あまだれの独逸語

 

2.非現実話法

 
Wenn ich ein Vogel wäre und Flügel hätte, flöge ich sofort zu ihm.

Wäre sie noch ledig, so nähme ich sie gern zur Frau.

12月4日、今日は雨。今日は非現実話法の例文を二つアップしようと思う。次回からはアフォリズム(箴言)の授業に変貌するので、そしたらまた色々アップするものが出てくることと思われる。

和訳文1:もしも私が鳥で、翼を持っているならば、すぐに彼の許へと飛んで行けるのに。

和訳文2:もしも彼女が独身ならば、私は喜んで彼女を妻にするのだが。

非現実話法とは、英語の仮定法にあたるもので、現実とは反対のことを述べるため、その部分をドイツ語では接続法2式をもちいて区別を明確にする。例文1では、私は鳥でないし翼もないから彼の許へは飛んで行けない。例文2では、彼女は人妻なので、結婚したら重婚になってしまうから、迂闊に手が出せないという意味内容。接続法2式は直説法過去を用いて作るが、その意味内容に過去という成分は含まれないので注意が必要。

さて、これらの文は現在の非現実を表しているが、これを過去の非現実を表す文に変えてみよう。作り方は、英語の「仮定法過去完了」と似ている。接続法2式を用いて完了形を作るのだ。もう説明するまでもないが、完了形は、場所の移動・状態の変化・sein や bleiben 等の例外は〈sein支配〉となる。あとは〈haben支配〉である。というわけで、fliegen は場所の移動を表すので、sein の接続法2式 wäre をつかって完了形を作るのだ。

Wenn ich ein Vogel gewesen wäre und Flügel gehabt hätte, wäre ich sofort zu ihm geflogen.

Wäre sie noch ledig gewesen, so hätte ich sie gern zur Frau genommen.

 
 

1.間接引用の接続文

 
Sie sagt ihm:
“Ich erwarte ein Kind, und zwar dein Kind.“

Sie bat ihn unter Tränen:
“Bleib hier! Ohne dich kann ich nicht leben.“


11月27日、今日は奇怪な例文を習ったので、早速アップしてみた。これを実用できる日はいつになることやら。教師は、これはいわれたくないねぇと言っていた。

和訳文1:彼女は彼に言う。「赤ちゃんが出来たの、そしてそれはあなたの子なのよ。」

和訳文2:彼女は涙ながらに彼に乞うた。「ここにいて!あなた無しじゃ私生きられないわ。」

さて、これを間接説話にしてみよう。まずは英語と同じだが、地の文の人称に統一しよう。(また時制に関しては、英語と異なり、地の文の制約を受けずにそのままの時制が用いられる。)

動詞の形は接続法1式を用いる。しかし、接続法1式の形が直接法現在と同じ場合は接続法2式を用いる。(例えば wir sollen…を接続法1にしたら、接続法1式はやっぱり sollen になってしまうから、ここでは接続法を用いているということを明らかにするために接続法2式 sollten を使用すると言った風)しかし、ここでは直説法現在 er erwartet を接続法1式にすると er erwarte と形が違うため、接続法1式で何ら問題はない。

さて、問題は次の文だ。命令なら sollen と思いきや、この命令は懇願なので、sollen ではなく mög を人称変化させて用いる。könnenを接続法1式にして人称変化させ sie könne にするのもお忘れなく。これも直説法現在の sie kann とは異なるから、これで良い。


Sie sagt ihm, sie erwarte ein Kind, und zwar sein Kind.

Sie bat ihn unter Tränen, er möge hier bleiben. Ohne ihn könne sie nicht leben.

 

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