3月から「個人向け国債」というもんが発行される。

どういうものかというと、3ヶ月ごとに発行される個人購入専用で、10年国債の金利に連動して6カ月ごとに変わる変動金利型の国債。

購入できる最低額が普通の国債の5万円からに対し、1万円となっていて、途中の換金も可能なら、元本保証もあり、国債であるから当然利払い(毎年3月10日と9月10日の2回)についても国が保証する。

初回発行分の利回りは年0.09%に決まった。長期金利の低下に備えるためとかで、利回りには年0.05%の下限も設けられるという。

今、何故こんなもんが出てくるのだろうか?私なりにいろいろと考えてみた。

第一は、税収が厳しい。これは確かだろう。

第二は、金融機関が苦しい。これも確かだろう。

税収が厳しいから、予算を組むためにはどっかから金を調達して来なくてはならない。国債というのは、その一手段で、国が発行する債券、つまりは国の借金である。が、しかし、日本という国は、既にもの凄い借金まみれになっている。今までは、金融機関であるとか、年金資金であるとか、郵便貯金であるとか、いわゆる機関投資家が国債を引き受けていて、かろうじて資金が調達できていた。けれども、これだけ金融機関の体力が危なくなると、今後も安定した国債の引き受け手=国への貸し手でいられる保証はない。

借金まみれの日本は、既存の借金の返済に充てる金も国債(=借金)で調達しなければならない。つまり国は、いくつもの消費者金融から借金している多重債務者と変わりないってわけだ。だから、これまで金を貸してくれていた(=国債を引き受けていた)機関投資家が軒並みダウンしたら大変なことになる。国債がたちどころにデフォルト(=債務不履行)に陥ってしまうのである。国が借金を返せないという事態は、こりゃもう洒落にならない。したがって、どうしても安定した貸し手を見つけなければならない。それが、個人というわけである。

これまでの日本では、国債というと個人レベルで「じゃ国債買おうか」と言える代物ではなかったのだが、こんな経済状況になった今、まがりなりにも経済大国でいられるのは、背景に約1400兆円といわれる個人金融資産があったからこそである。

簡単に言えば、我々が銀行や郵便局に預金した金の一部が国債に化けていたということ。もちろん、銀行が抱える不良債権も我々の預金が化けたものだから、それから比べりゃまだいいやって感じもするが・・・。ただ、国というか財務省は、やっぱ不安なのよね。自分達の言うことを聞いていた銀行は、もう息も絶え絶え。自分達の仲間というか、部下的扱いだった郵便貯金は、公社になって直接関係がなくなる。それじゃってんで、自分達で直接国民の金を借りちまおうっていうのが今回の個人向け国債だからね。

銀行は、郵便貯金には「民業圧迫」と言うけれど、この個人向け国債はどう見てるんだろう?郵便貯金は、存在意義を脅かす個人向け国債をそれでも郵便局で売るんだろうか?長らく言われ続けた「郵貯VS銀行(=大蔵省)百年戦争」が銀行・財務省が戦線を分かつことにより三つ巴の争いになると、我々庶民の金はどこに行くんだろうね?