ニシローランドゴリラGorilla gorilla

[霊長目真猿亜目狭鼻猿下目ヒト上科ショウジョウ科]

樹から降り、地上で発達し長く強くなった前肢を、歩行に役立てた霊長目がいる。ニシローランドゴリラのナックルウォークである。握った前肢の指の中節背面を地につけて四足歩行をする。前肢より、後肢のほうが短いために体軸は斜めになる。大分体は地面に対し垂直に近くなってきた。これら、霊長目の特徴は、ヒトに似ていることというのは人間中心的思い上がりだろうか。

類人猿や「落ちたサル」とも呼ばれるヒトは、なぜ逃げるにはもってこいの快適な樹上の生活をやめて地上に降りたのか。もともと唯一ともいうべき、霊長目の攻撃手段であった、犬歯がだんだん退化していったところを観ると、道具による攻撃が可能になったとも考えられる。しかし、ナックルウォークの前肢が地を離れて二足歩行になったのではないだろう。同様にテナガザルやゴリラの進化先がヒトではあるまい。ここでは、移動という観点で大きく「進化」として捉えている。身体のつくり自体はヒトとそっくりであるサルから長い年月をかけ、優れた平衡感覚と中枢神経があって初めて、ヒトという霊長目は直立しかけ、倒れる寸前に後肢を次々に出すことで、直立二足歩行を達成した。地上の移動様式としては決して最速ではないが、その結果、器用な前肢は空いてしまった。こうして、前肢は道具を使用し、ものを創り出す器官となり、食べ物を集めるだけでなく産出を始め、創造を始め、ヒトの「手」によっての文化が花開くこととなった。これも、一つの移動様式の完成であると考えて良いだろう。28/09/2001   Shuko

周子の森、付属動物園入り口へ前の動物