今回俺SFメカコンテストのテーマとなったスパイダーは、1968年に緑商会から発売されました。
1968年と言えばタミヤがミリタリーミニチュアシリーズ第1弾のドイツ戦車兵セットをリリースした正にその年ですが、一方でJOSF(日本メーカーオリジナルSF)プラモデルが最も花開いたとされる「奇跡の3年間」の最後の年でもあります。
緑商会はミドリSFシリーズと位置付けたキット群を、改名再版を含まず30数点リリースしていますが、この「スパイダー」は緑商会SFシリーズとしては「トーキング戦車ビクトリー」「地中戦車ウルトラモグラス」と並ぶ最後の大物トリオの一人です。しかしミドリSFシリーズの集大成にして最後を飾るキットが、一方でその後に半世紀以上に亘って連綿と続き、今では世界標準スケールとなったタミヤのMMシリーズ誕生の年と重なる偶然は、如何にもプラモデルシーンのバトンタッチを象徴するようで感無量です。
このキットの発売時期の話はともあれ、まずはこの魅力溢れるパッケージイラストをご堪能下さい!
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画像提供:へんりーさん
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4組のシーソー式台車にセッティングされた8個のタイヤが、ダイナミックに悪路を捉えて走破しているスパイダー!スパイダーのギミックを余す所なく活写した傑作イラストです。
人の背丈ほどもある巨大なタイヤ。車体には不釣り合いなほど大型のミサイル。これもまた巨大なレーダー。そしてそれらを装備して一つのビークルとして纏め上げた流麗な車体のデザイン。
これが今から半世紀以上前の1968年に設計され、このような時代を超えたパッケージイラストと共にリリースされたプラモデルである事を思うに、如何に緑商会のセンスと技術が優れていたかを痛感せずにはいられません。
さてこの躍動感あふれるイラストですが、探検車というカテゴリーの車両ながらイラストでは激しい戦闘シーンが描かれています。ミドリSFシリーズには初期のエコーセブン、キングモグラス以来日の丸マークのデカールが付いていてこれらのメカは日本国籍を有する物である事が強調され、アトラスの2版目からはパッケージイラストにJSDO(日本宇宙開発局)のマークが登場します。
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今回のスパイダーは車体自体には「JSDO」の文字は書かれていませんが、ミサイルの尾翼に小さくJSDOの文字が記されています。またパッケージには「JSDO
SPIDER」と明記されているので、このキットもJSDO所属の車両である事が分かります。イラストの奥に見える純白の建造物とロケットの発射台は、どうやらその日本宇宙開発局のもののようで、その地下格納庫から、地上に露出した巨大な岩盤の割れ目を利用したルートを通ってスパイダーが何台も地上に出現しています。地上の平面を利用した奥行き感と共に、地上の基地から地下に続く事を予想させる縦方向の深みを感じる実に憎い構図ですね。しかも地平線に対して斜めに切り取った不安定な構図は、いやが上にもダイナミックさを演出しています。画面からはスパイダーのエンジン音とタイヤが地面を噛む音が聞こえてきそうではありませんか!
スパイダーは手前の一台とそれに続く中景の僚車以外に、先頭車両の陰からミサイルを発射しているもう一台がいるようです。地下基地から続々と進発するスパイダーと次々に発射されるミサイル。ここで更にイラストを良く見ると、JSDO基地と正対する画面左奥には、アメリカのモニュメントバレーの奇岩「スパイア」のような異形の建造物?が聳え立ち、JSDO基地との間で熾烈な戦いが繰り広げられています。ここで探検車であるはずのスパイダーが強力なミサイルを有して戦闘に参加している事に若干の違和感を覚えませんか?
実は緑商会のSFビークルで明確に「探検車」と位置付けられているのはこのスパイダーの他にはスペースコマンドだけですが、そのスペースコマンドには武装は無く、後部格納庫にミニ偵察車が収められているだけです。それに比べてこのスパイダーの重武装は一体・・・?
