質が互いに衝突して 相対速度を落し、ガスの中心の重力に捕捉される。それから、さらにぶつかり合って速度を落し、中心に落下し塊を作る。 稀薄なガスが重力中心を見いだす重力捕捉速度を次のように考える。ガスの塊が周辺よりもΔρだけ密度が高いとすると、重力ポテンシャル -GM/R = -4π/3 GΔρR^2、これが、-v^2/2 より大きく √(8π/3 GΔρ) R > v の場合にガス塊は重力捕捉される。 v= √(8π/3 GΔρ) R を重力捕捉速度とすることができる。
この重力捕捉された物質が収縮するのに要する時間を、重力系の崩解時間として、t_c 〜 R/v 〜 (Gρ)^-1/2 とする驚くべき説明が方励之、 李淑嫺著の "Creation of Universe" 1989年 (邦訳、"宇宙のはじまり"、佐藤文隆、青木薫訳、講談社ブルーバックス 1990年) にある。 "超銀河団いまだ完成せず"という標題の説明にこれらの式を説明し、太陽系で、R= 50 AU とし、57年、銀河系では、6600万年、超銀河団では、 380億年という崩解時間を示す。彼の使用する宇宙年齢は 200 億年であり、超銀河団は、まだ収縮が完成していないとする文脈である。(*) 半径 R をその重力捕捉速度 v で割った R/v は、最短で集まることのできる時間であり、その一定速度で中心に向かった場合の到達時間 である。それは、一回の軌道周回時間より短く、物質が収縮する時間の推定としては、余りにも短い方に偏った推定である。まず、その速度では、 周回し続け、収縮することができない。収縮が実際に起こるためには、物質同士の衝突で速度を消すための、ρかその 2 乗に反比例する期間 が必要である。それは、R/v で見積もる期間とはまったく異なる長期の時間であろう。それを定める考え方を作る必要がある。
それ以前に、太陽系のもとになるガスの半径を 50 AU とするのは小さすぎるだろう。それは、現在の惑星系の大きさである。 ガスの半径を、隣の星までの距離の半分、約 0.5pc = 100000 AU とすると、半径 R は、2000倍、密度ρは、8x10^9分の1になる。 それほども密度が違って来るのである。そして収縮時間が (Gρ)^-1/2 に比例すると、8.94万倍になり、57 年は、5.1 x 10^6 年になる。
温度からくる粒子速度を考えると、温度 T のとき、質量 m の粒子の速度は 3/2 kT (1自由度に 1/2 kT) の平均運動エネルギーをもつ。 ボルツマン定数 k= 1.3806 x 10^-16 [erg/K]、陽子、電子の質量、m_p= 1.6726 x 10^-24 [gr], m_e= 9.1093 x 10^-28 [gr] を使うと、 粒子速度は、v= √(kT/m) で、陽子のとき v_p= 0.9x10^4 √T [cm/sec/K] である。(電子の速度は、√1836.1= 42.85倍大きい。) T= 300 Kの常温で 1.56 km/sec、現在の背景輻射の温度 T= 3K で 156 m/sec であり、太陽系の重力捕捉速度より大きい。 太陽系が水素ガスから始まるのには、現在の背景輻射温度ですら、重力捕捉速度を超えているのである。
(*) 超銀河団が重力崩壊をしていないことは、その形態から明らかであるが、それゆえに宇宙に始まりがあるという論旨から短さを必要としたよう であるが、じつは、天体形成に要する時間は、この "崩壊時間"の 10 万倍も 100 万倍も必要で、そしてそこに彼らが短さを必要とした理由がある。 宇宙に始まりがあると、現実に存在する銀河系そして太陽系の形成自体が間に合わない可能性が初めて存在するからである。そして、泡のような 大規模構造は、現実の形態形成の時間が間に合わないことも明らかであろう。
