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全国居酒屋紀行「金沢編」 〜加賀百万石の銘酒〜
金沢城址・石川門前の太田氏。「昔関西の通人は京都を避けて金沢までやってきましたが,私は通人を気取って居酒屋にやってまいりました」で始まる.
金沢は文化の格調高いところだと強調していました.今日行くであろう居酒屋何軒かがオープニング曲と共に流れる.
恒例の市場めぐりの時間.お昼時らしく人がいっぱいである.ヤリイカが高くなったと太田氏.一本800円は高いらしい.たしかにあまり大きくないような気がしたので,
高いと思う.(いつもは大抵魚の安さに驚く場面が多いが)
市場の路地奥に近江町食堂という名物食堂を発見.手前看板にはキトキト魚料理とありいかにもおいしそう。「ここのブリカマは最高ですよ」
市場内を移動.なまこがタッパーのようなものに入っている.一皿300円と値札.
市場をいったんでて前田利家像の前.その後街中を散策.石畳と土塀を覆うわら状のものが旅情をそそる.出ました(お気に入りのところだろうか)とかいいながら居酒屋の看
板などを見ながら散策.ある店の看板には1合半とあり,「1合半か,オレにはちょっとたりないな、2合半ぐらいないと」
最初のおでん屋「菊一」に入る.暖簾の横に自動車学校申し込み取次所とあったのが不思議だ.申し込みの書類一式がカウンターにでも置いてあるのかと思う.
最初に頼んだ酒で暖まった太田氏は本当に満足そうである.確かに酒は最初の一杯が実にうまいものである.特に風呂上り最初のビールなどはこたえられない.
豆腐とサトイモがよく煮込まれていておいしそうである.豆腐は黒ずむほどによく煮込まれている.「金沢は60年では威張れない」とのご主人の言葉に金沢の歴史を感じる.
次に頼んだのは,大根とタニシ.大根はまるでこんにゃくのように色が変色し,崩れる直前のようだがうまそう.「タニシを知っているかで年齢が分かりますよ」とご主人だが,
昔は普通に食べられていたのだろうか.(ちなみに僕はタニシを田んぼで取った事はあるが,食べた事はないように思う)
店紹介テロップ「菊一」 | お父様である先代のご主人が店を開いたのが,昭和九年というから,今年で創業66年を迎える.おでんの老舗.自家製イワシのつみれと,名物料理どて焼きはぜひご賞味あれ.美味しいのなんの. |
店を出る.太田氏隣のお客のおじさんに金ツバを貰ったらしい.お土産か何かだったのだろうか.気前のいいおじさんである.
次の店「源左エ門」に入る.お酒の種類が豊富なところらしく,半合で頼む.粋な名前の酒,「みなもに浮かぶ月」。
刺身万十貝.甘くておいしいそうだが,名前の由来は不明.太田氏は甘いからかなと推測していたが。
途中カウンター席に座る太田氏の横に女性が母親らしき人と共に座る.カメラ目線で「すごい美人が来ましたね… ぶつぶつ」と声を低めて報告.客との交流はテレビだからと
いってことさらにしない(と画面上では思える)太田氏だが,目が真剣である.清水美紗にちょっと似の素敵な金沢美人だ.
がすえびというえびの刺身が登場。あまえびよりもいかにもえびという味覚がするらしい.
店紹介テロップ「源左エ門」 | 全国の地酒80種類,石川の地酒30種類を揃える銘酒居酒屋で,開店10周年を迎えようとしている.がすえび,金時草,鴨治部煮など,金沢の名物料理も十分堪能できる. |
店を出た太田氏.加賀百万石の味の奥の深さをほめたたえつつ,隣の美人客に少し未練を残しつつ三軒目に行く旨を告げつつ,街中に消える.
番組が終わる際はエンデング代わりのように,以下の言葉が画面上に現れる.(太田氏の居酒屋に対する信条といったもの)
‐居酒屋の「居」は居心地の居.自分一人のための居心地を楽しめる場所.会社も友人も家族も,全てのしがらみから離れ,一人でぼんやりする所.それが居酒屋。‐
居酒屋紀行であるので,旅の途上では深くうなづける言葉.そして基本的に居酒屋とはそのような場所であるのが理想だと語りかけてくる感じの言葉である。
最後に「今日行った店」として,営業時間,定休日,頼んだメニューの値段が示されて終わる.
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全国居酒屋紀行「福井県三国編」 〜冬の日本海の幸〜
冬の日本海を背にした太田氏。周りには雪が積っているが,晴れている.かつては北前船でにぎわったという北陸は三国に名居酒屋が1軒あるとのこと。
京福電鉄の三国港駅からスタート.いきなり高倉健のものまねをしながら太田氏が駅の戸口から出てくる.言葉の内容からこのころ上映されていたと思われる「鉄道員」のフレーズか何かだろう.似ていたかはよくわからない.(鉄道員見ていないので)
雪が積った街中を歩き,最初の店(昼食)「新保屋」に入る.頼んだおろしそばは福井名物らしい.そばの器と別に大根おろしがたっぷり入った出し汁らしきものがついてくる.この汁をそばにかけて食べるようだ。そばの方は質素に鰹節と葱が上に乗っている.二日酔いに効くらしいので,太田氏には最適のそばであろう.
出村地区というところに入る.付近にある思案橋はかつての遊郭の入り口で,ここでその思案をしたというのが名前の由来らしい.
昔風琺瑯(ほうろう)のアサヒビールの看板,古そうな蔵、うだつという建物両脇にある壁など散在する歴史ある町並をあるく.久しぶりの晴れ間なのか,屋根に積った雪が解けてぽたぽたと水がたれている.今日訪れる予定だという魚志楼もこの地区にある.玄関にあるランプ・看板など年季が入っていそうなものばかり。
今日泊まる「荒磯亭おしま」に到着する。早速浴衣に着替え,部屋の中からゆったりと外を眺める太田氏.外では岩海苔らしきを取っている人が見える.日本海の雄大な眺めを見ながら温泉へ。この間にかかる音楽と光景がひどくマッチしている.
夜の部1軒目は意外にも居酒屋ではなく,このおしま内で摂るようである.桶からはみ出しそうな大きな越前がにの食べ方を旅館の方に教えてもらいながら食す.かには甲羅が付いている方を下にして,身が見えている方は上にして焼くそうだ.金沢編で高いと言っていたヤリイカの刺身もある.