ここからは単なる憶測ですが、このヒントになるのはスパイダーが単なる探検車ではなく「万能探検車」と名付けられている点です。もしかしたらスパイダーのミサイルランチャー搭載部分は、交換可能な装備品をセッティングする個所で、そこにはJSDOお得意のパトロール艇やパトロール円盤等の偵察ドローン、あるいは各種観測機器がユニット化されて装備可能なのではないか?本来は探検車でありながら、その装備換装が可能なスペック故に、火急の事態には戦闘車輌としても使える万能車輌という位置付けなのではないか?という解釈です。とはいえ、本来宇宙戦車というカテゴリーではないスパイダーですから、今回のサブタイトルを「強行偵察型宇宙探検車」としてみました。
それにしても日本の宇宙開発局所属である探検車が、敵対武装勢力・・・それも異質な建造物からは異星人とも思われる敵と、地球を遠く離れた惑星で戦闘するというシチュエーションには、勇壮な中に不穏な物語を想像させられます。
これも、第二次世界大戦終結からでもまだ13年、朝鮮戦争休戦から僅かに5年、ベトナム戦争に至っては将に激しさを増すばかりといった時期の「今、隣にある危機感」が漂っていた時代の、そんな空気の反映かもしれません。
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さて、左の画像はスパイダーのパッケージ左下を拡大したもので、そこにはイラストの作者T.Ishida氏のサインがあります。ミドリSFシリーズのパッケージイラストは中西立太氏、小松崎茂氏といった錚々たる画家が手がけていますが、緑SF最盛期に最も多くの作品を手掛けているのがこの石田氏で、動く模型愛好会広報担当の筆者も小学生の頃にジュニアモグラスや宇宙大作戦のエンタープライズ号のパッケージを見て「この人の絵って凄いな!」と感動したのを覚えています。
実は2022年の11月に出た月刊誌「週刊実話ザ・タブー」では模型研究家のおおこしたかのぶ氏がフルカラー4ページの特集でこの作家に関する研究発表をされています。
週刊実話は御存知の通りのお色気情報雑誌ですが、恒常的に反社会勢力(平たく言えば暴力団さんですね)の内情や漫画文化等に関する記事をかなりマジメに載せている事で、報道関係者や一部の人に注目されています。
特に11月号のおおこし氏の研究では、日本で初めて石田氏についての全作品紹介と作品評価をしている優れたもので、機会があれば一読をお薦めします。ただ、おおこし氏の精力的な調査にも拘わらず、遂に石田氏の本名も正体も突き止める事が叶わず、今もって謎多きイラストレーターとなっている事が残念です。
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上は、同じく石田氏が1968年の緑商会のカタログ用に描いたスパイダーのイラストです。(但し画像転載元は1969年版同社カタログです)
緑商会はカタログやパッケージ側面の商品ラインナップイラストなどで、ボックストップのイラストとは別にキットのイラストを何枚も準備している事で知られています。この作品もカタログ用のイメージイラストとして描かれた為に、正式なボックス用イラスト程は細部の描き込みはされていないものの、シンプルな筆致で良くスパイダーの特徴を表していますね。
8輪のタイヤを持つメカを8本の足を持つクモ(スパイダー)と掛けているネーミングが納得できます。ITC等の海外SFメカに勝るとも劣らない、力強さと流麗さを兼ね備えた素晴らしいデザインではありませんか。
この「俺JOSFメカコンテストテーマ」の紹介ページは、キットそのものの紹介と同じくらいパッケージや広告イラストの解説にスペースを割いています。それはプラモデルの魅力は単にキットそのものだけでなく、パッケージアートとの相乗効果で醸成されるものだからですが、特に実車や元ネタ映像の無いメーカーオリジナルSFプラモデルというジャンルではパッケージイラストは単に「プラモの箱絵」と片付けられない重みを持っています。映画やテレビや漫画に登場する訳ではないJOSFプラモデルは(当然キット自体の出来不出来は前提ながら)言ってみれば零細企業でしかないプラモデルメーカーのおっさんの脳内で作り上げられたメカが、キッチュ(低俗)なものに成り下がるか、キットそのものを子供の想像力の中でリアルに昇華させるか、を分ける重要な役割を担っています。
今から半世紀以上前のまだ日本中が質素だった時代、子供が接する商品には玉石混交どころか文字通りの子供だまし玩具が山程ありました。作っても動かないビークル、湯(樹脂)が金型に流れ切らず砲塔が融けたような戦車、ゼンマイを巻いて走らせるとスクリューのピッチが逆でバックする船、エトセトラ、エトセトラ。
