先日、オヤジ連中9人の飲み会がありました。

役人ありーの、新聞記者ありーので、一見アカデミック、一見あやしげ、

その実、単なる酔っ払いオヤジの集団というね。

話題の中心は、日本の経済の行方。

「日本を脱出した方がいいかもよ」

「マスコミの言うことはあてにならんもんなぁ。」

「?」

「ここ数年マスコミが持ち上げたもんは、みんな傾く。ユニクロなんかいい例だぜ。」

「でも、マスコミが新時代のビジネスモデルとして取り上げていた時点では、それなりの価値があったのは事実でしょ?」

「結局、企業が成長し続けることって、今の時代では難しいってことなんじゃない?」

「ある程度で成長を抑制する力が働けば、逆に急激な凋落はない。」

「ユニクロブームは、もう去って、放っておいても売れるという状態じゃなくなった。」

「爆発的に売れる商品がまた出てくるかどうか?俺は、難しいと思う。」

「でもコストパフォーマンスの面ではユニクロの商品はピカイチだと思うよ。」

「安かろう悪かろうではない、安くて品質が高いというのは変わってない。」

「カジュアル衣料としては、ベンチマークになり得る品質。その意味で、企業としての長生き要素はある。」

「それにしても元気な企業ってないんだよねぇ。」

「競争社会だ、市場原理だ、成果主義だと言うけれど。」

「言うけれど?」

「日本型の終身雇用、年功序列というのも悪いことばかりじゃないとは思わんか。」

「安心して働けるというメリットは、確かにある。」

「でも、その代わり賃金は半分になりますよって言ったら、誰もそれでいいとは言わんでしょ?」

「競争に負けた者は淘汰される、これは自然の摂理にもかなってる。」

「勝ち組、負け組に区別され、どんどん貧富の差が開くのが果たしていいことか?」

「ただ、今の日本は、世界標準から比べて、所得水準は高いし、その割に貧富の差がないというのも事実。」

「ある程度格差が出た方がいいってこと?」

「結局、日本型の終身雇用、年功序列賃金では、働いても働かなくても一緒になっちゃう。」

「仕事に対するモチベーションの問題ってことね。」

「共産主義の破綻も結局それが大きな要因だったからねぇ。」

「結局、日本人の生来の勤勉さがそれを補っていたってことじゃない?」

「今の日本人、特に若い世代に勤勉さを求めても無駄でしょう?」

「だからといって成果主義を持ち込んでも、モチベーションが高まるとも思えん。」

国内経済ってもんは、国家の成長に比例するもんです。

資本主義経済下では、企業は成長し続けることが求められ、それが株主に対する企業の責任にもなります。

戦後の日本が国家として成長し続けた裏には、物質的な需要とともに

増え続けた人口があったと思います。

少子化、高齢化で、国家としての規模的成長が止まった日本では、企業の成長は非常に難しい。

何故なら、次世代という新規市場が縮小するからです。

戦後の高度経済成長を「長期的なバブル経済」と見れば、

今は、正にそれが弾けたという状態ではないかと思うわけです。

どんな企業も、客がいなきゃ儲かりません。

古くから国際競争力を身につけてきた自動車産業などは、今年の春闘情報を見ても、

まったく元気がないというわけでもないし、実際、殆ど死体だった日産も立ち直ったわけです。

これは、国内の客の目減り分を海外に求めることができたからです。

しかし、多くの日本企業の現状を見ると、それを他の産業に求めることは難しい。

結局、子作りを奨励するのが一番の景気対策なんじゃないかと思うわけです。

同じ金をかけるなら、おかしな公共事業なんかより、ずっと効果があるんじゃないでしょうか?

即効性に疑問を持たれるかもしれませんが、子供ができたとなりゃ、父ちゃんは頑張るもんでして、元気だって出さないわけにはいかんもんです。