店紹介テロップ「荒磯亭おしま」 | 四季折々の料理を楽しめる「荒磯亭おしま」だが,冬の味覚はなんと言っても越前ガニ.越前ガニとは、ズワイガニのことで,メスはセイコガニと呼ばれる.越前ガニは三月下旬まで楽しめる.料金は,平日2名一室ご利用の場合,2万円から. |
旅館を出て,寒そうな町並みを歩き2軒目の「とりや」へ.やはり久しぶりの晴れで,漁があったらしく豊富な魚がある.店内壁に貼ってあるメニューは多種多様.湯どうふからオムライス,稲庭うどん,釜飯、くしかつ、牛のたたきなどがある.値段はいか天1000円,とりバター焼き900円など若干高めか.
三国の町は静けさが魅力とのこと.「夜歩いていて楽しい町並みはなかなかないんだが,三国にはそれがある」と太田氏.温かそうな水うおすましがくる。外側の膜がぬるりとしている水うおはなかなか箸でつまめない.すまし汁からカウンターに立ち上る湯気が実においしそう.次にメギス塩炒り。淡白な味に塩のみでの味付けが絶妙とのこと。
店紹介テロップ「とりや」 | ご主人のお母様が店を開いたのが,昭和38年というから,そろそろ40年を迎えようとしている老舗。昭和50年から店を引き継いだご主人のお料理は,お母様譲りの地元の家庭料理.近県から日帰りで三国の料理を食べに来るお客様も多い. |
店を出て,甚く満足そうな太田氏.のれんの前に車が止まっているため玄関から少し離れての撮影.自販機の光がまぶしい.「全国居酒屋紀行の極めつけはここにあるというきがしますね」の一言も。
先ほどの散策中に通過した「魚志楼」へ。水がにというかにが出る.越前ガニと違い,全体に柔らかくさっぱりした味らしい.一本義(福井)というかっこいい名前の酒.
赤がれい一夜干しは扇形の平皿に盛られ,肉厚でおいしそう.2階のほうでは,芸者さんがくる高級なところのようだが一階カウンターは居心地が良いとの事.
店紹介テロップ「魚志楼」 | 昭和20年代まで,芸者さんの置屋だった建物は,明治始めのものと伝えられており,いたるところにその当時の香りがただよっている.お座敷は予約が必要だが,三国の季節の料理が十分堪能できる. |
店の中の置き物などを見ながら散策.広いが何となく照明の暗い廊下は趣がある.僕は田舎の家の暗くて床がつやつやの廊下を思い出した.
店を出て,暖簾前で一言.「かつて栄華を誇った店が古さびている,その魅力がありますね.過去を懐かしんで行くような沈潜した世界.そこでゆっくりと盃を傾ける,これは大人の楽しみですね」雪景色の中に消えて行く太田氏.三国の町は雪があることもあって,しんとした感じがした.その中で出てきた人たちもしんが強そうな人達ばかりであった気がする.
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全国居酒屋紀行「博多編」 〜旨か魚と威勢の良さ〜
福博であい橋の上からスタート。中川(漢字正しいか不明)の上からで画面左には九州の繁華街中州という位置に太田氏が立つ.福岡空港駅前から柳橋連合市場へ移動.
シャコえびや毛利のまる大根,鯨,能古こアサリ,きびなご,赤なまこ,自家製からすみ,などが生き生きと陳列されている。背広のサラリーマン風がいるのはお土産目当てだろうか.「お土産はやっぱりからし明太かなあ」と太田氏.
市場を出て上川端町・屋台群へ。時間が早いのでまだ準備中。屋台群というには少し昼間なので,さびしい感じ.イタリアンの屋台もある.ここの屋台は公園の手すりの脇にあるので,手すりを利用して店を出しているようだ.
網場町界隈へ移動.中州とは違い,ほのぼのとした古い感じの通り.大平羅紗店という古い店があり,「羅紗という言葉を知っていますか」と太田氏が言うがそのあとのフォローはなし.ヤフーの辞書検索で見たところ,「ラシャ
羅紗 woolen cloth」としか出てこない.羊毛で作った衣服というような意味だろうか.
ふぐ店にて看板を物色.ふぐセット(小鉢・刺し身・ふぐちり)で2980円とある.他にわいわいコース4300円.プクプク(ぶくぶくか?)コース5300円.徐々に品数が多くなる感じのネーミングのし方が良い.
ちょうど何人かお客がはいっていく.
一軒目の「酒房やす」へ入る.最初にジョッキの生を軽くあおる.惣菜各種がカウンター付近の大皿に載せてあり,その中でがめ煮とあご生干しを注文.
店内の壁には祭りの写真が一杯.あごはとびうおの1種で羽部分が口の中に刺激を与えてうまいものらしい.少しこわもて風なご主人に(仕事一途な感じ)店を開いてどれくらいになるかと聞くと,41年との答え.続いて注文の牛すじは酢醤油と一味唐辛子で,新鮮な料理に感じられるようである.とりの肝煮は私も大好きだが,非常にねっとりしているようでおいしそう.
店紹介テロップ「酒房やす」 | 店内の壁いっぱいに貼られた山笠の写真が,酒房やすの豪快さを物語る.41年前にお母様が開いた店は、25年前から現在のご主人である息子さんが引き継いだ.カウンターに並んだお惣菜は,博多の昔からの家庭料理が中心.どれを食べてもおいしいので,迷ってしまう. |
山笠祭りの勇ましい写真に見入る.たしかにご主人と思われる鉢巻姿の男はかっこいい.