そんな悪徳・・・とまではいかずともテキトーな商品が溢れかえっていた当時、貴重なお小遣いをつぎ込んで買うべき商品を選ぶのは、当時のチビッ子にとって真剣勝負でした。中でもメーカーが自由に企画するJOSFプラモデルはピンキリで、優れたキットからトホホなプラモまで、同じ模型店の店頭で肩を並べていたものです。
そんな中に陳列される魅力と誠意あふれる秀逸なパッケージイラストは、それだけでチビッ子のハートと信頼を掴むのに有効なアピールポイントだったのです。
その魅力と時代の一端でも伝われば、というのがキット紹介の前座たるべき、パッケージの解説なのであります。
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次に御紹介するのはボックス側面のギミック解説です。実際はボックス横には5連のギミック解説があるのですが、本ページのレイアウトに無理矢理横長の画像を埋めると見にくくなるので走行ギミックとその他に分けて解説します。
まずは走行装置についての解説ですが、タイヤが2個ずつシーソー式に配置された4組の8輪駆動機構がどのように機能するかが詳細に解説されています。
図1(左):シーソー式サスペンションが効いた8輪駆動メカの走破性を述べています。
図2(中):4組のシーソー式サスペンションによる車体の水平安定性を謡っています。但し、図1で明らかな
ように、坂が急な場合は車体は水平を保てないので、図では坂ではなく悪路をイメージしています。
図3(右):障害物に当たってタイヤの回転が阻害されると、シーソー軸と共用している駆動軸からのパワーが
タイヤではなくシーソー台車そのものを回転させるモーメントに変わり、車体が高く持ち上がって
障害物を乗り越える動きを説明しています。
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さて今度は走行機構以外のギミックの説明です。
図4(左):ミサイル手動発射とミサイルランチャーの上下左右の動作を説明しています。但しここはちょっと
説明不足でメーカー苦心のスーパーギミックを十分に売り込めていません。後程この辺の仕組みは
設計図で御説明致しますが、まずミサイルランチャーの左右の首振り運動は走行中に自動で行い、
ランチャーの上下動はランチャー基部のハンドルを回すと非平行四辺形リンク機構が可動し、全体が
複雑に連動してランチャーを上下させるのです。ここは「ミサイルは自動で左右運動。手動で複雑に
上下し、大型ミサイル2弾発射。」とすべきでした。(文字数も2行でバッチリ)
図5(右):緑商会SFメカお約束のレーダー回転とムギ球発光ギミックの紹介です。レーダーは左右に首振り
運動をしているようですが、ここは一方向(上から見て右回り)に回転します。
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と、いよいよここからは一番気になるキット本体の様子に迫ります。
まずはキットの大きさが分かるように、縦204mm、横幅383mmというデラックスなキットの箱と並べられたスパイダーの組立途中の画像です。大型ミサイルの先端まで入れると30cmクラスとなる大型キットの様子が伝わるでしょうか。
これが、シンプルな作りで確実に作動する緑商会のスーパーギミックの真骨頂、スパイダーの全貌です。
画像が小さくて良く判別できないかもしれませんが、左下のデカールにはスパイダーを象徴するクモのデザインの下に、ミサイル側面に貼り付ける赤い「JSDO-1002」のマークも見えます。
先に御紹介したボックスサイドのギミック解説ですが、その反対側には緑商会SFキット全盛期のラインナップ「バンガード」「アトラス」「キングモグラス」「ビッグモグラス」「スコーピオン」の面々が揃い踏みで並んでいます。
我が国本格的JOSFプラモデルの嚆矢と言っても良いビートル2世、エコーセブン等は、パッケージイラストやキットのデザインにやや古式ゆかしい風情も残っていたものの、それから僅か2年で緑商会SFシリーズがここまで進化した事を如実に示すスパイダーは、我が国のメーカーオリジナルプラモデルの一つの金字塔と言って良いでしょう。
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画像提供:へんりーさん |
今度は車体下部のアップです。
