八重山の天然染料と色

 

古来より植物から作られた染料のほとんどが薬用とされ、人間にとって優しいことは言うに及びません。島々の四季折々精が充ちた時期に採取し、それぞれ植物の持つ個性より色を引き出しています。太陽の光と豊かな水も彩りを助け、織物に絶妙なハーモニーをあたえてくれます。

 

  

 

 

 
  

黄色系

福木(フクギ)

他に、楊皮(ヤマモモ)・梔子(クチナシ)・八重山アオキ・ウコン

 

福木(フクギ)オトギリソウ科

沖縄を代表する黄色染料植物。島の拝所に多い聖なる樹のひとつ。5月ごろ黄色の花が咲き香ばしい。

=樹皮を煮きだして染液とする。季節により枝葉もそまる。その鮮明な黄色に藍をかけて美しい緑色をだす。

 

茶系

紅樹(ヒルギ)

他に、紅露(クール)・車輪梅

 

紅樹(ヒルギ)マングローブ

オヒルギ・メヒルギ・ヤエヤマヒルギなど各種あり、その樹皮を染料とする。赤味の強い茶色は日光で良く発色。

=マングローブ地帯は一部天然記念物として保護されている。小浜島・西表島に自生している。

 

青色系

他に、琉球藍・クサギ・月橘(ゲッキツ)

 

インド藍(木藍)キツネノマゴ科

八重山地方に自生している多年草で夏に茂り秋にピンクの小花と種をつける。枝葉を苅り水に浸す。一昼夜の後、こした青汁に石灰を混入撹拌の後、沈殿を待つ。藍建ての際には青汁と生葉を使う。

=染色の仕上げにお茶(タンニン)をかけ黒く染めることもある(儀礼用などに)。竹富島・小浜島・西表島に自生。

その他

紅の木(アンナツトウ)

他に、蘇木・紅花(タラマバナ)・月桃(ゲットウ)

 

紅の木(アンナツトウ)

紅の木の果実をアンナツトウと呼んでいる。低木で高さ2〜4m南方諸国で主として食品着色に用いられてきた。

=サフランの花芯と同じであり、染色で紅色に染まることからベニノキと言われた。

灰色系

他に、椎(シイ)

 

赤芽樹(アカメガシワ)

山地に多い高木で赤い新芽を出す。茎皮をはいで葉と共に煎じる。

=竹富島・小浜島・西表島に自生し、鉄媒染でグレーから黒までを染める。同系色に椎の木(イタジイ)がある。

 

  

この多種な染織は島に自生した豊かな素材に支えられ、自然のサイクルに学びつつ素材作りから織物までを一貫した製作工程の見える仕事をモットーにしています。

 

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