ポテンシャルの変動

片山泰男(Yasuo Katayama)
May 1 2012

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目次

1. 計量の性質と光伝播における計量の振舞
1. 光の時間計量保存と空間計量破棄
2. ポテンシャルの変動
3. 計量変動の波動方程式□Φ=ρ



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1. 計量の性質と光伝播における計量の振舞

一般座標変換の式、ds^2= g_ik dx^i dx^k は、ある時空点の時空間隔 dx^i の2次同次式と g_ik の積和が不変量 ds^2 をいう。速度による 時空の交差がなければ、 ds^2= g_00 dt^2 + g_ik dx^i dx^k にでき、座標系の速度を合わせれば時空間の計量を分離した ds^2= g_00 dt^2 + g_11 dx^2 + g_22 dy^2 + g_33 dz^2。これを空間等方座標系にして、ds^2= g_00 dt^2 + g_ii dl^2 になる。時間的計量g_00と空間的計量 g_ii(i=1-3)の2者が変数である。時空の遠方の平坦時空からみたある時空点の計量 g_ik は、そこに置かれた物差しの長さと時計の時間間隔 への係数となって掛けて不変量を作る。楕円 x^2 + 4y^2= 1 がy方向に1/2に短いように、空間計量 g_ii(i=1〜3)は、√g_ii がその時空点に 置く物差しのサイズに反比例する。大きなg_iiは、物差しが詰まる短縮である。時間計量g_00は、√-g_00 がその時空点の時計の時間経過に 比例し、大きな-g_00は、時間の短縮、高速化である。そしてその時空点の光速は、時間経過と物差しサイズに比例し、√(-g_00/g_ii)である(*)。

時間計量(ポテンシャル)g_00の違う時空点からの発光は、発生周波数fsと異なる周波数fdで到着する。光を下方から上方に投げるとき、ポテ ンシャルの低い地点からの光は、重力場を加速度系と等価とすると光の到着までに到着点が速度を獲得して後退するから、上方で受けるとき 赤方偏移する。この現象が連続して起きるためには、光を発した下方の時間経過が上方より遅くなければならない。そうでなければ波数に過 不足を起こすだろうからである。こうしてポテンシャルと時間経過の関係は発見された。送受信点間に速度のないとき光の周波数fdは出発点 Sの周波数fsに比例し、fd/fs比は出発点Sと到着点Dの時間計量の比の√になる。fd/fs= √(g_00d/g_00s)

但し出発と到着点間に相対速度があれば、途中の空間に残す波を増加/減少(波数を過不足)させるドップラー効果がある。fd/fs= 1+z= √((1+v) /(1-v)) (vはc単位で後退を正)。両点の時間計量が等しいとき、出発点の空間計量は近傍の空間計量との比によって出発波長は到着波長に影響 できてよい g_iidλ_d^2= g_iisλ_s^2= (i=1-3) から、λ_d/λ_s= √(g_iis/g_iid) (i=1-3)。しかし、出発点の時間計量又は速度から周波数 が決まり、それによって波長が決まる。空間計量が違う点からの光も到着点で等しい光速であり、周波数が等しいなら波長は等しい、そのため、 光は出発点の時間計量の影響を残すが空間計量の跡を残さない。(正確には、時空間計量の両方で周波数と波長が決まり時空独立ではない。)

アインシュタイン宇宙やド・ジッター宇宙の周辺では、天体方向の空間計量g_iiが大きく物体の奥行が短縮している。そこからの光は、宇宙の果 ての時間計量とこの場所の時間計量に合わせて周波数を変更し、空間計量に合わせて光の波長を伸縮し、周波数を満たすために波長は保存されず、 周辺の空間計量の痕跡を残さない。遠方からの光も周波数が等しい近傍発生の光と波長が等しい。この光速の唯一性によって取るべき周波数に合 わせて波長が伸縮し、時間計量は保存し空間計量を破棄する。そのため、周辺も時間計量の等しいアインシュタイン宇宙は赤方偏移しない。 ド・ジッター宇宙は、過去の光は時間計量から赤方偏移する。J.A. Peacock は、「de Sitter モデルのなかで距離とともに線形に増加する 赤方偏移を期待できることが最終的に結論された (Weyl によって1923年に)」という。 x^4= ict, c= a= 1; として、

g_44= 1 - t^2/(1 + t^2 - r^2) = (R^2 - t^2)/R^2= (1 - r^2)/R^2
g_ii= 1 + r^2/(1 + t^2 - r^2) = (R^2 + r^2)/R^2= (1 + t^2)/R^2 但し R^2= 1 + t^2 - r^2

