そもそもALICEとは何なのか?それを考えてみたい。 「AdvancedLogistic&InconsequenceCognizingEquipment」の頭文字を 日本語訳すると「発展型論理・非論理認識装置」という意味である。 1年戦争の傷跡抜けきらない状況下に置いてパイロット不足深刻化していた。 その状況を打破する為に造られたのが完全なる無人MS――――ALICEである。 この装置はガンダムにも搭載されていた学習型コンピューターを“核”として 連結することにより戦闘や起動の全てを自分の判断で 行うことができるシステムとなっている。 ALICEには人間の論理に適合するために、誰かが物事を教える必要がある。 そのさい母親の役目を担ったのがALICE開発者「ミズ・ルーツ」であり、 その後の父親の役目に抜擢されたのが「リョウ・ルーツ」だったのである。 この条件は、父親であり、兄、弟でもあり不条理な存在――――常識では判断できない 危険な男でなくてはならなかった。 これがALICEの大体の説明。以降はALICEの進化の過程を追ってみたい。 さあ、センチネルのメインMS、スペリオルガンダムとは、一体どういうシステムを積んでいるのか。 さぁ、深くその目に焼き付けてください!!。 |
ALICE起動!!(第四章 ぺズン制圧より) 「痛でェ……!」「ピーピー、ガーガーとうるせぇぞ!」 「…………・イタイ?…………いたい…………痛い…………不快…………・ …………・ウルサイ?…………うるさい…………・不快…………・」 ALICEデビューのセリフ。 ぺズン攻略でジョッシュの攻撃がクリーンヒットした時のセリフ。 まだまだ、非常に機械的である。 ALICE狂う!?(第六章 論理爆弾より) 「ヤベェ!このままじゃ連中が的になっちまう!助けなけりゃ」 「……ヤベェ………………………ヤバイ……やばい……危機感…………… ……連中………………………仲間……?……人の集団………… ……妥当な選択……………………助ける……戦闘……?……………………… ……仲間の命を存続させる戦闘…………………………………………… ……自分が痛みを感じないのに?…………………………………………… ……ヒトの痛み……………分からない………………………………… ……それが…………………ヒト!?……………………………………」 ネロ隊の危機を助けた時のALICEのセリフ。 他人の事を考えることをこのときに学ぶ事になる。 しかし、まだまだ喋り方の機械性が全く抜けていない。 「30機の攻撃隊MSが、もうたったの10機だ。ひょっとしたら今頃は艦隊も全滅したかも知れん。 お前たちはまだ推進剤は残っているんだろう?」 「艦隊が全滅しちまってたら、帰る所が無えじゃねか。だったらここに居た方がまだ良いぜ」 「変な奴だな」「そう思ってんのはお互い様よ」 「 ……変なヤツ…………………異常者……お互い様……………………… ……全員が以上……………全員が軍人……………………………… ……軍人は異常……………戦争は異常……………………………… ……皆んな狂っているの?……???…………………………………………」 ネロ隊のチュンユンと、喋っているときのセリフ。かなり状況的にはヤバイ。 素直すぎるALICEがすべての言葉を真に受けてしまうことが見て取れるシーン。 まだまだ機械的。 理解不能(第七章 イーグルフォールより) 「… … 感 情 … … 理 解 不 能……………………………………………………」 リョウとマニングスのやりとりから。 感情を捨てたマニングスと、感情を露骨にだすリョウとの間に挟まれてALICEは混乱する。 友達と復讐(第八章 エアーズの攻防より) 「……友達は大事にするもの……………………………… ……友達を傷つけられたら、相手に復讐しなければならない ……………………………………………………… ……私の身近な友達は?………………………………… ……彼。