店を出て2軒目の「さきと」とにはいる.「ここはズバリ西の横綱ですね.東の横綱が仙台の一新(?)だとすればここは西の横綱ですね。」
メニューが巻物状になっていて検分する.ご主人の味のある字体で旬の物が書いてある。赤なまこが来る.一見一匹が丸ごとのようだが薄く綺麗にカットされている.次に五島のさば刺身.「日本一と断定してもおかしくない」とのこと。歯ごたえ,油の消え方,甘味どれを取っても最高.鯛ごまが来る.繁枡の本醸造.盃が幾つか置かれていて,盃感を披露する太田氏.薄い磁器でできて中にさくらの花弁らしきがあしらわれている,全体に茶碗の縮小版のような感じの品のいい物が、最高峰とのこと.(燗酒には)
店紹介テロップ「さきと」 | 店名の「さきと」はご主人の故郷が長崎県崎戸島だから。毎朝5時に市場で仕入れる魚は絶品の一語.特に五島灘から済洲島にかけて取れる鯖は,脂がよくのって甘味があり,関鯖よりうまいという.日本酒は厳選されたものを50種ほど,さらに焼酎やワインの品揃えも驚くほど.どんな酒呑みも必ず満足して店を出る. |
終始満足そうな太田氏.これほど満足そうな顔をする事もまた珍しいという気がする.「いろんな居酒屋に行ったけれどもここは僕の終着駅だね.これ以上は望まないな」との一言も。この店は紹介する気がなかったらしく,団体で来るのはよしてくださいね、と店を心配する様子がうかがえた.たしかに素晴らしい居酒屋だとは思うのだが,画面を通じて店の素晴らしさが圧倒してくる感じはない.店の良さはもちろん行って見なければわからないし,本当の酒呑みにしかその微妙な違いが分からないのかもしれないと感じました.
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全国居酒屋紀行「長崎編」 〜異国情緒と眼鏡橋〜
「日本の訪ねてみたい町ベストワンに長崎は選ばれたそうです.…異国情緒あふれる長崎の居酒屋はどうなっているでしょう.」
袋橋や眼鏡橋を見て,東新橋から川の向うを眺める.「一回この橋を全部,ゆっくりゆっくり渡ってみたいなあ.」橋が短い間隔で幾つも通っているこの川は雨にぬれてとても情緒がある風景だ.雨のオランダ坂.石畳が雨に光る感じで,気持ちいい眺めだ.
丸山町から思案橋へ移動.園乃蝶という看板の酒屋がある.とても古さびた看板.「遊郭の前にあるにふさわしいですね.園に蝶が舞う」
隣りはカステラの老舗「福砂屋」。カステラは結構歴史がある食べ物なのか,店がお茶や和菓子のような構えである.「僕の母は長崎の出身で,福砂屋のカステラをことのほかいつもお土産買うと喜んでくれるんですね.」
思案橋グルメ通りという名前の横断状看板に太田氏不満があるようだ.確かにセンスがないと思う.
最初の店「桃若」に入店.札幌のラガービールというのが有るようだ.常連さん用らしいが今日は来ないとのことで,注文する.
創業69年になるとのこと.柚子こしょうとおでんは相性がよさそう.豆腐に少し乗っけて食べる.ご主人と奥さんのコンビがいい.4代目候補の息子さんが少し登場.板前の格好が似合う美男であった.太田氏の「いい男だねえ」に照れくさそうに会釈していた。
桜正宗(灘)が出る.いろいろな正宗系の酒の元祖らしい.「春は桜正宗.秋は菊正宗」とのこと.
店紹介テロップ「桃若」 | 昭和六年創業.長崎でも有数のおでんの老舗.店名の桃若は,初代の女将が元芸子さんで,その源氏名から.現在のご主人は3代目で,息子さんが4代目として修行中.おでんの汁で造るおじやは,飲んだ後に最高. |
店を出て,店の人,料理,お客にいたるまで全て満足そうな太田氏.少し歩いて2軒目の一二三亭へ.カウンターに座り,最初に日本酒を注文.六十餘州(長崎)と言う名前の難しい酒.常温で飲むのがいいとの女将の勧めで飲む.素朴な味とのこと。牛かんという牛挽肉団子を出し汁で炊いたような料理が出る.体が温まりそうだ.
次に出たおじやはおじや自体を覆うようにたくさん胡麻と葱がかかっている.
店紹介テロップ 「一二三亭」 | 明治29年創業で,長崎の郷土料理と近海の魚が十二分に楽しめる店.現在の女将は4代目で,眼鏡橋のたもとに,弟さんが営む姉妹店がある.名物のおじやは,先代のご主人が考案したもので,おじやだけを目当てに来店するお客様も多い. |
「直木賞受賞の作品『長崎ぶらぶら節』は長崎の古い歌を探してぶらぶら節にたどり着いたんだけれども,私は長崎の古い味を探して牛かんにたどり着きました.」と太田氏.
3軒目のバー「ボンソワール」へ。照明が程よい暗さで,調度品なども実に大人の雰囲気.カウンターの向うには年配のご婦人が二人おしゃれなスーツで,接客をしている.
ハイボールという懐かしめのメニューを注文.スピーカーや冷蔵庫が珍しいほどに古いがよく磨き込まれている.岡本太郎さんの絵も飾ってある.何度か来店した事があるとのこと.ピカピカに磨きこまれたカウンターに置かれたカクテルはそれ自体も調度品のようである.
店紹介テロップ「ボンソワール」 | 昭和5年の創業の老舗,銀嶺の隣りにボンソワールを開いたのが,昭和28年。今のママは3代目で,タカラジェンヌという経歴を持つ.昭和57年の大水害で,建物は改築されたが,調度品や美術品は昔のままで,長崎の歴史を肌で感じられる. |
店に出て,歌う太田氏.「ああ〜ああ〜長崎よ。失礼しました」長崎の血を半分受け継ぐ太田氏は,その地の温かさを感じながら,3軒目探索への雰囲気を残して終了.
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新全国居酒屋紀行「鳥取編」 〜知られざる老舗のバー〜
この内容紹介でははじめての新全国居酒屋紀行である.新シリーズ最初は「銀座」だったと思うが,放送日順にやるには他の放送の日が分からないので,適当な順序でやって行きます.
箕浦家武家門前からスタート。「今日は神話の国、山陰鳥取にやってまいりました.…鳥取は諏訪泉,日置桜、鷹勇など隠れた銘酒の有るところですね.今夜は因幡の白兎のおかげでどんなお酒が飲めるか楽しみですね。」
駅前市場を散策.魚などの売り物の上に「今どれ」という赤い札が乗っかっていて,新鮮な感じ.イガイという一見ムール貝に似た感じの貝は初めて見た.店の人の話しによると,味噌汁よりもお吸い物に合うとか.あごちくわ,西瓜など名物もある.