光速は光経路の微分、 dr/dt= c(r,t)= √g_44/g_ii= √(1 - r^2)/(1 + t^2) 変数分離でき、dr/√(1-r^2)= dt/√(1+t^2) から、Arc sin(r)= ar sinh(t) + C。光経路は、r(t)= sin(ar sinh(t) + C)。

t= sinh(x), r= sin(x) として t^2 - r^2= sinh^2(x) - sin^2(x) >= 0。光速は1以下であり、光は時間側からくる。

g_44(r,t)= 1 - t^2/(1+t^2-r^2) と t^2 - r^2 >= 0 から、第2項分母は1以上だから、g_44は1以下で赤方偏移である。t^2/(1+t^2-r^2) は、 tの1乗に近いか? r=0 で 1-t^2/(1+t^2)= 1/(1+t^2)、2乗である。r= tでも1 - t^2である。ドップラー効果と重ねて1乗になるのかもしれない。

フリードマン膨張宇宙も宇宙背景輻射が、後退のドップラー効果によって周波数が1000倍の赤方偏移(1+z=1000)とすると、その場所の後退速度 は、光速と100万分の1しか違わない速度をもち、(1+z= √(1+v)/(1-v)から 2/(1-v)= 10^6) 奥行きは500分の1にローレンツ短縮している。(γ= 1/√(1-v^2)= 1/√((1+v)(1-v)) =(1+z)/(1+v)= 500) そこで光は 99.9%の波数は空間に残し、1/500に短縮した場所から周波数が1/1000倍になっ て現在到着している。但し、ローレンツ短縮では光の波長は短縮しない。特殊相対論は光速一定だからである。薄くなった奥行きを光が一定速度 で通過するのは何か変に思うかも知れないが、ここからみれば1/500に薄くなった銀河の厚みは光でわずか40年でもその速度の系では2万年をもち、 背後の時刻が違うのである。光で40年の薄い奥行きの背後は時間が2万年ほど過去なのである。

ローレンツ短縮による空間短縮と違って、空間計量の違いによる光速 (ds=0 で c= √(g_00/g_ii)) の違いは光の波長に反映する。フリードマン 解が空間計量の増大なら、過去のg_iiは小さく過去の光速は大きかったのだが、それは通常言われるのと逆に空間間隔が過去に大きくそれが収縮 する宇宙を意味していて、そのため起きるドップラー効果も赤方偏移でなく青方偏移になる。そして、あり得る膨張のシナリオは、G(t) の逆数 が宇宙のサイズとすることと時間軸の反転による膨張である。そうすると時間に伴って空間計量 g_ii は小さくなり空間間隔は大きくなる。特異 点の時刻に向かって加速膨張する宇宙になる。

(*) 時空の計量のもたらす効果を扱う一般相対論の、各時空点の光速は一定でなく、時間計量と空間計量の両方が関係する各時空点の計量に依存し、 方向にもよる。光速の空間計量依存、これはLIGO等の重力波検出が困難な原因にもなる。この光速と計量の関係は、M.ボルンの一般向けの本「ア インシュタインの相対性理論」(林一訳、東京図書 p.295)に書かれている。

物差しや時計の変動を局所測定(局所の光速一定、固有時、固有長一定)は知り得ずに、他の時空点と相対して変動する。LIGOの測定可能は計量の局 所測定可能を意味し、局所の固有時、固有長を認めるときLIGOは不可能になる。LIGOは相対論の局所測定の保存原理に矛盾する。

基本計量テンソルg_ikは、現在のここからその時空点の大きさがどう見えるかの係数と思って、大きなg_ikは大きく見えるという誤った解釈を生む。 この見方は静止宇宙解では誤りが明確であるが、膨張宇宙では空間計量g_ii(i=1-3)が時間に沿って増大を意味すると一般に解釈され、共動座標での 物差しdx^iの縮小が、慣性の法則によって(又は共動座標の定義によって)不変な天体間隔を、現在のここの接平面である物差しの不変な系、ミンコ フスキー系で宇宙膨張とみると解釈される。静止宇宙解では、宇宙の周辺の物体が大きいことになり、誤りは明確である。アインシュタインの定常 宇宙の球面から接平面への正射影は周辺でg_iiが大きく、剛体球は奥行きが短縮する。そのように、空間計量の平方根 √g_ii は、物体のサイズに 反比例する。なお、アインシュタインの「幾何学と経験」は、北極から南極の外接面への Stereographic射影であり、逆に遠方で剛体球が大きくな る例であることに注意すべきである。