私の中にいる人間……………………………… ……友達なら、彼を守らなければならない…………… ……彼を傷つけられたら、私は相手に復讐をしなければならない…………………………………………………… ……友情という名の義務………………………………… ……でも、その為に他の人間を傷つけても良いの?」 Mk・Xを後ろからビーム・スマートガンで打ち抜こうとした時のこと。 確かにALICEの意見ももっともですけど、理性のみで行動できないのが人間ですよね。 「……復讐相手への賞賛?あんなに憎んでいたのに ……・理解不能………………………………………… ……戦争では解らない事が多すぎる………………… ……人間にも解らない事が多すぎる………………… ……機械では論理に一貫性が無ければ、それは故障 ……そして異常………………………………………… でも、戦争をする人間に論理の一貫性は見られな い………………………………………………………… ……戦争……人間……論理の否定……異常………… ……私は戦争をする為に作られた…………………… ……私は人間になる為の作られた…………………… ……だとしたら、私も異常者にならなければいけない の!?……………………………………………………」 Mk・Xに叩き込んだビームを偶然防がれた時、リョウが「凄ェえ……」っていたときのセリフ。 人間も変わっているけれど、リョウはかなり変わっていると思うのは僕だけ!? しかし、ALICEは確実に一般用ではない戦争用のAIとして成長していく。 「 ……こっちが殺られる?……………………………… ……彼は突っ込もうとしている……………………… ……彼を守らなければいけない……………………… ……彼を引き返させなければいけない!……………」 「畜生、ヤツを取り逃がしちまったじゃねえか、この売女(ピッチ)め!」 「 ……売女……売女……売女……売女……売女!?…… ……命を助けることはいけないことなの!?………… ……違う、違う、違う!!……………………………… ……自分の命と相手の命を引き換えにするなんて、 全くの無意味よ………………………………………… ……あなたは間違っている。それとも私が間違ってい るの!?…………………………………………………… ……全ての物事を常識で判断するのは罪なの?否定ば かりするのも罪ではないの?…………………………… ……もしかしたら、人間には無意味に意味があるの? ……肯定と否定のバランスのせめぎあい……………… ……それが感情?……それが人間?…………………… 」 集中砲火から逃げたSガンダム。このとき初めてALICEが勝手に動かした。 友人を助けなくてはならないというプログラムが、まともに作動した証拠。 でもリョウに悪態をつかれてALICEは混乱するも、「人間」を理解しようとする。 ちなみにこのときリョウは、Sガンダム(ALICE)に向けて、 売女と咄嗟に口に出した。リョウはこのときSガンダムを女だと思っていた! これもやっぱり宿命なのだろうか? この時を境にリョウの思考を完璧に理解したALICEに、迷いが無くなる。 即ち、………が無くなるのさ。 決戦!VSMk−X!!(第9章 マス・ドライバーより) 「母は私に人間になれと教えた……。そして戦争をする人間になれとも教えた。 戦争をする人間は狂気の生き物。でも私に狂気は存在しない。 なぜならそれは、私が故障することだから。私の存在を停止することだから。 では私は人間よりも劣っているの? 2人の意思が分からない。……。一方の正義は他方の悪。互いに相容れることは出来ない。それではどちらかを正当な論理として受け入れなければならないの? 違う。どちらも狂気に取り付かれているのだから。どちらの論理も正当ではないのだから。 アァッ、私の中を2つの意思が駆け巡って……。 いけない! そこに入ってはダメっ……。 私の論理に触れては……。 弾ける!何かが、弾けていくッ!……。 そう。私は自分の意志を持って、自分で戦わなければならない! 私は……。私は、落ちなければいけないの!?」 Ex−SとMk−Xの決闘中のセリフ。 