市場を出て町へ.一心はかつて行ったお店のよう。とある民家の2階に,夏には珍しく毛布が干してある.おでんの大八は豆腐が絶品とのこと.何軒か物色の後,「ともしび」へ入る.看板には因幡の地酒勢揃いとキャッチコピーが。
カウンター脇の小テーブルに座る.しっかりと和服を着た女将さんがビールをついでくれる.「本日最初のビール」という言葉とともに,グラスに入ったビールを一気に飲む太田氏.とてもおいしそう.最初のビールという言葉が嘘ではなかった事が分かる.運ばれてきた地ガキは紫陽花の花と大ぶりな氷が添えられて1枚の絵のよう.岩ガキは夏に食べられるカキ.冒頭で紹介されていた諏訪泉 吟醸 生酒がくる.「堅実で折り目正しい,酸味が強い酒」とは太田氏の評.
まるでコロッケかと思わせるほど大きなカキにかぶりつき、続いて諏訪泉を飲みあまりのうまさに呆然といった感じ.一連の流れが実に酒飲みの充実・喜びを体現していたようだ.次にきた白イカの刺身も紫陽花の花が散らばり,皿の青に映えて白イカの透明感が美しい.関東の醤油と違いこちらの醤油はソースのようであるとのこと.醤油にカカオフレーバーを感じるとはかなりフルーティーな味わいがするのだろう。
次のお酒は日置桜。昼間市場で見たあごのちくわも出る.
店紹介テロップ「ともしび」 | 開店以来,22年間,女将の田中すず子さんが,一人で切り盛りしてきた店は,鳥取県東部の日本酒が全て楽しめる.酒の肴は,鳥取の地の料理で,魚介類は新鮮そのもの.地肴を地酒で手軽に楽しめる. |
日が長いため,店を出てもまだ明るくその中で少し酒で顔を赤らめた太田氏はいささか恥ずかしそう.
2軒目のおでん大八へ入店.活気のあるカウンター席へ座る.注文した豆腐は何気ない様子であるが、かつて来た時には3度も注文したとこのと.カウンターに置かれた唐辛子を家庭用の魚焼きのようなもので焼いているが,おいしそう。薄あげやあゆの塩焼きも。先ほどまでいたカウンターのお客がいなくなり,食べ終えた皿が散在している.
店紹介テロップ「おでん大八」 | 昭和29年開業のおでんの老舗.現在の店は昭和39年からだそうで,女将さんは2代目.絶品のおでんの他,季節の料理や刺身も楽しめる.おでんの季節の秋には,日曜も休まず営業する元気印の女将さんだ. |
おでんのレベルの高さ,女将さんの元気さ,とまさに地元に根付く店であった.
3軒目のバー「シック」へ。母娘で経営されている店で全体に黒を基調とする調度品。ジントニックが少し太めのグラスで供される.ママの話しでは鳥取は最初嫌だったが,そのうちその魅力に取りつかれて離れたくなくなるところだそうだ.上着を脱いだママさんがシェーカーを振っている様子は真剣.作っていたのはサイドカー。
店紹介テロップ「シック」 | 開店43周年を迎える鳥取で最も古いバーは,店名通りのシックな店.名物ママさんの歯に衣を着せないおしゃべりを聞きに,親子4代通ってくる常連客も多い.鳥取の名士が夜な夜な隠れて集まっているのかも. |
店を出て一言.「シック」の美人な娘さんや鳥取の町の古いものが残された良さをしみじみ語る.
今回は店の全てが女性で切り盛りされていて,彼女達の魅力が強く残る.1軒目の和服の似合う渋い女将さん,元気で笑い声の高い気取らない感じのおでん大八の女将さん,最後のママと娘さんはバーにふさわしく上品で綺麗であった.
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全国居酒屋紀行「会津若松編」 〜小原庄助さんの酒〜
1日中酒を飲んでいたという小原庄助さんを敬愛するという太田氏。内陸地で新鮮な魚はないが,それに代わるものを求めて居酒屋のたびへ.
磐越西線会津若松駅からスタート。小原庄助さんの入った風呂があるという会津酒造歴史館へまず移動。少々暗い照明の館内には小原庄助さんの酒のみワールドが展開している。
小原庄助さんが入ったといわれている石風呂がある。石臼のようなドラムカン状の風呂はいかにも小さめである。小原さんの二つの墓の謎や「あなたは何点庄助さん?」というボードがあり,イエス・ノーを辿っていくと庄助さん度が計れるようになっている。満点庄助さんを得るための最後の質問は「ハンコを押すのが好きだ.」というちょっとよく分からないものである。庄助さんはハンコを押すのが趣味だったのか。
次の展示は明治〜大正時代の酒屋引札(ポスター).当時の風俗が色鮮やかに印刷されている。今のポスターとは大きさが随分違って小さめな感じもする。
町へ出て,鶴乃江酒造へ入る。創業205年の同店は現在7代目で,その娘ゆりさんが太田氏の対応にあたる。ちょうど自身が担当して行った三回目の仕込が終わった時期のようで,ほっとした様子。世界でも珍しいという女性杜氏のゆりさんはかつてミス会津だったという素敵な女性である。
歴史ある蔵を眺めているとゆりさんのお母様も登場。いい水・いい米・いい積雪がお酒にはいい環境を提供するとのお話しをする。
手作りであるがゆえのお酒の出来の難しさ,そして面白さを語る二人。蔵の奥から語る二人を撮る映像はなかなか粋だ。
紹介テロップ「鶴乃江酒造」 | 寛政6年(1794年)創業で,200年以上の歴史を持つ老舗の酒造。現在は7代目の林平八郎さんが社長をつとめる.戦前までは,夏は味噌・醤油を,冬は日本酒を造っていた。ゆりさんは日本酒造り3年目で,お母さんの惠子さんは,8年目を迎える。 |
会津中将 純米原酒をいただく。旨味が強く,辛口とのこと。次の酒は純米大吟醸 ゆり(下の方)。ゆりさんの名前がそのまま使われていてその味も爽やか(香りはあまりないとのこと)であるようだ。酒瓶も透き通るブルーで金色の「ゆり」という文字の鮮やかなラベルが貼られている。
店を出て,露店なども出ている街中へ。うなぎのあら池はこじんまりと古く,テーブルの木がいい色を帯びている。焼き鳥の店とりげんはちょっと高そうな店構え。
「もっと日が暮れてくると,ああいうビルが見えないから,まるで,江戸時代に戻ったような気がするんですね。この辺は。侍があの奥からのっそり歩いてきても全然おかしくないね」とのこと。
