そらのためにふるあめ


窓のそとは雨。

しとしとと、雨のおと。



「…のう、天よ」



窓の棧にかるく手をかけつぶやく。



「おぬしもわしと同じなのだな」



頬につたう雫が、冷えたそこにあたたかい。

ぬぐうこともせず、ぽろぽろと、腕に、胸に。



「愛しい者を、待っておるのだな……」



言の葉はあまりにも小さくて。目前の雨のおとにかき消される。

未だ雨は止まず。

ふたつの雨は止まず。



「…はやく、戻ってこんかのう」



雨とともに待つ、彼の帰還。











*END*


…ポエム?
…本の再録?(本なんて作ってません)
初なのに尻切れトンボ的ですいません、補足しまくりますと
・楊ゼンさんは敵地にひとり視察に行ってしまいました。師叔に黙って。言うともしかしたらついて来て危険な目に合わせるかもしれないと思って…。
・それを知った師叔は、自室の窓から彼が帰ってくるのをずーっと空を見ながら待ってるのです。
・タイトルにある「そら」は勿論、楊ゼンさんです。
…ということらしいです(自分で書いたくせに他人事みたいに…脱兎!)