車体前後を貫く長大なドライブシャフトと、そこにセットされたウォームギアで前後の車軸を回すというのはビートル2世を始め緑商会SFシリーズではポピュラーな駆動設計ですが、このスパイダーはその前後の車軸から更に枝分かれしたギアシステムで、驚異のサスペンション式8輪駆動という空前絶後の走行機構を実現しています。
ここに更にマブチNo.25モーターと単三電池三本がセットされる事を思うと、重厚なリジットゴムタイヤと相俟って、スパイダーが如何に重厚なキットであったかが実感できますね。
これが緑商会最終期のSFプラモ集大成の重みである一方、タミヤが翌々年に発売したモーターライズを排したシュビムワーゲンを作った時の何とも言えない軽さが対照的に思い起こされます。
方やスーパーギミックのSFプラモデル。方やディスプレイスケールモデルの歴史を開いたキット。栄枯盛衰の終わりと始まりを暗示するかのような重みと軽さの方向性の違いが、とても象徴的に感じられます。
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画像提供:Tachikawaさん |
さて、上記のパーツに関してスパイダーのインストではどのようになっているかを見てみましょう。
まず組立手順の12番ですが、ギアボックス群は一体型ではなく、前部ギアボックスのBギアー、後部ギアボックスのCギアーと、それを繋ぐプロペラシャフトであるAギアーの3分割で構成されています。
ギアーボックスの筐体になるスチール板は、ギアボックスを車体にセッティングする前後の向きと、プロペラシャフトを車体右側にオフセットする関係上、シャフトを保持するダボ穴はいずれの位相でも使えるように左右2個ずつ用意されています。一方を使えば他方のダボ穴は必ず使用しないと考えると一見無駄にも思えるのですが、この汎用設計によりBギアーの筐体もCギアーの筐体も1個のプレス金型で済むという、メーカーとしては重要なメリットが生まれる訳ですね。これは同社のスーパービートルにも見られるギアの筐体設計です。
また、薄い金属の単なるコの字型ギアボックスはそれ単独では剛性を保てませんが、それが車体に三方で曲げ止めされる事で剛性を獲得し、更に微妙な精度と確実さを要求されるスパーギアとウォームギアの嚙み合わせも、バラバラの3種のギアパーツを車体にセットするだけで確実な接続を完了します。実はこういう設計は、展示用の動く模型を生業にしていた筆者の目から見ても驚く程巧妙です。
小学生でも複雑な走行機構を確実に組み立てられるようにするには、簡単な作りで強度と精度を両立させる設計が極めて重要である事が分かります。
組立手順の16番は、シーソー台車の組付けです。シーソー台車には歯車と一体にモールドされたホイールハブを取り付け、それを軸から動力を取り出す動力伝達用ギア(46)で連結して、シャフト留め(36)で押さえます。
タミヤのワイルドミニ四駆のパワートレイン構成にも似ていますが、タミヤがセンター軸のギアと車軸側ギアの間にもう1個ずつギアが入っているのに比べてスパイダーのこの部分はセンター側のギアが直接車軸側ギアを回すようになっています。その為、タミヤは中央ギアの回転方向が車軸側ギアと同じ方向(前進方向)に回るのとは反対に、スパイダーはタイヤを正回転させる為にはセンターギアは逆回転する事になります。
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今度は車体裏側の様子です。
緑商会のSFキット群は、単三、単二等の電池の大きさの違いはあっても、殆どが電池2本の3v仕様で設計されています。しかし強力な走行性能を求められる8輪駆動のこのスパイダーは、同社には珍しい単三電池3本の4.5v仕様になっています。
それだけでもスパイダーの持つ悪路走破性能の高さが想像できますよね。
ギアボックスにはウォームギアが使われている為に動力伝達はモーター側から車輪側への一方通行となり、スパイダーの場合タイヤを回してもギアボックスの歯車が回転する事はありません。その為シーソー台車のセンターギアは外力では回すことが出来ないのですが、センターギアを固定した遊星歯車のような状態で、シーソー台車自体はタイヤを回転させながら自由に回転させることが出来ます。
右の写真は車体はひっくり返っていますがシーソー台車の位置は上下正位置なので、こういう事も出来るという事ですね。
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左の画像は先にちょっと触れたミサイルランチャーの上下作動機構の組み立て部分です。