1軒目の店「麦とろ」へ入店。隣りのグループ客が映るポジションに座る。なまビールで本日最初の酒。でてきた馬刺しは濃い目の赤(照明の加減かも)で器の漆黒によく映える。会津は知る人ぞ知る馬刺しの名産地であるらしい。くじら汁は各種野菜入りで一見豚汁のようだが,大変おいしそうである。
会津中将にごり酒は黒の茶碗に入って白濁が強調されている。意外にもアラっぽさは少なく,フレッシュな味とのこと。
ご主人がラフなかっこうで,煙草を吸いながら太田氏と会話。
店紹介テロップ「麦とろ」 | 開店26年を迎える老舗で,会津の地元の料理を十分に堪能できる店。店名の通り,とろろ料理も楽しめるが,季節によって,絶品のくじら汁やこづゆを出してくれる。又,会津坂下の馬刺しは,ぜひ一回食べてみてほしい逸品である。 |
店を出て,料理の洗練や酒の良さについて一言。2軒目の店「籠太」へ移動する。コの字状カウンターの端に座る。ご主人と会話があったが,ちょっと聴き取りにくかった。
太田氏のひとり言によると,他にも店舗を持つご主人は客の顔が見えるこの「籠太」にいることが多いという。
「飛露喜」生酒が登場。かなり強いものらしい。先ほどの「麦とろ」でも出たこづゆが出る。籠太のこづゆは赤い小さな椀に小ぢんまりとしていて,汁も少なめである。
他に出たものは冷やしトマト(氷入りのガラスの器におおざっぱに切ったトマトがおいしそう)と地鶏とりわさ(若干,量は少なめだが肉の桜色が綺麗)。
店紹介テロップ「籠太」(相互リンク) | ご主人の鈴木真也さんは,郷土料理の研究家でもあり,こづゆ等の郷土料理がいつでも楽しめる。こづゆは,古く武家料理から広がった代表的な郷土食で,お椀の蓋に盛って出したのが最初。 |
店はコの字カウンター以外のテーブルも満員でありながらひそやかに盛りあがっていた。
店を出て一言。ご主人は農業に興味を持ちそれをメニューに活かしているとのことまた,客の雰囲気を誉める。「でー,会津にはフラットっていう古いバーがあったんだけどどこだったかなあ」との言葉を残して,太田氏会津の町へ消えて行く。
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新全国居酒屋紀行「松江編」 〜宍道湖の魚で銘酒など〜
松江城の全貌が下から見える位置からスタート。「今日は山陰の城下町,松江へやってきました…とても暑いんだけど真夏の静かな城下町っていいですね,そこでいっぱいやるのは楽しみですね,その前に小泉八雲の屋敷を訪ねてみましょう」せみの鳴き声がし,真夏ならではのまぶしい光のなか,移動。
松江城のお堀端。水を渡ってくる風は一服の清涼剤。
八雲の屋敷前に到着。「江戸時代さながらで,今にも三船敏郎の椿三十朗が現れそうですね。では私が三十朗の歩き方を真似してみましょう」と大田氏数歩あるく。背筋を伸ばして1歩1歩を踏みしめたような歩き方。似ているのかは分からないが武士の雰囲気が伝わってくる。立ち止まって照れくさそうに「似てるかい?」
小泉八雲旧居へ入り,涼しげな廊下から日本庭園を眺める。はすやあやめが咲いていて緑が生い茂っている。まぶしげな光と屋内の暗さのアンバランスが絵になる。
屋敷を出て,街中へ。豊の秋という店。山小舎,川京などを紹介。宍道湖にかかる松江大橋は大田氏お気に入りの場所。まるで大河のように悠々と流れて行く水の流れ。
この流れをみながら飲める店ということで,川端の「おでん庄助」へ。駐車場脇の小さな店のようだ。
本日最初のビールを飲む大田氏。あまりのうまさに声が出なくなるのはいつものこと。応対にあたる女将は少し目つきが鋭いが,きびきびとして気持ちがいい。
振りかえると,そこは悠々とした水の流れ。まるで屋形舟にいるような至福の酒状況。ナスとキス団子がでる。キス団子は団子の材料としては珍しいらしく.ざっくりとしたたたき具合でおいしいとのこと。年齢のことで互いに笑う,大田氏と女将。おでんというと大抵は頼む豆腐を注文。表面が煮汁でいい具合に変色し,おいしそう。
店紹介テロップ「おでん庄助」 | 先々代が店を開いたのが昭和23年頃というから,50年の歴史を持つおでんの老舗。その昔は店の目の前が船着場だった,庄助は,窓の下に大橋川を見ながら,おでんを常時30種類以上と宍道湖の肴を中心に楽しめる。 |
店を出て,まだまぶしいながら居酒屋のたたずまい(登場しなかった店のご主人はランニングで水撒きなどをしていたとか)に満足げな大田氏。
2軒目の「かねやす」へ。明るく清潔そうな店内のカウンター席へ座る。豊の秋(鳥取)を注文する。夏の冷酒に有りがちな,水っぽさが無くコクがあるとのこと。
めのはを注文。海苔のようでありながら,もっとおおざっぱにつくった感じ。海苔よりは乾燥度が高いようで,かりっと音を立てて食す。イサキの刺身が来る。なぜか馬刺しに似た味がすると大田氏。それほどに弾力があったのだろうか。カウンターに並ぶ各種料理を検分する。アマダイの煮付けを頼む。(大きさがまちまちである)
2種目のお酒,李白 特別大吟醸 月下独酌(島根)を注文。天空に遊ぶような酒とは大田氏の言葉だが,酔いも少し手伝っての言葉だろうか。
店紹介テロップ「かねやす」 | 開店以来45年の歴史を持つ店は,昭和47年に現在の店舗に改装した。カウンターに並ぶ地の料理を島根の地酒で堪能できるかねやすは,宴会の為の部屋も充実。松江駅に近いこともあって出張族も安心して盃を傾けられる。 |
店を出る。地酒二種と地肴を堪能でき満足そう。他にシジミ汁を飲んだとの大田氏だが,テロップには「シジミ汁はスタッフが食べてしまったため映像がありません。大変失礼いたしました」と出る。たまに出るこの種のテロップはなにか理由があって映像が出せないのかもしれないし,単にカメラに撮り忘れたのかもしれないがよく分からないものである。大田氏も食べたといっているのに。
3軒目のバー「バッカス」へ。ジンリッキーを注文。夏に合いそうなレモンの入った爽やかそうなカクテル。客のようにカウンター角に腰掛けていた男性はご主人である事がわかり会話が始まる。昔の値段表は桁1つ違うメニューが書かれている。バー=サブカルチャー論を語る大田氏。昔の客との継続した交流の楽しさを語る女主人。バーによる自立性の獲得を語るご主人。語りたくなるバーはやはり良いところなのだろう。
ギムレットを注文。黄色の透明感が実に綺麗.
