電磁気とベクトルの公式

片山 泰男 (Yasuo Katayama)

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場と力線:
場は、電荷に作用する空間であり、電荷qに対して力 F= qE を与える電場 E を F/q で表し、単位電荷が受ける力の空間関数。 電気力線は、+電荷から放射状に発しその周囲に強く遠方で弱く (E= q/R^2)、-電荷に終わる。 一定の電荷から一定の本数の電気力線、一定の磁極から一定の本数の磁力線を想定する。磁力線は磁石の磁極Nから始まりS磁極に終わるが、 磁荷は存在せず磁石中に磁力線が一巡する。力線は場の方向を示し、線に沿う方向に効果は変わらず、線は張力をもち互いに横方向に反発する。 場の強さが力線の面密度であることは、力の距離の2乗に反比例を理解させる。

スカラー場とベクトル場:
1つの値(スカラー)が空間(又は時空)の各点に存在する場をスカラー場、ベクトルが空間(又は時空)の各点に存在する場をベクトル場という。例えば、 温度、圧力、ポテンシャルはスカラー場。流体の速度、電場、磁場、ベクトルポテンシャルは、ベクトル場である。スカラー場は、温度T(x,y,z)の ような値が場所にある。ベクトル場は、質点の位置pや速度v、加速度aのような3次元のベクトル E=(Ex,Ey,Ez) が E(x,y,z) として空間にある 2重構造をしている。

スカラー場は時空間に張る関数、ベクトル場は方向と長さをもつ時空間の関数である。速度は、質点力学では質点に付属するが、場は空間に張る (各点に値が存在する)関数。剛体力学では物体の各点に付属し平行移動や回転がある。流体力学ではその各点に異なる速度がある。最初、ベクトル、 スカラーが時空間に分布するという考え方に気が付くのに時間がかかる。空間に分布する値や矢印をイメージできて初めて、 その grad(勾配), rot(回転) とか、div(発散) とかいうことが始まる。

ポテンシャル場(φ,A):
その微分が作用を与え (任意性がある) ポテンシャル場(背後場)φ,Aがある。スカラーポテンシャルφは電荷と距離との関係で起き(φ= q/R)、 その勾配(-gradφ)が電場になる。さらにベクトルポテンシャルAがあって電荷の移動qvまたは電流iと距離Rの関係によって起き(A= qv/R)、 時間微分 -dA/dt が電場になる。両者は、発生点との距離lを光速cでl/cだけ過去からの遅延ポテンシャルである。 φ= q/R(t-l/c), A= qv/R(t-l/c) 。静電場は E=-gradφで表される渦なし場であるが、電磁気は渦のある場 E= -gradφ -dA/dt であり 電流による磁場 B= rotA があり、電場と磁場に対称な Maxwell方程式 (rotE= -dB/dt, divB= 0, rotB= dE/dt+i, divE= ρ) が存在し、 磁場B中の速度vの電荷qがローレンツ力 (F= q(E + v x B)) を受ける。


スカラーとベクトルの間の微分演算:

(0) 時間微分:スカラーには時間微分がある。ベクトル(3次元)には各成分の時間微分を成分とする時間微分ベクトルがある。

(1) 勾配: スカラーからベクトルを作る。スカラーSのx方向の微分、y方向の微分、z方向の微分を成分にするベクトル、 grad S= (dS/dx, dS/dy, dS/dz) を勾配ベクトルという。記号 grad 又は ∇を使う。ポテンシャルの -gradΦ= -∇Φ= -(dΦ/dx, dΦ/dy, dΦ/dz) が 静電場 E= -grad Φ。ナブラ(Hamilton 演算子) ∇=(d/dx,d/dy,d/dz) とのスカラー積とみて、∇をそのスカラーの前に付ける。


(2) 発散: ベクトルからスカラーを作る。div E= dEx/dx + dEy/dy + dEz/dz = ρ

ベクトルの各成分の各方向の微分和。記号 div は∇=(d/dx,d/dy,d/dz) との内積とみて、∇・と書く。電場 E の発散が電荷密度 div E= ρ。

