-それいけ!アンパンマソ-


それいけ!アンパンマソ -中編-
---前回までのあらすじ

時は、西暦20XX年。
世界規模の核戦争を経験した地球は、放射能汚染、異常気象、疫病の蔓延などにより荒廃していた。
人口は20世紀末と比べ、わずか18% に減少。
しかし、核により汚染された大地はもはや、それだけの人口の食料でさえ、生み出せはしなかった。
わずかに残る耕地や食料をめぐり、絶えず巻き起こる紛争。
日々繰り返される犯罪と暴力。
この時代を生きる人々の心は、絶望という闇に支配されていた。

というあらすじは、これから後に続く物語とは、何ら関係が無い。

*   *   *

「チャンスだ!!助けなくては!!」

アンパンマソはそう叫ぶと、カツアゲ現場へと赴きました。
カツアゲ中の不良三人組みは、突然目の前に現れた頭がビニール製の男を、ガンをくれながら怒鳴りました。

「なんだ!てめー! 見せモンじゃねえぞ!ガンくれてるのか!? ア゛ァー!! ついでにてめーも殺るぞコラァ!!」

不良はそう息巻きながら、ヒカリモノ(※1)をちらつかせました。
ああ、哀れな不良三人組!
まさか先ほどの言葉が臨終の言葉になるとは思っていなかったでしょう!

気づいたときには、三人組は3個の肉塊と化していました。
3体とも、目をくり抜かれ、鼻を削ぎ落とされ、喉笛を真一文字に掻っ切られていました。
アンパンマソ(シンナー中毒者)に喧嘩を売ったのが間違いです。
御愁傷様。

そして、その場に残されたのは、カツアゲされていた少年とアンパンマンの二人になってしまいました。
アンパンマンは、にたにたと焦点の合わない笑みを浮かべ ながら、おびえる少年に声をかけました。

「危ないところだったね。でももう安心だ」

少年にとっては、カツアゲされていたほうが安全だったかもしれません。

「さあ、僕のアンパンを分けてあげるよ」

少年は、泣きながら首を横に振りました。
恐怖のためか声が出ないようです。
しかしアンパンマソは、それを

(遠慮してるんだな)

と、都合良く解釈することにしました。

「遠慮しなくてもいいんだよ。最初はタダだからね」

アンパンマソはそういうと、少年にボデー(※2)ブローを一発叩きこみ、意識を失わせました。
そして、少年の口元に自分の頭のビニール袋をあてがいました。

*   *   *

・・・数分後、アンパンマソは瞳孔が開きっぱなし、涎を垂らしっぱなしの少年を見下ろし、

(こいつはもうシンナー無しでは生きられない。
良いカモがまた一匹増えたな・・・)

とほくそえみながら、一日一善を実行できた(?)事を、喜んでいました。

しかし、そんな平和(?)を打ち砕くように、パトカーのサイレンの音が、辺り一帯をこだましました。

「きやがったな! バイキンマソ!!」

吐き捨てるようにそう言う、アンパンマソ。

そう、アンパンマソの生涯のライバル、"バイキンマソ"がすぐそこまで迫っていたのでした。

----続く

*   *   *

後編予告

「さーて、来週のサザエさんは!?

♪ちゃーちゃらっちゃーちゃちゃちゃちゃ…… 中島です。
なんでお前が予告をやってるのかだって?
それは磯野家の人が 全員失踪したからです。
さて来週のサザエさんは、

『マス夫、よそに子供こさえて蒸発。』原因は髪さんの髪型か?
『カツオ、ロンゲにしたら家勘当!』波平に対するあてつけか?
『サザエ、三河屋にツケを払えず一家で夜逃げ!』

の3本です。」

※1 ヒカリモノ

寿司のネタで、サバ等の銀色の光った魚の事。
足が速いので早く食さないと中ります。
中ると全身に蕁麻疹がでます。
体験談。

※2 ボデー

“ボディー”と言ってはいけない。
“バディー”も不可。
いじめの時には顔面を殴ってはいけない。
ひたすらボデーを打つべし!
なぜなら痣が服に隠れて発見されにくいから。
でも最近は、PTAもその事が分かってきたから、服の下も見るようになってきた。
そうすると残ったのは、ローボデーだけ…。


第三話

初出:1999/05/02
修正:2000/10/01


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