店紹介テロップ「バッカス」 | 2001年に50周年を迎えようとしているが,道路の拡張工事の為,残念ながら閉店してしまうかもしれない。ご主人の石橋正巳さんは,腰痛の為,常時店に出ることは無いが,松江のバー分化を担って来た名士。店を守っているママさんの穏やかな語り口を肴に,ゆっくりカクテルでも傾ければ,古き良き時代のバーの雰囲気に思いっきり浸れる。 |
店を出る。古き良きバーの真髄を味わい喜びを語り,車の往来の激しい通りへ消えて行く。
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新全国居酒屋紀行「大塚と?編」 〜隠れた名居酒屋〜
東京は地下鉄丸ノ内線大塚駅前よりスタート。東京近郊の渋い街を取り上げるとは少しテレビ東京「アド街ック天国」の趣が出てきた気もする。
山手線を円で描いて簡単に大塚の場所を紹介する大田氏。池袋より少し北東に位置するといったところだろうか。
「大塚は大きな繁華街は無いですが,居酒屋好きには知られた名居酒屋地帯なんですねぇ」とのこと。
旧大塚辻町といういりくんで古い家などある裏通り的界隈を散歩する。少し広い通りに出る。開運坂下というところ。「キュートなガレージだねェ」とは赤さびたトタンの建物の1階部分だけは使われているといった感じの車いれ。その脇の道をさらに奥へ進む。自転車などが無造作に置かれた細道である。車など入れないようなくねくねと曲がった道が続く。道路の端には生命力の強そうな雑草が生え,古い植木鉢状のものなどに興味を持って立ち止まる大田氏。
大塚南口の大塚銀座辺りを散歩。バス停横にある江戸一は非常に有名な居酒屋とのこと。宅配寿司の江戸一とは全く別のもの。いかにも重厚な居酒屋を感じさせる玄関は無駄な客寄せの看板も無く,潔い感じ。燗酒のつけ方は東京一といってもいいほどだそうだ。
大塚から少し離れた十条へ移動。またもきわめて簡単に場所を紹介(山手線のこのへんねと真上の辺りを指す)する。
大衆酒場と大きく暖簾の出た1軒目「斉藤酒場」へ入る。ここも無駄な客寄せは無く,非常に実質本位な店構えである。奥のテーブル席に座る。白衣風な上っ張りを着た女将さんが生のジョッキを運んでくる。三分の一ほど飲み干し,一息つく。斉藤酒場という名前は斉藤さん経営によるものだからということで非常に明瞭である。外国などでもこの手の命名はよくあるらしい。ナスの味噌炒め,きゅうりもみミョウガ入りを注文。店内のテーブルは1つ1つ形が違うもので,既製品には無いカーブや穴らしきがあって,それが愛着を感じさせるようである。
ナスの味噌炒めは大田氏のおふくろの味のようでとてもうれしそう。きゅうりもみは夏のビールにはたまらない。客は地元の人が多いのだろう,仕事が終わった中年ぐらいの人達が,思い思いに酒を飲んでいる。ここには夕刊フジが似合う感じだ。メニューは一品200円から500円どまりで大変安い。
店紹介テロップ「斉藤酒場」 | 昭和3年創業の老舗の店内には,その当時のポスターや看板などが飾られ,まるで昭和初期のような雰囲気。ビールや日本酒の他,黒ビールや泡盛,デンキブランまで用意して有りレトロ。酒の肴は200円から300円が中心で,安くて旨いこと請け合い。 |
カウンターのない店内は一人客も相席が当たり前で,親父達がマイペースで酒を飲む。奥まったところに女将さんをはじめとして,何人かの店員さんが待機している。
店を出て一言。ナス味噌炒め,ポテトサラダなど絶品とのこと。(ポテトサラダは映像が無く,失礼しましたとの断りのテロップ)またかという感じ。
2軒目の「こなから」は現代風なしゃれた感じの店構え。看板の造りや照明の当て方が洗練されている。店員,客層(予約が中心らしい)も先ほどの斉藤酒場とは正反対にある感じ。
早瀬浦(福井)を注文。他にも滝自慢,磯自慢など大田氏お勧めの酒が置いてある。重厚な板で表紙を作ってある品書きには独特の字体でメニューが踊る。
早瀬浦は甘口できれがあって,旨味もあるらしい。お刺身盛り合わせは銀の塗りの器に彩り華やかな各種刺身や薬味が配置され,芸術品のよう。
味の方もタイは抜群とのこと。次の酒,大英勇(栃木)は大田氏も初めてのようだ。味はすっきりとしてきっぱりとした感じとのこと。
子持ち鮎の有馬煮が来る。有馬とは山椒とのこと。舟状のモスグリーンの器には瓜の輪切りが数片添えられ,鮎もいくつかに大きくしかし丁寧に切られている。
たれや鮎のワタ,山椒の味があいまって,複雑で豊かな味になっているとのこと。そこへ先ほどの大英勇を飲むとばっさり切ってくれるような(?)気持ち良さがあるらしい。
まぐろ酒盗クリームチーズ添えはクリームチーズの賽の目切りが敷かれた上にまぐろ酒盗がこんもりと乗せられている。このメニューはいかにもこじゃれているが,大田氏はこの料理で自分の頑固さを反省したほどに,料理としての完成度が高いらしい。大田氏の誉め言葉に,若いご主人は「いやいや,そんなことないですよ」とさりげない。
店紹介テロップ「こなから」 | 開店してまだ5年目だが,その名は全国的に広まっている名店。全国の隠れた銘酒と料理の相性は抜群で,感心する事必至。本格焼酎の品揃えも充実しており,酒飲みの心を掴んで離さない。 |
店を出て一言。こなからはテロップにも出ているように酒飲みのあいだでは非常に有名らしい。そのせいかグルメにうるさい女性だけのグループもやってきている。斉藤酒場とこなからという対極だがどちらも素晴らしい居酒屋2店の紹介は,東京の居酒屋の奥の深さを感じさせる。さらに奥の深いところを求めて町に消える大田氏。
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全国居酒屋紀行「小倉編」 〜関門海峡の魚は夏でも旨い〜