ガウス(Gauss)の定理: ∫_s E・n ds = ∫_v div E dv ベクトルと閉曲面の法線との内積の面積分は、発散の体積分。


(3) 回転: ベクトルからベクトルを作る。rot E= ( dEz/dy - dEy/dz, dEx/dz - dEz/dx, dEy/dx - dEx/dy )

ベクトルの他の2成分の逆方向微分の差を成分とするベクトル。記号 rot (又は curl)又は、∇との外積とみて ∇× を書く。

ストークス(Stokes)の定理: ∫_c E・dc = ∫_s rot E・dn ベクトルと閉曲線cの接線との内積の線積分は、回転の面積分s。


(4) ラプラシアン: Δ= d^2/dx^2 + d^2/dy^2 + d^2/dz^2 スカラーの勾配(grad)ベクトルの発散(div)スカラー。記号∇・∇、∇^2、又は△を使う。 2階微分の和。

△Φ= div(grad Φ) = -div E = -ρ

(5) ポアソン(Poisson)方程式: ΔΦ= -ρ

静的電磁場のスカラーポテンシャルが従う式では、スカラーポテンシャルのラプラシアンの符号反転は、(ポテンシャルの "上に凸の度合") 電荷密度。重力では符号が逆で、Δφ= 4πΚρ 又は Δφ= Κρ (Κ: ニュートン重力定数) である。ガウスの単位系ではここに4πを書き、 クーロンの法則に4πが出ないが、発散の式が div E = 4πρになる。ヘビサイドの単位系ではここに4πを書かない。)

(6) ラプラス(Laplace)方程式: ΔΦ= 0 ポアソン方程式にρ= 0 をいれた式。真空中の静的電磁場のポテンシャルが従う。

(7) アンペールの法則: ∫_c B・dc= ∫_s i・dn 磁場の閉曲線cの接線との内積の線積分は、電流(密度)の面積分s。

(8) ファラデーの法則: ∫_c E・dc= -∫_s dB/dt・dn 電場の閉曲線cの接線との内積の線積分は、磁場の時間変化の面積分s。

(9) マックスウェル(Maxwell)方程式

div B= 0, rot E= -dB/dt ..........第1組:磁場の発散は、0。電場の回転は、磁場の時間変化の負。
div E= ρ, rot B= dE/dt + i ......第2組:電場の発散は、電荷密度。磁場の回転は、電場の時間変化と電流密度の和。

(SI 単位系では)
div B= 0, rot E= -dB/dt
div E= ρ/ε_0, rot B= μ_0ε_0dE/dt + i
(μ_0ε_0= 1/c^2 )
(1/4π_0 = c^2 x 10^-7, μ0= 4π x 10^-7, c= 299,792,458 m/s)

(10)ポテンシャル(Φ,A):スカラーポテンシャルΦとベクトルポテンシャル A が電磁場E,Bの背後にあり、場はポテンシャルから導出される。 A の回転が磁場 B= rot A。Φの勾配と A の時間微分との和の符号反転が電場 E= -grad Φ - 1/c dA/dt。

(11)ダランベール方程式 □Φ= -ρ 動的な電磁場では、ポアソン、ラプラス方程式は正確でなく、光速を有限とするダランベール方程式が正しい。

ダランベリアン: □= ( d^2/dx^2 + d^2/dy^2 + d^2/dz^2 - d^2/dt^2 ) 真空中の電磁波は、ダランベール方程式で表される。
波動方程式: □B = 0, □E= 0
ポテンシャル□Φ= 0, □A= 0
電荷密度を考慮する場合、ポアソン方程式に対応して □Φ= -ρ。