膨張宇宙は過去の空間間隔dx^iが小さくないといけないのに、それに過去の小さな係数g_iiが掛けられて不変量になることはない。膨張宇宙のg_ii は過去に大きくないといけない。さらに、物差しの短縮が宇宙膨張であるという何か別の物差しの短縮を持ち出す説明があって、その物差しは、過 去の空間間隔dx^iではない別のもの(例えば原子)を指す。原子、物体は縮小し、何もない空間だけが膨張するという説明である。これでは計量に掛 けられる空間間隔dx^iは、物差しの立場を失ってしまう。本来、空間間隔dx^iは空間にも物体にも原子にも共通である。


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2. 局所のポテンシャルの変動

計量は時空の関数であるのに、"時間計量の時間変化" を考えることは一般的でない。アインシュタインの定常宇宙も時間計量は一定にし、フリー ドマン膨張宇宙も赤方偏移の原因を空間計量の変化からくる後退によるドップラー効果とみて、時間計量の時間変化を考えない。その理由は、時間 計量の変化を扱いたくないからであろう。アインシュタインは、相対論の意味の"第2版への附録"の"まとめとその他の注意"の(5)で、時間計量の変 化を「局所の時計の否定であり、特殊相対論さえも否定することになる」と述べた。一般相対論が使う曲線座標系の、空間のなかでx,y,zの空間軸 の曲がりはまだ理解しやすいが、時間軸の曲がりは理解が難しい。時間のなかで時間が曲がるのではない。空間のなかの時間軸は同じままで、時間 の進みかたが変わり、時刻の目盛が違うのであると理解しても、過去の時間経過が現在と違うのは、時間が何のなかで速度を変えるのかと疑われる。 時間が時間の関数とは、2重の時間の設定であり、それ自身が矛盾にみえる。過去の時間を現在の時間のそばに持ってきて比較するのは、遠方の物差 しをもって来て近くの物差しと比較するようにはいかないだろうとその実証性が疑われる。つまり、時を時のなかで自由に移動させることはできない。

しかし、遠方の物差しを移動してきて近くの物差しと比較しても違いは判別可能ではない。ポアンカレの寓話のように、空間計量による空間の伸縮は、 物差しを含めた全ての物体を、物体をそこに移動するだけで伸縮させるからである。そのとき、光(の波長)を移動させることができる。光子に長さは ないが、光が時間計量に従って周波数を決め、光速が√(g_00/g_ii) に比例するなら、空間計量に従って光が進行方向に波長を伸縮させ、必要な長さ に合わせるだろう。光は、どこから来た光も区別なく局所で等しい速度をもつ。局所の光速が一定でなく、場所と時刻による局所の√(時間計量/空間 計量)に依存するとき、特殊相対論の慣性系間の座標の短縮とは違って、光が局所の長さの基準、物差しでないことを意味する。

しかし、遠方銀河からの光は、遠方過去の時間の現在の時間の目盛による測定であり、光はまさに、過去の時間経過を現在の時間経過のそばに持っ て来て比較させていると考えることができる。そのとき、光の発生点の時間計量との時間計量の違いは優先され、発生点の空間計量は保存されない。 この場所の局所の光にはそれを保存する自由度がない。遠方銀河の赤方偏移は、もし時間計量に差がなく空間計量の差だけしかない場合、遠方から の光の移動先の計量による伸縮によって見えなくなり、相対速度によるドップラー効果だけが残る。これが膨張宇宙でいう空間計量の増大によるド ップラー効果による説明である。赤方偏移の説明として、代替的に時間計量の変動による説明があり得る。

時間計量変化を考えさせないのは、それがエネルギー非保存をもたらすからである。ポテンシャルの時間変化は、そこにある質量のエネルギーを変 化させるが、このことは経験から遠く考えにくい。しかし、例えば双子のパラドックスの弟の慣性系の乗り換えは、質量エネルギーを変化させるが、 一般座標系は、慣性系の乗り換え系も扱う。また、宇宙論的なほど緩慢なエネルギーの非保存は、重大な原理違反ではない。例えば、質点が初速を もって四散するニュートン的宇宙膨張は、最初の瞬間に無限のエネルギーを必要とすること以外は普通の物理であり、一見エネルギー保存にみえる が、物質間隔が拡がることによるポテンシャルの上昇が伴うと考えることができる。全体のエネルギーは宇宙の膨張の減速がその分のエネルギーを 失って不変に保つと想像できる。また、インフレーションや宇宙項Λは、空間が質量を押し広げ膨張を加速させるからエネルギーは非保存であろう。 そして、重力波の真空中でない発生消滅検出の場所ではエネルギー非保存であろう。

