さるの雑木林 |
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↑ヨザル
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【食性】ヨザル亜科とオマキザル亜科が雑食性。あとは植物食。 |
同じオマキザル上科に属する、マーモセット科のサルも、あらかじめ樹に傷を付けておいて翌日に樹液をなめに来るなど、未来を考えた行動をしている。新世界ザルは非常に賢い。 |
オナガザル科 旧世界ザル(狭鼻猿) |
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【分布】アフリカとアジアにそれぞれ30種類ずつ分布していて、アフリカには圧倒的にオナガザル類が多く、アジアには両方多くの種類がいる。 【特徴】全ての爪が平爪で、しりだこを持ち、全て尾を持つが長さは種によって長短ある。特徴的な大臼歯の形。 出産数は1子。昼行性。遊動生活者。四足歩行。尾は長くとも把握能力はない。手先は器用。(地上での生活も関係して、より幅広い生活環境は、指先で物をつまめるようにまで進化させた)歯式は2・1・2・3/2・1・2・3。 【社会構造】僅かの例外以外は群れをなす。雄が集団間を移籍する母系の単位集団。複雄複雌型の場合、雄の間に順位性があるといわれる。 また、雌の間に順位性が見られることも多い。が、この考えもいま再検討中とのこと。 |
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【種類】オナガザル亜科 【食性】雑食性。【特徴】ほおぶくろを持つ。地上を利用することが多い。地上ではゆっくり食べ物を咀嚼する暇がないから、ほおぶくろが発達したと思われる。生活環境は森林・サバンナ・草原・半砂漠と多種多様。(寒地に適応したのは最北に生息するニホンザル)地上に進出することで適応放散したグループ。 マカク属Macaca アフリカ北西部(バーバリモンキー一種のみ)とアジア南部。マカクの古い化石はヨーロッパで発見される。もとは地中海周辺のサル。 ヒヒ属Papioアフリカと西南アジアにすむ地上性のサル。肉食もある。異種間で混血することも。ゲラダヒヒ・マントヒヒは草原に住み集団のなわばりは完全に重複し、特定の岩山や崖を共通の泊り場として用いることがある。 他にアフリカにすむマンガベイ属Cercocebusとアフリカにすむマンドリル属Mandrillus、オナガザル(グエノン)属Cercopithecus(サバンナモンキーはサハラ砂漠以南のサバンナ地帯に生息、地上生活を営む)、タラポワン属、アレンモンキー属、パタスモンキー属、ゲラダヒヒ属(独立に分類することもある)が分類される。 |
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ゲラダヒヒとマントヒヒの重層社会構造 ゲラダヒヒのBSUは4〜5頭の単雄複雌の母系であるが、その集団が2〜3集まってチームを作り、約3チームが集まってメンバーのほぼ安定したバンドを作り、さらにバンドのいくつかが自由に集まって400頭ほどのハードを作る。マントヒヒは単雄集団のユニット、クラン(血縁集団)、バンド、トゥループの4層が認められている。トゥループでは、750頭になることもある。 |
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伊谷純一郎氏によると、BSU(basic
social unit)は種に一つだけあり、複数あるように見えるのは、どちらかがより発展的構造であるだろう。また、このBSUは近親婚回避機構と深い関わりを持つ。BSUは6種あり、双系(雌雄ともに移出・移入)、母系、父系、単婚、一夫多妻、多夫一妻である。伊谷氏は単婚つまり、ペア型こそ、原点であると考えている。 |