スカラーとベクトル:単一の実数をスカラーという。それに対して、大きさと方向をもつものを(2,3次元)ベクトルといい、始点と終点をもつ矢印で表す。 例えば、a 点から b 点への変位をベクトル A = (上バー付き)abで表す。ベクトルの大きさ |A| は ab 間の距離であり、方向は a から b に向かう矢印の 方向である。ベクトルは、大きさと方向とを保って(ユークリッド空間では)平行移動できる。 例えば、位置、(位置の時間微分)速度、(速度の時間微分)加速度、(質量と加速度の積)力、回転は、軸方向のベクトルで表すことができる。 大きさには実数を使い、方向は、2 次元平面内のベクトルは、1 実数の角度θで表せる。

ベクトルは、1つの(太字)文字で表すが、複数の実数の組みで A= (Ax, Ay, Ax) と成分を並べて書くのは成分表示という。(x, y) という 2つの 実数は、始点を原点した、直接に平面上の位置を表す位置ベクトルである。3次元空間内の位置は、(x, y, z) という3実数で表され、 時間を加えた (x, y, z, t) 4元ベクトルは、時空点などを表す。 (x^1, x^2, x^3, x^4)として、xに上添字を使い x^i(i= 1-4) が反変ベクトルの成分を表す。座標微分に使用する。同ベクトルに下添字の (x_1, x_2, x_3, x_4)とする x_i(i= 1-4)共変ベクトルの成分がある。スカラーの偏微分に使用する。x^4をx^0として0-3の4つにとる表記もある。


ベクトルのスカラー倍: ベクトルの各成分にスカラーを掛けて方向を変えず大きさを変える。 B= kA は、(Bx,By,Bz)= (kAx,kAy,kAz)

ベクトルの加減算:等しい次元のベクトルどうしの加減算は、成分どうしを加減算した成分をもつベクトル。始終点で示すベクトル ab と bc の和は、 ac である。第1ベクトル始点から、第2ベクトルの始点を第1ベクトルの終点に平行移動したときの第2ベクトルの終点までの矢印。始点を一致させた場合、 力の合力のようにベクトル A,B の平行四辺形の対角線ベクトルが C= A + B のとき、(Cx, Cy, Cz) = (Ax+Bx, Ay+By, Az+Bz)
平行移動:ベクトルの加減算。C = A + B のとき C は、A を B だけ平行移動したもの。
ゼロベクトル: 全成分が 0 のベクトル。3 次元では Z= (0,0,0), A + Z= A. ベクトルの加減算における単位元。

交換則 a+b = b+a
結合則 (a+b)+c= a+(b+c)
スカラー倍 m(na)= n(ma)= (nm)a, (m+n)a= ma+na, m(a+b)= ma+mb


スカラー積(内積):2ベクトルのスカラー積 A・B(又は(AB)) = AxBx + AyBy + AzBz。交換的 A・B= B・A である。

a・b= b・a (交換則)
a・(b+c)= a・b + a・c (分配則)
(m a)・b= a・(m b)= m a・b
a・b= ab cos Θ     (a,b の大きさと挟む角θのcosとの積、aからbに下ろした垂線の足までは(acosθ, asinθ))

余弦定理 (△ ABCにおいて∠CABをα, ∠ CBAをβ, ∠ ACBをγ = 180° - α - β , cos γ = -cos (α + β),
AC= a, BC= b, AB= c 、CからABへの垂線 CH= a sin α= b sin β, a sin α - b sin β = 0
c= a cos α + b cos β
c^2= (a cos α + b cos β)^2
= (a cos α + b cos β)^2 + (a sin α - b sin β)^2
= a^2 + b^2 + 2 ab (cos α cos β -sin α sin β)
= a^2 + b^2 + 2 ab cos(α + β)
= a^2 + b^2 - 2 ab cos γ