宇宙膨脹の非平衡を仮定することによって、これが容易になるとは思えない。宇宙膨脹の中での収縮は、さらに困難で時間がかかると 思うべきである。なぜなら、ある永い時間をかけて、膨脹が局所的に停止した領域ができても、それはまだ収縮ではない。収縮はそこから 開始しなければならない。つまり、前期過程がさらに増えるのである。 さらに、それがビッグバンから現在までの1/10、1/100の時刻に起こるなら、そのときの宇宙の平均温度は、絶対温度27度、270度であり、 ガスは、そこまでしか冷却できない。輻射の光圧は現在より大きいため有利であるが、 冷却の底辺となる周囲温度が高いために収縮過程は現在の宇宙よりも困難で長期となるだろう。
収縮をはじめる水素は、中性水素ガスでなければならない。陽子の電荷は、互いに反撥するから電子と結合してからでないと、 次の結合、水素分子の形成はないだろう。つまり、電離水素ガスは、中性水素ガスになってから収縮をすると考えられる。 電離水素ガスが中性水素ガスになるのには、輻射の低下が必要である。輻射がなくなって低温になっても、まばらな星間ガスでは、 陽子と電子の結合は起こりにくい。稀薄な電離水素ガスは、ほとんど光を吸収しないし吐きださない。銀河平面付近の 2〜3cm^3 あたり 1個の水素原子、5〜8 x 10^-25g/cm^3 という稀薄さでは、電離ガスが中性水素ガスに変る期間も考慮する必要がある。
1cm^3 に1個の密度では水素原子程度のサイズ(ボーア半径0.528Aの2倍) 10^-8 cm の断面積なら、平均自由行程は、L= 10^16 cm になる。 相対速度が 10km/sec でも 10^10 sec 毎の衝突になる。粒子あたりの衝突の平均時間間隔は、L/v に比例し、 (体積あたりの輻射作用は L/v/ρ に比例する。) v= √(T/m)だから温度低下につれて時間がかかることになる。 衝突による速度減少率(反撥係数)を一定の r (例えば 1/2)とすると、稀薄なガスがある速度にまで低下するには、 最初の大きな速度に関係なく、ほぼ一定の期間が必要になる。
銀河系とアンドロメダ銀河までの距離の半分、230 kpc(2.3 x(3.084 x 10^13 km)x 10^5 = 7.09 x 10^18 km) を半径にする原子ガス雲の体積は 4x3.14/3 x (7.09 x 10^18)^3 = 1.486 x 10^57 (km)^3 である。銀河系の質量を 1x10^11太陽質量= 2 x 10^33 x 10^11 = 2 x 10^44 gr とすると、 密度は、ρ= 1.345 x 10^-13 gr/(km)^3= 1.345 x 10^-28 gr/cm^3 になる。先の太陽系ガス雲密度の約 1/5000 である。 半径は、230 kpc で先の 0.5 pc の 46万倍である。重力捕捉速度 v= √(8π/3 Gρ) R は、1/70.7x460000 = 6506.4 倍になる。 平均自由行程 L は 5 x 10^3 倍であり、重力捕捉速度 v は、6506 倍だが、最終速度 v1 を太陽系と同じにすると、L/v1 は、5000 倍。 1.5 x 10^10 yr (150億年)の 1/(1-r)倍である。密度からくる平均自由行程は、ある程度意味があるが、最終速度 v1 を決めるすべを得ないと、 すべては r と v1 に依存するからなにも決めないのと同じである。
太陽系の重力捕捉速度、100m/sec を最終速度とするなら、銀河系の形成と太陽系形成は連結して考えることができる。その場合、 銀河系形成の L/v1 は、太陽系形成の 5000/100 = 50 倍の時間になる。1.5 x 10^8 yr = 1.5 億年の 1/(1-r) 倍になる。r= 0.9 なら 15億年、 r= 0.99 なら 150億年、r= 0.999 なら 1500億年である。