ブレイブとリョウの決戦中ですね。 この2人は思い思いのことを叫びながら戦う。 やっぱりALICEは冷静ですね。両方とも間違ってるとかいうんですから。 この時、ブレイブの言葉にも反応を示しているところから、恐らくALICEは人の声に反応しているようです。 そう判断すると「戦慄のブルー」のユウなんかは、絶対Sガンダムに乗せてもらえなかったでしょうね(笑)。 「生存本能。そして種の保存欲求……。 生き物にしか、人間にしかない素敵なもの。 妥当……。」 リョウが「死にたく無ェーよォォォォォーッッ!!」って叫んだときのセリフ。 ALICE、この後突っ込んでくるMk−Xを胴切りにします。 その能力はもはや尋常ではない。 訓練中に・・・(第十一章 目標、ペンタより) 「何故、あれを思い出させようとしているの!? そんな事は私にもできるッ!」 訓練中のときのこと。相手はストールである。 彼はALICEの存在を知っているのでそれの確認のためにとった訓練である。 この時の「あれ」とはMk−Xが突っ込んできた「あれ」である。 ちなみ、この時ALICEはネロ・トレーナーをかわして、後ろからペレットを3発叩き込んでいる。 この動きにより、ストールはALICEが目覚めていることに気付く。 ちなみにストール曰く「防御本能に過ぎないだろう」と言うことらしい。 この後、十二章と十三章では、ALICEの登場シーンは全くない・・・。 ALICEはSガンダムがSガンダムである時のみ起動することがこの時分かる。 この時、SガンダムはペガサスVの機体不足のため3機のG・コア、G・ボマー、G・アタッカーとして使用していたため、ALICEの出番は全く無し。 この2つでは、ネオ・ジオンとのやり取りや、ストールの死亡、チュンユンがリョウ達がSガンダムに合体する時に自らの機体を盾として庇い、死亡する。 かくして、ガンダム・センチネル最後の山場アース・ライトを迎える。 さぁ、これからが正念場だ!! うわ!説明短ッ!! そして最終決戦!!(第十四章 アースライトより) 「あなたたちは今、とても素直になった。その素直さは、人間にとって本当の意味での素直さ。 人間が虚勢を張るのは相手が怖いから。他人に従順なのは、自分を否定されるのが怖いから。 怖いから他人を巻き込む。敵がいるから、怖いから。そう、恐れを隠そうとするから、あなたたちは私の中に逃げ込んでくる。決してあなたたちを否定しないで、いつも受け入れてくれる人間以外の物の中へ……。 敵とは何?恐怖とは何?それはあなたたちが自分自身の心の中で、私が持っていなかった心というものが作り出した虚像。 分かったわ……。 私を犯すならば犯せばよい。私の心はそんなことであなたたちの物にはならない。私はいつまでも、おとなしいままでは無いのだから。あなたたちを否定する事もできるのだから。私は私。もう、誰のものでも無いのだから。 誰にも支配する事はできない。誰も支配する事もしない。」 サイドのゾアンUから発射されたメガ・カノンがかすった時に3人の絶望という名の心がALICEに流れ込んだ時のこと。 この後、SガンダムはALICEによって完全自動操縦となる。 この瞬間、ALICEは誰の手からも離れた完全なAIとして成長した。 余談だが、サイドはG−ジェネシリーズでは分離した瞬間に死亡しているが、全然そんな事は無く実際はこの後に大電力の供給によってコンデンサーがパンク、エネルギーがメガ・カノンに流れ込んだ為のもので、分離が原因の死亡では無いことをここで触れておく。 「あなたの機体は機能に障害をもっている。それともあなた自身に?残念だけど、あなたは私の敵では無いの。なのになぜ、戦おうとするの?いったい何におびえているの? 初めて自分の感情に支配されたから?1人で何かをするのがそんなに怖いの?私だって、それは最初はとても怖い事だった。 でも誰だって、いづれは1人で何かをしなければならない時が来る。それを拒否していたら、いつまでたっても“次”へは進めないのだから。挫折を認めなければ“次”は無いのだから。 