それゆえ、時間計量の時間変化は、エネルギー非保存を理由に排除すべきでない。ポテンシャル(時間経過)の空間的変化を認め、時間変化を認め ないのは、移動する時空点が時計を持てないというに等しい。例えば中心の天体から速度をもって離れて行く運動をもつ時空点の座標系は、移動 がポテンシャルの空間変化を時間変化にする。我々は、時計をもって空間を移動して時間計量の違う場所へ移動できる。双子の弟が時計を持てな いとすると双子のパラドックスの話さえできないだろう。双子の時計の時間経過は、両者が速度をもつ間、両者で違いがあり、局所で再会後から、 二人の時刻はずれたままで時間経過速度は一致するだろう。弟からみた地球の時間は、弟の引返し加速のときに大きく飛躍するが、「局所の時計 の否定」というべきものではない。特殊相対論の考え方は、微小な物体もミューオンでさえ内部に時計を持つとするものである。場所によってポ テンシャルが異なることを認め、時空を移動する点に座標系と時計を認めるなら、時間計量の時間変化も存在するとすべきである。

しかし、アインシュタイン宇宙解とフリードマンの宇宙解、そして、重力波において、時間計量の変動を排除した式で計量を表し定式化したこと は、時間計量の重要性からみて謎である。質点の周囲の時空において時間計量 g_00 だけがミンコフスキー標準値からの違いが他の空間計量より も大きく、時間計量だけがニュートン力学の重力ポテンシャルに直接の対応をもち、計量の最重要な成分であり、確認され既に GPSなどに実用化 された確かさをもつ成分である。それに対して空間計量は不確かで、フリードマン宇宙解は確認ではなく根底から疑うことができる。また、重力 波は地上で未検出である。仮に時間計量の変動が波動となるなら空間計量の波動と比べて測定がどれほど容易であろう。遠方からの光の周波数の 変動によって遠方と局所のポテンシャル変動を知ることができる。また天体現象でなくとも、局所発生したレーザー光とそれを遠方で反射、遅延 させた光と干渉させれば、周波数の異なる光の加算となって、振幅変調されたようなビートを示すだろう。その信号は現在のLIGOなどのファブリ ・ペロー型空洞共鳴の測定に混入しているだろうか。


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3. 計量変動の波動方程式□Φ=ρ

重力の単純な模型である電磁気では、電場、磁場、スカラーポテンシャルΦ、ベクトルポテンシャルA全てが波動方程式をもち、電場Eは、Φの 勾配だけでなく、Aの時間微分でもあり得た。E= -gradΦ - dA/dt の両辺の div をとった、

ρ= divE = -div(grad Φ) - div(dA/dt) = -∇^2Φ - d/dt (div A)

これが静的な場ではポアソン方程式 ∇^2Φ= -ρになり、これにローレンツゲージ divA = -dA/dt を使えばΦはダランベールの波動方程式、 □Φ= -ρとなる。これが電磁波(電場、磁場の波動方程式)の存在の元である。それに対して重力波は、空間計量の微小変動の波であり、進行方 向に垂直な2方向の伸縮の横波とされる。しかし、重力ポテンシャルΦの変動が波動になれないわけではない。計量テンソルの場は、ベクトル場 によって近似される。□Φ= -ρ に対応するのは、リッチテンソル R_ik と計量 g_ik の微小変動分 h_ik の関係である。

R_ik= -1/2 □h_ik     ("場の古典論"の式100.4)

真空(R_ik = 0)では波動方程式になる。この段階で h^0_0 を=0 にはしない。その後の章100の重力波p.361でh^0_0= 0とする。それは、x-ctの 関数としてのhがx-ctに依らないとした場合に、h^0_0 を0にでき h_00= 0波が存在可能というだけである。通常の座標系では h_ik の波が存在する。 R_ik が0でない、物質密度ρ=0でない重力波を発生/消滅する場所では、エネルギー非保存で空間計量の波だけでなく時間計量変動を伴うのであろう。 そして、重力波検出がポテンシャル変動の検出なら、空間計量の変動検出よりもはるかに容易であろう。しかしさらに、現在のLIGOなどの問題は、 空間計量測定だけでなく、鏡の間隔の測定の基準にする光の波長が空間計量の変動に伴って伸縮することである。光速が、√(g_00/g_ii) であり、 この場所の空間計量の変動に光の波長が従うことを表している。