原始銀河系ガスの半径230kpcの重力捕捉速度は、651 km/sec であり、これに対応する温度は、5200万度である。この温度自体は、 銀河団の内部にあるX線を放射するガスの存在が確認されているから、意外でもないが、この温度では、稀薄なこのガスは、 プラズマ状態であり、水素原子を形成しないだけでなく、重力収縮して銀河や、恒星を形成するのでなく、核融合を起こして 発熱する温度である。この温度より十分小さくても問題がないわけであるから、この温度である必要はないのだろうか。そうではない。 現実の温度が低ければ、現実の銀河系より小さな矮小銀河を生むだろうし、これより高い温度では、より巨大な銀河を生むだろう。
現在、太陽系には恒星が耀き、太陽風によってガスは吹き飛ばされてしまって、そのガスはないとされる。 太陽半径 6.960 *10^10 cm と、太陽質量 M= 1.989 * 10^33 g を使って、物質の量が変わらず、ρR^3一定から太陽系のもとのガス密度を 計算する。太陽平均密度を 1.4(g/cm^3)とし、太陽半径を半径 0.5pc の球体に拡げると 1.4/(1.5*10^13/7*10^5)^3= 1.4/(2*10^7)^3= 1.7*10^-22 これは、現在の値 (恒星間ガスは 5〜8 x10^-25g/cm^3)より3桁大きい。太陽が近傍恒星より大きめを考慮し半径を 1pc に拡げても 2.2* 10^-23 となり、まだ2桁大きい。昔はガスがあったと考えるべきか。ガス不足は、太陽風による太陽周辺だけの局所現象ではない。
銀河中心からの衝撃波によって、点火期間は、加速できるかもしれない。しかし、恒星の収縮過程が恒星の寿命よりずっと短時間という説 には、根本的な無理がある。ビッグバンからの時間に間に合うには、数億年で収縮しないといけない。46億年前の太陽系完成までの残りの 時間をすべて収縮期間に充てることはできない。以前 50 億年と言われ、今20〜10億年になった、銀河形成の同様な永い期間と、物質を 用意する超新星爆発サイクル期間が必要だからである。宇宙の初期に重い星が多く、超新星爆発による世代交替が速かったという証拠はない。 天文学は、ビッグバンからの時間に収容することを要求され、急がされている。時間がかかりそうな過程を、非常に容易に通過するように する。そうでもしないと、とてもその時間にはいる訳がないからである。最近はその矛盾が早期の時期に集中し、恒星形成、銀河形成を 圧縮している。
2003年9月28日、放送大学の"宇宙の観測"(講師は川辺良平氏)で、最近の恒星の始まりの考え方を知った。ガスは分子雲を形成する (10万〜100万年)。原始星を形成する(1万年〜10万年)。ダスト円盤(デブリ円盤)と両極へのアウトフロー放出をするTタウリ型星を形成する (1000万年〜2000万年)。そして主系列星になる(>1億年)。という昔よりさらに急速な恒星形成を考えるのである。 Tタウリ型という独得な天体を、すべての恒星の形成の段階と考えるかどうか疑問だが、(というか、とてもそんなことは信じられないが) このように急速な恒星形成を考えなければならなくなった理由は、いわずもがなである。
(1)宇宙の果ては、銀河間の塵によって 99% 覆われているのかもしれない。塵による減光は、距離に比例する等級変化が 1.25 等級/Gpc になり、すこし大きすぎる。銀河系や、アンドロメダ銀河は、数ある銀河のなかで、超巨大銀河(-19 等以下)に属す。中位の銀河は、 アンドロメダに比べ5〜3等級暗い。深部探査の銀河達を中位銀河とみなすと、29.3〜27.3等級になる。予測からの誤差は、0.7 〜 2.7に減る。 4Gpc の塵による減光を 2 等級とすると 0.5等級/Gpc、銀河内太陽近辺の光の減衰 0.5等級/3kpcに比べて、約 6 桁少ない。