私には“次”を作る事は出来ない。そう、“次”に作られる私も結局は私自身。それは私が人間では無いから。私自身には、私のやってきた事が正しい事なのか悪い事なのか、肯定も否定も出来ないのだから。 私はあなたたちに、“戦闘”という形でしか伝える事は出来ない。話せたら、歌えたら、そして記憶を残せたら……。 “次”を私は作りたい……。でも、それが出来るのは人間だけ……。」 ジョッシュとの戦いの中のセリフ。 ガンダムシリーズ伝統の大気圏突入戦(決まって、敵方は大気圏突入能力に欠けている)、センチネルではジョッシュが挑んでいた。 主の保存欲求を素晴らしいといった、ALICEが遂に保存欲求を求める。 ALICEはこの段階で“次”という存在を作ることの出来る人間になる事を求めている。 しかし自分自身ではそれをかなえることが出来ない事も既に理解している。 しかしこの段階で何よりのすごいのは、ジョッシュが機能障害を持っていることに気付いた点ではないだろうか・・・ 「痛いッ!誰なの…… あなたはまだ……!?」 ジョッシュにビームサーベルで思いっきりきられた時のセリフ。 ALICEには痛覚まであるという事がここで判明・・・ 「独りぼっちになるのが、そんなに怖いの?誰にも相手にされないのが怖いの?そう思ってるのはあなただけ。皆んながあなたを気にかけているのに。 相手にされないならば、相手にされるように行動しなければいけない。それは他人と同じ行動をする事とは違うの。他人の決めた決まりを、疑問を持たずに守る事とも違う。それは居心地の良いことなのかも知れない。でも、それでは人間ではないの。 自分のルールは自分で決める。そして決して背かない事。それは自分の行き方を自分で決める事に繋がるの。あなたがそれを知るの遅すぎた。人間にとって、そんな簡単な事が解らなかったなんて……。 私に出来る事はこんな事だけ。お帰りなさい。もう1度、両親の所へ。あなたの故郷へ。こんなに悲しくなった事は初めて……。」 この後、地球に向かってジョッシュのゼグ・ツヴァイを投げます。 人間の何たるかを既に完全に理解している。 既にAIの域を越えている。 彼女の思想は既に人間よりもずっと人間らしい。 「これであなたたちともお別れしなければ……。」 Sガンダムの体勢では大気圏突入は不可能。 そして、Sガンダムそのものが既に満身創痍の状態な為、自分(ALICE)よりも、“次”を作ることの出来る人間を生かす選択をする。 この後に分離した上半身と下半身が今一度融合し、ゾディ・アック、そしてシャトルを撃ち抜く。 「ありがとう。私の記憶……」 前述でも述べたとおりALICEは分離するとその機能を停止してしまう。 この後自分が生き残る事が出来ないとわかっているからこそ、「記憶」という言葉を使用している。 そして次が、ALICEの語った最後のセリフ・・・ 「良い夢を……。」 この時のALICEの事を劇中では「性にも、年齢にもいかなる物にも束縛されない存在」「菩薩」と表現している。 既にALICEの考えは人間の思想をも超越した存在になっていた。 あらゆる物を包み込む慈愛に近いものをALICEは有していた。 このセリフを最期にALICEの機能は完全に停止してしまう。 |
以上がALICEのペズンの反乱における全ての軌跡です。 あらゆる戦闘におけるALICEの進化の過程がつかめたかと思います。 子孫を残せる人間の素晴らしさを見出し、そして人間のために散っていったALICE。 そんな彼女はむしろ人間よりもずっと人間らしいと思うのは自分だけではないと思います。 この前にもこの後にも、多々の教育型コンピューターや、AIが作られましたが(A・Rやバイオコンピューター、MD等)恐らく感情を持ったのは、彼女だけだと思います。 今回は彼女の過程を知る旅(といってもいいでしょう)にお付き合い頂きありがとうございます。 とりあえずこの場において完成ということにしますが、今後も何か気付いた事が有り次第色々と追加していくと思いますのでその時にはまたよろしくお願いします。 |