2003年が明けて、すでに日常の生活に戻った方も多かろうと思いますが、相変わらず、景気に関しては明るい話題を聴きませんねぇ。

昨年末にはタバコや発泡酒の増税なんかも、意外とあっさり決定されました。私は発泡酒は殆ど飲みません(というより、アルコール自体そう得意ではないのですが・・・)ので、あまり影響ありませんが、タバコの方は、ヘビースモーカーなので、無関心ではいられませんでした。

もっと世論の反対が強いかと思ったんですがねぇ。庶民の懐具合をもっと考えろとか。でも、今やタバコに関しては、嫌煙権を主張する勢力が幅をきかせて、まるで日陰の存在に追いやられているような代物。で、増税→値上げを機に旦那や彼氏(時として女房や彼女)に禁煙・節煙を迫ろうと企む輩からすれば大歓迎。

発泡酒についても所詮はビールの代用品、景気が悪くて小遣いも減ってという酒飲み父ちゃんが仕方なしに飲んでいるんであって、本音を言えば「ビールが飲みたい」というのが実際のところ。「発泡酒増税に反対・反対っていうのも貧乏くさくてカッコ悪い」みたいな意識があるのかもねぇ。

逆に発泡酒と同時に税率アップが決定されたワインですがね、普段からワインを愛飲しているという層は、どちらかというとお金持ちが多いから、生活を脅かすようなことはないし、無関心になっても不思議はない。むしろ、相続税なんかの方が大事で、軽減されてヨカッタヨカッタって人が多いんじゃないかなぁ。

エッ?1本500円の激安ワインを愛飲中?そりゃぁ・・・、でもねぇ、1本500円が1本548円だって、598円だって激安感にそんなに差がありますか?上を見れば、1本5万円てものも普通にそこいらに売っている酒ですからねぇ、ワインってヤツは。

「税は、取り易い所から取る」というのが当局の考え方なんだろうけどさ、取り易いところってのは得てして大した余力はないんですよねぇ。“搾り取ったらもう一滴も出なくなりました”なんてことになったら元も子もないだろうにとも思うけどねぇ。

この手の話題が出るとマスコミは、決まって「税制を決めているのは、所詮政治家と高級官僚。庶民の気持ちや生活実態はわからない」と言いますよ。そのとおりだとも思うんだけれど、ちょっと怖いことも考える。

発泡酒を買っている人達は、安いから発泡酒を買っているんであって、発泡酒が高くなるとビールに戻るのか?答は、NOだ。安い発泡酒が高くなってもビールよりは安いだろう?やっぱり発泡酒を買うんだよ。でも最初は、今まで週に10本だったのを7本に減らすとかするんだよ。

タバコだって、1日1箱(20本)だったのを15本に抑えるんだよ。でも悲しいかなずっとは抑え切れないんですわ、これが。半年も経てば元に戻っちゃうんだよなぁ。

んでもって、その頃には増税で高くなったなんてことも忘れてしまうんだよね。それが平均的な日本人、庶民ってもんでさ、財務省の官僚は、実は庶民の生態ってもんを十分理解しているんじゃないかって。何だかんだ役人ってのは強かですよ。

まあ、今年もそうやって我々庶民ってのは何だかんだと搾り取られるんでしょうなぁ。仮に景気動向を示す指標が上昇しても、きっと我々の生活に上昇感は見られないんじゃないでしょうか?失業率だって、自殺者数だって劇的に改善されてほしいけど、望み薄かも。

その一方で、「日本って本当に景気悪いの?」と思うことがあるのも事実ですよね。だって私なんか、「欲しいなぁ、絶対に欲しいけど、絶対に買えないよなぁ。でも欲しいよぉ」と迷いに迷っていたアルファロメオ156GTA(車両価格544万円)、諦めきれないでいるうちに「売り切れで〜す」だって。

ダイムラー・クライスラーの超高級車「マイバッハ」にしても、総生産台数のうち1割は日本で売る予定だとか。もっともこっちは個人購入がどれだけいるのかわからんが。

クルマだけじゃなく、様々な製品でいえることだと思うけど、決して安いものだけが売れているわけじゃない。とんでもなく高いものも売れているというのが日本の現状のようです。でも、消費全体としてみれば、やはり落ち込んでいるのは事実。

これはきっと、日本人の生活水準がある一定の飽和状態に達してしまったということではないでしょうか?必要なもの、欲しいものっていうのは、一通り手に入れてしまって、新規の需要というのが少なくなっているから、全体の消費が伸びない。そんな中で購入意欲というのは、趣味性・嗜好性の高いものに向けられるので、高級品が売れるって感じじゃないですかねぇ。

要するに、実態経済というものは、マクロでは把握できないということですよ、竹中さん。