ランチャーの基部となるパーツ28と30に挟み込まれる形でランチャー本体を上下させる仕掛けが組み込まれます。
大まかに言うとパーツ5のハンドルを回すとパーツ7の歯車が回り、それに噛み合った歯車でパーツ26全体が上下し、パーツ15とパーツ17が軸となって関節運動をするリンク機構が構築されるという仕組みです。
ランチャー本体のパーツ34は単体のように書かれていますが、既に組み立て説明の前段で4個のパーツを組付けており、パーツ23やパーツ41も同様に既に2個の部品から組まれています。
という事はこの図に乗っているユニットだけでパーツ数17個。更にミサイルは本体左右とバネで3パーツなので合わせて20パーツ。
それでやっとミサイルの片側が完成ですから、それが左右で倍になって40パーツ。更に、そこに二台のランチャーを乗せて左右に首振りをするミサイルランチャーベースは歯車を合わせて5パーツのユニットとなるので、スパイダーはミサイル関連部品だけで45パーツとなります。
緑商会は最小の部品点数で最高のパフォーマンスを発揮するような設計を得意としていた事を考えると、この凝りようは異常とも思える執念を感じざるを得ません。
秒読みをしながら発射するトーキング戦車ビクトリーのミサイルと並んで、これは「ミサイルの緑商会」が辿り着いた至高のミサイルと言えるかもしれません。
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組立手順17番はいよいよ佳境の車体上下の貼り合わせです。
ちょっと単純な図柄ですが、実はここに重要なポイントが隠されています。
それは車体下部の動力伝達機構への、車体上部のレーダー回転とミサイルランチャー首振り運動ギミックの接続です。
レーダーの回転軸の先にはクラウンギアがセットされています。またミサイルランチャーを動かす為に、車体後部の凹んだ部分には「偏心した突起の付いた回転円盤」がセットされ、その先端にはレーダーと同じようにクラウンギアの付いたシャフトが付いています。
この状態で車体の上部と下部を合わせると、夫々のクラウンギアが車軸を回す為のウォームギアに上からピタリと噛み合わさる事になります。
ドライブシャフトに付いた前後のウォームギアは、ギアの下方ではシーソー台車のセンターギアを回し、ギアの上方ではレーダーとミサイルランチャーのギミックを動かすのです。何という単純にして巧妙な仕掛けでしょうか。
今井科学の初版ジェットモグラのモグラ本体が、車輪走行、ドリル二段速度回転、側面キャタピラ前後往復運動、車体下部走行用の角シャフト駆動を、凝縮された一つのギアボックスで賄っているのとは違い、簡単なギアシステムを車内全体に分散配置して車体全体を一個のギアボックスに仕立てたスパイダーは、ジェットモグラとは対極にあるギミック設計思想と言えるのではないでしょうか。
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さていよいよお待ちかねのスパイダーの完成品写真です。
ヘンリーさんからは何枚かの完成品写真を提供して頂いたのですが、この一枚が長大なミサイルを最も良く把握できるアングルだったので御紹介させて頂きます。
本体もJOSFキットとしては決して小さくはないのですが、このアンバランスな程に大きいミサイルの存在感や如何に!
ミサイルのJSDOマークはキットのオリジナルのものとは違う小ぶりなものが、パッケージイラスト同様にミサイルの尾翼部分に貼られています。
JOSFプラモデルを丁寧に仕上げた作品は色々ありますが、この作品はそういった物の中でも白眉と言って良いでしょう。
素晴らしい!の一言です。 |
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さて万能8輪探検車「スパイダー」紹介の最後は、何とそのスパイダーのムービーです!
大きなシーソー式車輪を8輪駆動させ、レーダーを回し、前照灯を光らせ、ミサイルランチャーを左右に振って敵を恫喝するスパイダーの雄姿です。
更にオリジナルキットには無いレーダー基部の赤青変色発光ギミックも追加された魔改造版!
緑商会SFキットには、ビッグモグラスの前照灯透明部品のように、ユーザーに「ここは是非とも光らせたい!」と思わせるようなパーツ構成になっているものがいくつかありますが、このスパイダーもレーダー基部に透明パーツが付いており、遂にそれを実現してしまった逸品です。
これを参考に皆さんも素晴らしい俺スパイダーを作ってコンテストに参戦して下さい。 |