ベクトル積(外積):2ベクトル A, B の外積ベクトル A x B (又は[A,B])は、始点を一致させたベクトル A の向きからベクトル B の向きに回すとき 右ネジが進む方向をもつ。成分表示は右手系では A x B= (AyBz - AzBy, AzBx - AxBz, AxBy - AyBx)。A x A= Z。交代的 A x B= -B x A。平行4辺形の面積。

a x b = - b x a (交代則)
a x a = 0
a・(a x b) = 0
a x (b + c)= a x b + a x c (分配則)
(m a) x b= m (a x b)
|a x b| = |a||b| sin Θ     (a,b の大きさと挟む角θのsinとの積、2次元でa,bを2辺とする 3角形の面積の2倍、平行4辺形の面積)


3ベクトルの積:
(1) a(b・c) は、ベクトル a のスカラー(b・c)倍

(2) a・(b x c) = b・(c x a) = c・(a x b)
= (b x c)・a = (c x a)・b = (a x b)・c スカラー3重積(平行6面体の体積)。
= [abc]= [bca]= [cab] (Grassmann 記号)
= -[acb]= -[cba]= -[bac]
= | Ax Ay Az |
 | Bx By Bz |
 | Cx Cy Cz |
[aba]= 0

(3) a x (b x c) = b(a・c) - c(a・b) ベクトル3重積
(a x b) x (c x d)= [abd]c - [abc]d


ベクトルの大きさ: 2次元 |A|= √(Ax^2 +Ay^2)、3 次元 |A|= √(Ax^2 + Ay^2 + Az^2)、4元ベクトル |A|= √(Ax^2 + Ay^2 + Az^2 - At^2)。

回転:ベクトルへの回転行列の乗算。B、C を n 次元ベクトル、A を n x n 行列とし、C= A B は、行列の乗算である。 行列の乗算は、スカラー倍になるときもある。乗算する行列が kI (I は単位行列) のとき乗算結果はスカラー倍。 平行移動と回転は、ベクトルの大きさ(ユークリッド距離)を不変に保つ変換。

aを通りb方向の直線: r= a+tb
2点a,bを通る直線: r= t a + (1-t) b
aを通りb,cに平行な平面: r= a+sb+tc
3点a,b,cを通る平面: r= a+s(b-a)+t(c-a)
|a|+|b|≧|a+b|, |a-b|≧|a|〜|b|
平行6面体の体積 a・(b x c)= b・(c x a)= c・(a x b)
a x (b x c) = b(a・c) - c(a・b)
内積の時間微分 d(A・B)/dt= dA/dt・B + dB/dt・A
外積の時間微分 d(A x B)/dt= dA/dt x B + dB/dt x A


∇(ΦΨ)= (∇Φ)Ψ + Φ(∇Ψ)
grad(ΦΨ)= (grad Φ)Ψ + Φ(grad Ψ)

div(ΦA)= gradΦ・A + Φ(div A)
∇・(ΦA)= ∇Φ・A + Φ(∇・A)

rot(Φv)= gradΦ × v + Φrot v
∇×(Φv)= ∇Φ×v + Φ∇× v

rot(rot A)= grad(div A)- ΔA
∇x(∇xA)= ∇(∇・A) - ∇^2 A

div(v x B)= B・rot v - v・rot B
∇・(v×B)= B・∇×v - v・∇×B

rot(v x B)= (B・∇)v - (v・∇)B + v div B - B div v
∇×(v×B)= (B・∇)v - (v・∇)B + v ∇・B - B ∇・v

grad(v・A)= (A・∇)v + (v・∇)A + v×(rot A) + A×(rot v)
∇(v・A) = (A・∇)v + (v・∇)A + v×(∇×A) + A×(∇×v)

div(grad f)= Δf
∇・(∇f)= Δf

rot(grad f)= 0
∇×(∇f)= 0

div(rot A)= 0
∇・(∇×A)= 0


方向微分係数

(A・∇)S:スカラーのベクトル方向微分:スカラーSをベクトルAの方向に微分したスカラー。
(B・∇)A:ベクトルのベクトル方向微分:ベクトルAをベクトルBの方向に微分したベクトル。

スカラーφのベクトルB方向微分係数: スカラーφの勾配(∇φ)とベクトル Bとの内積(スカラー)。
(B∇)φ= (Bx d/dx + By d/dy + Bz d/dz)φ= B・∇φ