重力ポテンシャルは、ラプラス方程式ΔΦ= 0と、ポアソン方程式 ΔΦ= ρが成立するが、物体静止系でのΔΦ=ρは、ローレンツ不変によって、 □Φ=ρを満たすだろう。ΔΦ= ρがローレンツ不変でない確認の前に、ガリレオ変換なら、ΔΦ= 0と□Φ=0 はどうなるか。 物体の静止系Kで、x方向に速度vをもったK'系とする。

t'= t から ∂Φ/∂t'= ∂Φ/∂t そして、x'= x - vt、dx= dx' + v dt から∂Φ/∂x = ∂Φ/∂x' + v ∂Φ/∂t が得られる。

2階の偏微分、∂^2Φ/∂x^2 = ∂(∂Φ/∂x' + v ∂Φ/∂t)/∂x は、 = ∂(∂Φ/∂x' + v ∂Φ/∂t)/∂x' + v ∂(∂Φ/∂x' + v ∂Φ/∂t')/∂t' = ∂^2Φ/∂x'^2 + 2v ∂^2Φ/∂t'∂x' + (∂v/∂x' + v ∂v/∂t') ∂Φ/∂t' + v^2 ∂^2Φ/∂t'^2 この第2項は、Φの時空間微分がなければ0、第3項は、速度 v が一定又はΦが時不変のとき 0、そのとき、

∂^2Φ/∂x^2 - v^2 ∂^2Φ/∂t^2 = ∂^2Φ/∂x'^2

が成り立ち、静止系のΦの波が速度-vで移動してみえるだけである。つまり、ΔΦ= ρ は、ガリレオ変換できない。 そして、□Φ=0 はK'系では時間短縮し光速は1/γ倍に小さくなる。

∂^2Φ/∂x^2 - ∂^2Φ/∂t^2 = ∂^2Φ/∂x'^2 - (1 - v^2) ∂^2Φ/∂t'^2
∂^2Φ/∂x^2 - ∂^2Φ/∂t^2 = ∂^2Φ/∂x'^2 - 1/γ^2 ∂^2Φ/∂t'^2

時空間xとtのローレンツ変換、

x'= γ(x - vt)
t'= γ(t - vx)
y'= y, z'= z

微分dxとdx'との関係は、dx'= γ(dx - v dt) から ∂x'/∂x= γ は、K系でdt=0を伴う偏微分であり、 dt'= 0を伴う K'系の偏微分も対称に x= γ(x' + vt') から∂x/∂x'=γ、∂t/∂t'= γである。

(なお、K系からみた逆向き偏微分は、dt'= 0 から、dt= v dxをいれ、 dx'= γ(dx - v(v dx))= γdx (1-v^2) = 1/γ dx から ∂x/∂x'= 1/γ である。)

Φがxに垂直な振幅のように Φ'= Φなら、K'系のΦの空間微分 ∂Φ'/∂x'= ∂Φ'/∂x (∂x/∂x') = γ ∂Φ/∂x。 さらに2階微分はこれを再度行い、∂^2Φ'/∂x'^2= γ^2 ∂^2Φ/∂x^2、Φの2階微分は、γ^2 倍に大きくなる。 同様に時間も、∂Φ/∂t'= γ ∂Φ/∂t、そして ∂^2Φ'/∂t'^2= γ^2 ∂^2Φ/∂t^2、Φの2階微分は、γ^2 倍に大きくなる。 波動方程式□Φ'= 0 は、K'系ではx'方向とt'方向に1/γ^2倍の係数がかかる非等方になる。 1/γ^2 ∂^2Φ'/∂x'^2 - 1/γ^2 ∂^2Φ'/∂t'^2 = 0

電磁ポテンシャルと同様、物体静止系KのΦとAの4元ベクトル(Φ, Ax, Ay, Az)が、速度vのK'系で (Φ', Ax', Ay', Az')に変換され るなら Ay'= Ay, Az'= Az であり、

Ax'= γ(Ax - vΦ)
Φ'= γ(Φ - vAx)

Kが物体静止 Ax= Ay= Az= 0なら、Ax'= -vγΦ、Φ'= γΦ、Φ'はγ倍、Ax'は -vγΦになる。

Φ= γ(Φ' + v Ax')
∂Φ/∂x= γ(∂Φ'/∂x + v ∂Ax'/∂x + ∂v/∂x Ax')
∂Φ/∂x= γ(∂Φ'/∂x + ∂Ax'/∂t + ∂v/∂x Ax')

v一様では、∂Φ/∂x= γ(∂Φ'/∂x + ∂Ax'/∂t)

2階微分は、∂^2Φ/∂x^2= γ^2(∂^2Φ'/∂x^2 + ∂^2Ax'/∂t^2) K'系での空間dxもγ倍、時間dtもγ倍になるから、□Φ=0、□Ai= 0は保存される。