巨石で作られた無法松の碑前に立つ大田氏。岩下俊作が作った架空の人物という富島松五郎(無法松)はかつて4本映画化されているとのこと。このうち大田氏は三本見ているそうだ。酒が好きだった無法松と同様酒を飲みたい,また小倉といえば有名なふくは夏のため無いが,それに代わる新鮮な魚を期待して…とのこと。どことなく歯切れが悪い感じを受ける。
旦過駅より再スタート。旦過市場にて今夜の酒の肴を物色しに移動。何となく薄暗い入り口より,市場内へ。山椒や各種ぬかづけなどが置かれた店から,魚関係の店へ。
口上に手馴れた感じのおばさんが大田氏に品を説明。
紹介テロップ「旦過市場」 | 第2次世界大戦線前からこの地で開かれている市場。180mのメイン通りを中心に,100店をこえる店が軒を連ねている。売られているのは,魚や野菜などだけではなく,惣菜,菓子,漬物,そして靴や服でも何でも。 |
ある店では,店内のものがビール付きでいただけるとのこと。「なんだーここでも飲めるじゃん」
巧みな口上のおばさんまた登場。魚の枚数が増すにつれ,どんどん値段が安くなる.それを受け流しつつ。
珍しく土産に市場の魚を買う大田氏。年季の入った小銭入れから硬貨を取り出す。店の人,観光客らしきなどで,市場は盛りあがっている様子。
市場を出て,次に門司港駅(大正3年建築)へ移動。歴史ある建築物だが,なんということもない構内を歩いて,噴水(これまたなんということもない)前を通過する大田氏。
旧大阪商船(大正6年建築)をまぶしそうに眺めやる。重厚な感じの西洋建築といった印象でしょうか。振り返った先にはLLOYD'S AGENCYという建物がある。ここのことだろうか。
紹介テロップ「門司港レトロ」 | 明治から大正にかけての建築物が保存,修復され数多く残っている。中でも大正3年に建築されたJR門司港駅は,国の重要文化財にも指定されている。 |
木板が敷き詰められた港界隈をあるく。旧門司税関(明治45年建築)は赤レンガが鮮やかである。
堺町へ移動。鮎のメニューが出た看板を発見。あゆのせごしとは骨ごと食べるものであるらしい。酒蔵大太鼓へ立ち寄る。店の中に少し入り様子をうかがい,でてくるだけ。
「なかなかよさそうな店だよ」とのこと。落ち着いた年代のサラリーマンが自腹で飲んでいるということでの判断らしい。ふく年中というのぼりが立つ,店は飲み放題で4,800円。
冷凍だろうが,年中食べれるとはうれしい事である。
魚町という界隈へ。裸の蛍光灯に高いアーケードのような古い空間は歴史ある細道。のれんやのぼりが所狭しと並び,賑わった様子。入り口付近にある「だるま堂」は焼うどんがおいしいとのこと。「赤ちゃん」と鮮やかな赤でかかれた店は和洋食堂。カレーやハンバーグなどの子供が好きそうなメニューがガラスケースに陳列されて目を引く。向かいにもほぼ同じような品揃えの「ニーワ」という店がある。どちらの店もメニューサンプルの入ったガラスケースが大きく,入り口が縮こまった感じが面白い。大田氏は昔母につれられて食べた焼き飯を思いだし顔がほころぶ。
広めの通りに出て,1軒目「武蔵」へ入る。玄関上には各種酒の銘柄の看板が大きく出ている。2階の入れこみへ着座。この入れこみとはヤフー辞書検索によると,多くの人を区別しないで一緒に入れることとある。畳の部屋には同じ型のテーブルと仕切りが幾つもあり,客の人数によって臨機応変に対応できるようだ。
店の歴史についてしゃべっているうち,おしぼりと生ビール到着。営業開始時間13時と早いのはかつての製鉄所の交代制の労働によるものということだ。昼にあがって寝酒に一杯やる人々の姿が目に浮かぶようだ。店は活気があって,店員さんは若きも熟練風もいて,客の対応に忙しそうだ。
メニューは200円からあって,値段ごとに書かれている。ウヰスキーとの味のある文字も発見。アユの塩焼きはまるまると太っておいしそう。
仕切り板の細い格子の隙間から隣客が微妙にみえ,モザイク状になってちょっと面白い。この仕切り板の間隔はまさに日本文化という感じがする。
酒を注文したところ,燗をつけましょうかとの店員の問いに非常に満足そうな大田氏。酒の基本は燗をつけることだということが行き渡っている状況に対して。このあたりは大田氏の著書「居酒屋の流儀」などで詳しく述べられていると思うが。
先ほど注文の酒「吉乃川」が来る。出され方にまたも満足そう。ちろりに酒が入り,枡にはコップという完璧な布陣(?)。
ちょっとスローモーション風に店内を映す映像が出る。(店員さんに焦点を合わせたりしてちょっとした映画のワンシーンの様)1階の風景も出るが,こちらは背広の上着までしっかりと着た人が多いのはなぜ?(武蔵のサイトには大田氏のことも取り上げられており,水戸黄門のようと絶賛)
店紹介テロップ「武蔵」 | 昭和28年開店以来,45年間小倉の人々に愛されている居酒屋。開店当時から大衆的な値段を守っており,季節の肴が安く楽しめる。 |
店を出て一言。武蔵の居酒屋としての自由度の高さに非常に満足感を覚える大田氏。
2軒目の「赤とんぼ」は看板,ちょうちんともに赤の鮮やかさが酒呑みにはぐっときそう。カウンター前には酒瓶がずらりと並び,貝の煮物などが大皿にある。
オコゼの造り,しったかを注文。脇の水槽からご主人が手掴みでとってきたおこぜはえらやとさか(?)が立って活きがよさそう。ご主人のお父さんが現れ大田氏と談笑。
先輩・後輩といった良き上下関係がなくなりつつあるのは酒場にも顕著であるとか。
店の名前は赤とんぼの歌詞(三木露風作)の帰ってくるものへの優しさからつけられたものらしい。見事な赤とんぼの凧も飾られている。
