超短編小説

◆雨、坊主頭、建築の本、港区の地図、そしてラッキー
今日は雨が降っていた。
東横線から日比谷線に乗り換えると、運の良い事に席が一つだけ開いていた。
僕は迷わずそこに座った。
隣には20才くらいの女性が座っていた。
彼女は坊主頭だった。
彼女は「暗闇の中の建築」という本を読んでいた。
僕がその本を隣から覗き見ているのに気付いたのか、彼女は本を鞄にしまい、代わりに東京23区分の地図を取り出した。
彼女は港区の地図を見ていた。
それを見て僕は「六本木で降りるのかな」と思った。
彼女は地図をしまい、今度は“ラッキー”を取り出した。
それを見て僕は「“ラッキー”は“ポッキー”の二番煎じだな」と思った。
彼女は“ラッキー”の封を切ることなく、六本木で降りていった。
窓の外を見た。
地下鉄なので雨が降り続いているかは分からなかった。
ただ、彼女の持っていた“ラッキー”はバナナ味だったことは分かった。
(続かない)

コレニテドロン


↑何でこんなものを書いたのだろう?
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