ベクトル VのベクトルB方向微分係数:ベクトル V の各成分の勾配とBとの内積を成分にするベクトル。
(B∇)V= (
(Bx d/dx + By d/dy + Bz d/dz)Vx,
(Bx d/dx + By d/dy + Bz d/dz)Vy,
(Bx d/dx + By d/dy + Bz d/dz)Vz
)


時空のローレンツ変換、
x'= γ(x - vt)
t'= γ(t - v・x)
と同じ形のポテンシャルのローレンツ変換、
A' = γ(A - vΦ)
Φ'= γ(Φ- v・A)
から、電磁場のローレンツ変換を導く。(γは、方向による係数で、vに平行な成分は1、v に垂直な成分は 1/√(1-v^2) が掛かる意味で使うが、この書き方は、一般的でないことに注意。)

A'= γ(A - vΦ)の両辺の rot を取れば、
rot A'= γ(rot A - rot(vΦ))
公式 rot(Φv)= gradΦ × v + Φ rot v を使い、v は一様 rot v= 0で、また、Aは一定 dA/dt= 0 として、
rot A'= γ(rot A - gradΦ × v)
∴ B' = γ(B - v x E)

Φ'= γ(Φ- v・A) の両辺の -grad を取れば、
-grad Φ'= γ(-grad Φ + grad(v・A))
公式 grad (v・A)= (A・∇)v + (v・∇)A + v×(rot A) + A×(rot v) の右辺は、第3項だけ残り、
∴ E' = γ(E + v x B)
Aの一定 dA/dt= 0 を仮定して E= -grad Φ。γの掛かる前の()内の式変形にベクトルの公式を適用する。


力学:座標を r とし、回転系の角速度を w とするとき、回転系内静止点の速度 v、加速度 a は、
(V: 物体の回転系内の速度 v: 回転系内の静止点の速度)
速度 v= dr/dt= w x r、
加速度 a= (dw/dt x r) + (w x v) = (dw/dt x r) + (w x (w x r))
w 一定のとき、加速度 a= w x v = (w x (w x r))

極性ベクトル: 位置、速度、力、運動量、電場など
軸性ベクトル: 角速度、角運動量、力のモーメントなど、本来その軸に垂直な平面の特性。極性ベクトルに外積が一度だけ使われたベクトル。

位置 r に F が働くとき、力のモーメント(トルク): N= r x F
角運動量:運動量のモーメント L= r x p = r x mv
角運動量の時間変化=力のモーメント、トルク τ= dL/dt
コリオリの力: F_c = 2 m (V x w)
遠心力: F_r = m (w x r) x w = m (v x w)


フレミングの左手の法則: 左手の親指、人差指、中指に、それぞれ、力 F、磁場 B、電流 i をあて、磁場Bのなか電流iが受ける力 F= i x B。
ファラデーの右手の法則: 右手の親指、人差指、中指に、それぞれ、速度 v、磁場 B、起電力 E をあて、磁場B中の速度vの導線の(みる電場) E= v x B。

両法則の右左を覚えるため、ひだりき(左力)、みきでんりょく(右起電力)というが、両者ともベクトルの外積で覚える方がよい。 (c= a x b を右手の親指から順に a, b, c をあてる。また、c は、ベクトルの矢を a から b へ回して右ネジが進む方向をもつ。) 両式とも、速度vで磁場Bを交差(クロス)するときみる電場 E= v x B の力qEになる。フレミングの左手も、ファラデーの起電力も、 ローレンツ力(起電力)も、同一現象の異なる説明である。

ローレンツ力の式、 F = q(E + v x B)

(力 F、電場 E、速度 v、磁場 B )は、両法則を包含し、クーロンの法則からくる電場と力の関係も含める。電荷 q が速度 v をもつことは、 電流 i になるから i= qv とすると (正確には、電荷密度ρが速度vをもつときρv = i 電流密度である) F= qE + i x B となる。 また、ローレンツ力の v x B の部分が、ファラデー(ローレンツ)の起電力である。

