それは禁断の呪文。


 甘くそして、許されない言葉。


 …あの、名前。
















「望ちゃんは、キレイだね」



 そんなコトない。



「生き生きとしていて、キラキラ輝いてる」



 それはおぬしだよ。わしではない。



「…僕はね、そんな望ちゃんが、好きなんだ──」



 …いっそのこと、嫌いになってくれたらいいのに。


 優しい言葉は、酷く甘く、自分を、彼を、苦しめる。
















 わしはキレイなんかじゃない。


 汚い、薄汚れた醜い感情の塊。


 どうしておぬしと比べられようか。
















「どうしたの、望ちゃん?」



「最近、変な夢を見るのだ」



「へえ、どんな」



「おぬしに置いてゆかれる夢」







 本当はもう、その時全てが解っていたのかも知れない。







「逆になっちゃったね、望ちゃん」



「何が」



「あの時話してた夢とさ。君は僕を置いて行ってしまうんだから」



 何故か二人笑いあって、わしは本当におぬしを置いて旅立ってしまったけれど。
















 夢は、正夢だった。


 おぬしはやはり、わしを置いていったではないか。


 残酷にも、わしの目の前で。


 会いたくても夢のようなおぬしは夢のように儚すぎた。
















「…ふげん」







 禁断の、甘い呪文。


 その、名前。


 呼ぶ度に、君を、思い出す。









*END*


普太です。こんなに普太を真剣に書いたのは初めてです。
でも、こんな有り様です;
それにしても、いつもの普賢is鬼畜偽天使はどうしたんでしょうねえ。
太公望の普賢に対する気持ちを書いてみたわけなんですが、色々ごっちゃになってしまいました。
一応、仙界大戦後の太公望のココロって感じです。
ああ〜しかし、切な系書くのってなんでこうも筆が進むんだ…。ハッピーエンドが好きなのに!!!