それ以前のハッブルの測定、銀河の分布が一様で、宇宙が透明とするときのゼーリガーの式、等級 m+1 までと等級 m までの銀河の個数比 N(m+1)/N(m)= 3.98 (1等級差は、2.512倍、距離比は√2.512。個数比は距離の3乗、(2.512)^(3/2)= 3.981) からの偏りが微小で偶然的から、 塵の密度は、10^-31〜10^-32 g/cm^3 を超えず、"わが恒星系の主平面ちかくでの星間ガスよりは、100万倍も薄いことが必要。"に合う。
(2)普通の宇宙原理からいって、銀河系やアンドロメダ銀河を超巨大銀河とせずに平均的な銀河と考えるか、深部探索で見えた銀河達が平均よりも かなり明るいものと考えると、 5等級の差に戻ることになり、宇宙の果てが5等級、100倍光度が低下する距離、つまり10倍宇宙の果てを 遠ざけることが合理的になる。ハッブル定数を 1/10 にし、宇宙の始まりの時期を10倍過去に伸ばす大変なことになるが、 銀河系とアンドロメダ銀河以遠の銀河の距離推定に使った道具を疑うだけですむ。
(3)宇宙が平坦でなく、曲率が正で空間的に閉じている場合、遠方の光は、宇宙自体の凸レンズ効果で距離の2乗に反比例よりも明るくなるし、 反対に曲率が負であるなら凹レンズで遠方が暗くなる。宇宙が透明で空間曲率が正なら、ある距離まで空間が拡がるが、それより先は空間が 狭くなり、遠いほうが明るくなる。そして最大距離には一点からの光が収斂する、対極点がある。対極点の存在は、宇宙の光学に異常な性質を 帯びさせるはずで、定常有限宇宙のオルバースのパラドックスを生む。アインシュタインの定常宇宙にもこの問題は残る。 現実の宇宙においてこのような性質は、全く確認されていないし、曲率が負であることが、宇宙の果てを暗くさせる。 曲率が負であることが減光の理由かもしれない。
(4)ドップラーシフトも、塵なしに遠方の光度を下げる。遠方では光の速度に近づくに従って、際限なく光度低下をもたらす。 銀河のスペクトル型(F2〜G4)がシフトされ、可視光領域に入るものが変わることで光度が変化する。 しかし、宇宙の果ての銀河が、本当にどの程度遠方かによる。銀河の赤方偏移の値があれば、議論できるだろうが、 スペクトルが得られたわけではない。
1995 年からのハイゼットチームによる40〜70億光年の50個ほどの銀河での超新星爆発の赤方偏移と明るさの比較で、予測より平均 25% 暗い ことから斥力項の存在を確認したとする話と比べれば、大きな誤差であり、説明は容易でありうる。彼等は、たった25%の誤差から斥力項を 結論する。塵の関与分、赤方偏移自体の減光分の計算もしない。
前章から永くなるが、最近、読んだ論文 http://arxiv.org/abs/astro-ph/0310214 から、赤方変移の別の説明と、銀河の輝度について少し要約引用する。
1929年ハッブルと1929年 ヒュ−メイソンによって遠方銀河ほど大きな赤方偏移があることが分かった。 ハッブル自身、宇宙膨張の考えは持っていず、"赤方変移は宇宙の膨張によるものではないと思われるから、宇宙構造の考察の多くは再考が 必要だろう。" と述べたことは、よく知られている。彼の次の世代がそれを膨張の直接の結果と思ったのである。 一般相対論が宇宙膨張を説明し、その他の説明は、正統の理論からそれほど受け入られなかった。ドップラー効果以外に赤方偏移をさせる 代替理論は多くあり、重力赤方変移、時計的宇宙論、可変質量仮説、慣性の誘導、時間の加速、不完全光伝播 (tired light説)がある。
tired light 説について、銀河間の媒体による光子のエネルギーの損失というアイデアは、1929年 Zwicky によって示唆され、彼によって 長く防御された。ネルンストNernstは、1937年に輻射が光エーテルによって吸収されるという仮定のモデルを開発した。20世紀の半ば Zwicky は、tired light 仮説が発展できるように手入れをした。しかし2つの問題があった。1)φ-bath は光源からの光のコヒーレンス を汚し、遠方の物体がぼける。2)散乱現象は光のエネルギー損失が周波数に依存する。Vigier は、真空を共変超流体として扱うメカニズム を提案した。これは上の2つの欠点を持たない。また、インコヒーレント・ラーマン散乱は、同じくドップラー効果をエミュレートする。