また、特殊相対論による電磁場のローレンツ変換がある。電磁場は、速度をもった別の(慣性)座標系からみると、別の電磁場になる。 電場が磁場に、磁場が電場に、相互に変化する。


流体力学:ナビエ・ストークス(Navier-Stokes) の方程式 (非圧縮性の流体 div u= 0)

∂u/∂t + (u・∇)u = ν△u - 1/ρ ∇p + f

u:流速(ベクトル), p:圧力(スカラー), f:外力, ν:μ/ρ 動粘性係数, μ:粘性, ρ:密度。媒体が速度をもつときの 時間微分は、d/dt= ∂/∂t + (u・∇) であるから、

du/dt = ν△u - 1/ρ ∇p + f

流速uの時間微分は、uの各成分のラプラシアンを成分にする粘性の項と、圧力pの負(-1/ρ)の勾配の項と、外力の項fとである。 粘性のない流体ν=0 では、オイラー(Euler)の方程式になり、流速の時間微分が負の圧力勾配と外力で表される。

du/dt = - 1/ρ ∇p + f

流れの非線型項 (u・∇)u を無視すれば、ストークス(Stokes)の方程式になる。

∂u/∂t = ν△u - 1/ρ ∇p + f

ω= rot u で渦の強さを色で表示し、そのサイズが2次元では大きくなり、3次元ではサイズが小さくなり消散するという 数値シミュレーションを放送大学がやっていた。

(0) 2変数関数の勾配: 2変数関数 f(x,y)があるとき、grad f= (f_x,f_y) = (∂_x f, ∂_y f) を勾配ベクトルという。 勾配が零ベクトルである点を停留点という。2次偏微分の直積のヘッセ行列(ヘッシアン行列)

(∂_xx f, ∂_xy f,
∂_xy f, ∂_yy f)

の行列式 (ヘッシアン) H(x,y)= = ∂_xx f ∂_yy f - (∂_xy f)^2 が正又は負で極値点、正負なら鞍点である。

(fのxでの偏微分∂f/∂x を f_x 又は ∂_x f とも書き、それをさらにyで偏微分した ∂^2f/∂x∂y を f_xy 又は ∂_xy f とも書く。)


ベクトルの3次元テンソル表記:

ニュートン力学の位置、速度、加速度、力、運動量や、電磁気学の電場、磁場 B= (Bx,By,Bz) を1文字で表すベクトルは、 原点からの位置であり、始点Aから終点Bへの移動であり、方向と大きさをもつ矢印であり、単に3値の並びであり、3成分を同時に扱う。 成分毎に扱いを変えないから成分を個別に書かない方が単純である。対して3次元テンソル表記 b^i (i=1,2,3) (Bx= b^1, By= b^2, Bz= b^3)は、 成分表示だが、添字iの値を明示しないとき値の全体を表す。

勾配は、grad f スカラーfの各成分毎の微分を成分にするベクトル ∂f/∂x^i又は∂i f。

発散は、各成分毎の微分の和 div E = ∂E^i/∂x^i 又は ∂iE^i 。 同じ項に同じ添字iがあるときi=1-3に渉る和をとる (∇を微分演算子のベクトルとして、それとの内積と記述する∇ ・)。

回転 rot は、ベクトルの他の2成分の微分差を成分にするベクトル(∇ x )。

A= {g_i4} (i=1-3)のとき{v x rot A}_i = (∂r g_i4 - ∂i g_r4)v^r。

速度との外積によってrotの元のベクトルのiで記述される。

ベクトルの和差は、ベクトルの成分毎の和差。{a+-b}_i = a^i +- b^i。内積は、ab = a^i b^i。 外積は、{axb}_i = a^j b^k - a^k b^j。iはj!=kのi,kのいずれでもない成分。 直積 a^j b^k。