【種類】コロブス亜科【食性】リーフ・イーター(葉食性)。【特徴】森林に住む樹上生活者。(ハヌマンラングールをのぞく)くびれのある胃をもち、バクテリアの助けによってセルロースを分解・消化している。 コロブス属Colobus アフリカに生息。広鼻猿類のクモザル同様親指が退化してしまい4本指。だから「ちぎれた(コロブス)」というラテン語が語源。 ラングール属Presbytis アジア南部に生息。 その他、アフリカにすむオリーブコロブス属、インドシナ半島にすむドゥクモンキー属、中国とベトナムに生息するシシバナザル属、ボルネオに生息するテングザル属、東南アジアメンタウェー諸島に生息するメンタウェーシシバナザル属がある。 【社会構造】渡辺邦夫氏とヤヤト氏の研究によると、数十キロだけの距離差でメンタウェーラングールとスンダラングールの社会構造はペア型と小単雄群型の両方が見られる。ハヌマンラングールは中型単雄群から大型複雄群まである。社会構造は環境によって変わる。しかし、伊谷純一郎氏の言うように、種が社会構造を規定するという要素もある程度認めなければならないかと私は思うが、学会に詳しい先生によると古い考えらしい。双系はアカコロブスに例がある。(東と西アフリカからの報告。)母系はオナガザル科の一般に見られる。 |
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ハヌマンラングールの子殺し 杉山幸丸氏によって発見された、ハヌマンラングールというサルの一つの単雄複雌群での例は、その後他の研究者によっても確認され、近年ではチンパンジーやゴリラの間にも見られる奇怪な行動となった。ハヌマンラングールの場合、群の頭となる雄は数年に一度交代する。他の若い雄が群れに入ってきて、古い雄を追い出すのだ。若い雄は、晴れて頭になるために、前の雄が父親である赤子を、殺す。子どもが居る限り、子供の世話をする母親は、その新しい雄によって子どもを殺されることで、再び発情する。こうして、新しい雄は実力と血縁ともに群のトップとなる。 |
しかし、ハヌマンラングールの場合は、新しい雄が自分の子孫を増やすためにとる行動であると説明がつくのだが、チンパンジーに見られる子殺し、それに伴うカニバリズムの情況は大分違ってくる。まず、殺す理由が見つからない。他の群の血が混ざっているわけでもないのに、いきなり同じ群の有力なオス(稀少なケースだがメスの場合もある)が母親の抱く赤ん坊を奪い、殺し、食べ出す。他のサルたちは、おこぼれにあずかろうと、肉をもつオスの毛繕いをしたり、メスだったら交尾を誘ったりする。(いわゆる売春)まわりで狂喜しているサルたちは、臓物の破片が飛んでくるだけで、あっちへこっちへおおはしゃぎ。こうなってくると、なぜ、子殺しをするのか、その肉を食べるのかという問の答えが「肉が旨いから」というだけになってきそうだ。私はこの例からヒトというものが掲げている倫理の枷もサルとしてのヒトならば簡単に砕け散る幻想だと思わざるを得ない。だからこそ、ヒトは何故殺してはいけないか、何故カニバリズムをタブーとするのかという問題を深く考えなければならない。サルたちはわれわれに、考える契機を与えてくれている。 |
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おまけ 類人猿ピグミーチンパンジー(ボノボ)の享楽的生活について。彼らの性生活は、ヒト科を遙かにしのぐ。相手が同性であろうと構やしない。要するに快楽が得られればいいのだ。挨拶代わりに交尾する。といっても、厳密な意味での受精が起こるのは希で、大半は単に楽しみとしてだ。彼らにとって、性というものは楽しみを与えてくれる麻薬のようなもので、隠されるべきでもなんでもない。これから考えると、性を社会の隅に追いやったヒトと対照的と言えば対照的である。勿論、子どもでも遊びとして交尾する。 |
参考文献 1987年 『霊長類社会の進化』伊谷純一郎 平凡社 1984年 『霊長類学への招待―――サルからヒトへの進化をめぐって』岩波書店 p7〜30 Tサルさまざま 岩本光雄 p78〜122 V霊長類の行動と社会構造 杉山幸丸 1987年 『世界の霊長類』ジョン・R・ネイピア プルー・H・ネイピア 伊沢絋生訳 どうぶつ社 1991年 『サル学の現在』立花隆 平凡社 1998年 『平凡社世界大百科事典 第二版』 霊長類(伊谷純一郎)サル(増井憲一)旧世界ザル(黒田末寿)新世界ザル(早木仁成)マントヒヒ(古市剛史)図版もこれらの本からお借りしました。 |
また、授業でなにか情報を得たら更新します。暫定的状態と言うことで。 |