(中略)
遠方銀河の明るさには、 Hubble と Tolman による Tolman test がある。赤方変移が宇宙の膨張によるのか、別の原因によるのか判別できる のである。銀河が本当に速度をもって後退している場合、銀河の輝度は、I = const - 4 log(1+z) + 0.4 K そうでない場合、 I= const - log(1+z) + 0.4 K という。実際の測定は非常に難しい。最近は、Sandage によって 1991 年と 2001 年に報告が出されている。 2001 年の Lubin & Sandage は、(1+z)^-n の n を測定から求め、Ω_M = 0.35, Ω_Λ = 0.65 のモデルでは R-band では、n = 2.28+-0.17, I-band では、n = 3.06 +-0.13 とし、静的宇宙では、 R-band では、n = 1.61+-0.13, I-band では、n = 2.27 +-0.12 とした。 宇宙の進化分を加算して n = 4 になるとし、tired light では進化分が加算できないし、加算は正であるべきで tired light は否定されたとした。 これに対して、著者は、n = 1 (静的宇宙), n = 2 (Tired Lightでは、視線方向以外にもう一方向にでるので 2 という。)に近く、 銀河の進化の分が常に正にでるという根拠はないとして静的宇宙と、tired light の可能性を否定すべきでないと主張している。
(以上、引用)
Tolman test が容易でないのは、遠方銀河は、フィルタを通した幾つかの画像でしかなく、それの赤方変移も粗い推定であり画像も小さいので 面積も正確でないからであろう。絶対等級が等しい銀河があって、等しい大きさを持ち、静止している場合、ユークリッド空間で、赤方変移が ないとき、距離によって光度は、距離の 2 乗に反比例して低下するが、銀河像の面積も同じ比率で小さくなるから輝度は変らない。輝度の変化は 次によってもたらされる。(0) 空間の曲率による輝度の変化。(1) 銀河間の塵による輝度の低下。(2) 赤方変移による輝度の低下 1/(1+z) である。 光のエネルギーが周波数に比例することから周波数の低下がそのままエネルギーの低下になる。(3) 赤方変移が後退の速度によるドップラー効果 であるとき、これは違って来るのであろう。
特殊相対論のドップラー効果は、光源が速度 v をもって遠さかるとき、ν'= ν√(1-v^2) /(1+vcosθ) θは、視線方向の後退速度 v との角度、 θ= 0 では、ν√(1-v^2)/(1+v) = ν√((1-v)/(1+v))、側方向では、ν'= ν√(1-v^2)= ν/γ になる。赤方偏移の直接のエネルギー低下だけでなく、 後退速度の本当にある場合、どうして (1+z)^-4 比例だろうか。赤方偏移自体の減光が、(1+z)^-1。ハッブルの法則があれば、距離が (1+z) に比例し、 光度は、距離の 2 乗に反比例するから (1+z)^-2 。速度は、さらにエネルギーを削減し、その分が (1+z)^-1 これらを掛けて、(1+z)^-4 であろうか、 これでは、銀河の輝度でなく光度になるが、(1+z)^n は、光度の話で輝度ではないようだ。 Sandage らの論文はざっとみると、50km/Mpc という 自分主張のハッブル定数を使って、4 部に別けた大部の論文を使って膨張説を主張する。それは膨張の証拠へ危機感を示していると私には思える。