オコゼの造りがくる。各部の刺身が綺麗に並べられて,捨てるところが全くない感じ。肝が特にうまいらしい。店内は落ち着いた雰囲気が漂っていて,水槽には夏だがふぐもいた。
店紹介テロップ「赤とんぼ」 | 開店26年をむかえる小倉でも老舗の居酒屋。約10年前に,向かいのワシントンホテルプラザの1階に支店を出し,ご主人の廣渡勇さんは支店を担当されている。本店は息子さんの勇二さんがきりもりしている。冬はふぐ,夏はオコゼと,刺身は絶品。 |
店を出て一言。またもテロップで「オコゼの赤だしはスタッフが食べてしまったため映像がありません。申し訳ありませんでした」と出る。別にあやまらなくてもいいし(映像が無くても特に文句なし),映像がないなら大田氏のコメントを差し替えれば(編集すれば)いいと思うのだが分からない。この番組唯一の鬼門である。
先ほどの主人のお父様は支店の担当だそうで,わざわざ大田氏を訪ねてきてくれたそうだ。いい男ぶり(故水島道太郎似)に少々照れていた大田氏。
街中へふらりと消えて終了。
(追記)「スタッフが食べてしまったため映像がありません」というこの番組名物の不可解なテロップは番組ディレクターの小川さんがその謎を後日教えてくれました。
番組収録後に太田さんはスタッフと共に軽く打ち上げをし、その際(カメラがまわっていないとき)に頼んだメニューのことも店を出た後での一言で思わず言ってしまうことがあるためだとか。番組ではその雰囲気を壊さないようにそのまま太田さんの言葉を流す方針のようで、そのために結果的には少し不可解なテロップを流すことになっているようだ。(かつてあった掲示板への小川さんの書きこみを借用・01/4/9記)
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全国居酒屋紀行「松山編」 〜坊ちゃんも呑んだ酒の味〜
道後温泉駅からスタート。夏目漱石をはじめ多くの文人(伊丹十三・大江健三郎は出身地)が関わった松山で文人気分に浸って酒を飲もうという趣旨。
まず道後温泉に浸かろうということで,市電に乗って遠足気分でゴーゴゴー(町田康風)。
老若男女で結構混んでいる市電の隅で街中を眺めやる大田氏。川沿いに走る道路。道の真中で行き交う市電はそれだけで旅情たっぷり。
道後温泉本館に到着。
紹介テロップ「道後温泉本館」 | 道後温泉のシンボル,道後温泉本館は,明治27年に建築された三層楼のどっしりした建物。浴場は神の湯と霊の湯の二種類。浴槽は花崗岩でできている。 |
堂々とした建物ながらさまざまな意匠がとりこまれている。桃の形の湯玉(?)がある。辞書検索によると,熱湯や湯の気泡そのものを指すようだが,建築意匠の一種なのかもしれない。玉の石を見やってから振りかえると,本館が見渡せる。「現代の坊ちゃんが涼んでますねえ」と館の2階から浴衣姿で景色を眺める男性について一言。
入浴券発売所にて玉の湯券を入手。古い旅館風な館内を階上に上がり,長細い籠が並べられた畳の部屋にて,入浴準備。大きな荷物や上着類はここにおいてから湯へ行くのだろうか。男女一緒である。入浴シーンは出ない(プライバシー保護の観点から)で,代わりに子供や老人が入浴しているさまを撮った画像が静止で映される。
準備場だけでなく,風呂も混浴なのか,男女一緒である。入浴後の浴衣姿の大田氏。うちわを仰ぎながら,外を見やってくつろぐ。
二番町というところへ.小判道場という大衆酒場の様子をうかがう。まだ時間が早いらしく,次のおでんやでも準備中とのこと。一天張というお店はすでに閉めてしまったらしいが,建物だけは健在。そうこう歩くうちに,1軒目のかをり屋へ。
最初のビールをあおる。枝豆で夏の幸せを感じる大田氏。キスのフライは串揚げ風なもので,ご主人の娘さんらしきが運んでくれる。「ほふほふ,はふはふ」と揚げたてのフライはうまそう。白魚(釜上げチリメン)もとどく。
豪勢な感じの刺身盛り合わせ。店には有名人のサインも多く貼ってある。仲代達也は分かったが他は不明。
店紹介テロップ「かをり屋」 | 開店40年を迎える老舗。ご主人の岡部晋さんは、松山出身で,明治大学在学中に,新橋演舞場のレストランで,アルバイトをしていた経験を持つ。現在は,奥さんと娘さんの三人で店を切り盛りしている。 |
ご主人との昔話で盛りあがったとのこと。しかし,日はまだ充分に明るい。
2軒目の「仁平」へ。「仁平はねえ,一度入ったことあるんですよ。入ってみようかな」とは事前の了解があるのが分かっていてもさりげない感じで嫌味がない。
砕かれた氷がたくさん入ったカウンターケースには新鮮そうな魚が。「よう,肥えてますよ」とご主人のいうキスは肥えているかは定かでないが,活きがよさそう。
ケースの端に置かれたざるにはながナスが山積みで,新鮮そう。それを焼いてもらう。「小富士」超辛口はちょっと大田氏の顔が引き締まるほどの辛さのようだ。キスの塩焼きが登場。しかし塩焼きなどの焼き魚はたいてい身が波打つようにしてある。定番の演出とはいえ,欠かせないものだ。
魚が甘く感じるというほどの酒はやはり珍しいのだろうか。次はナスが登場。さかれたナスの上には花かつおが覆い,身もだえする。夏の二点セット(キスとナス)に喜びも深まる。奥の座敷では,家族連れもいてにぎやかな感じ。
店紹介テロップ「仁平」 | 開店17年目を迎える,松山で最も新鮮な魚の食べられる店のひとつ。毎日,明け方まで営業しているため,魚の仕入れは,店が終わった後そのまま直行するという。地酒,焼酎も揃っており,最後にざるそばで締めることもできる。 |
新鮮な魚と焼きナスに満足そうな大田氏。2軒目で終わりそうな後姿だが,3軒目はあった。バー「露口」へ。古くて渋そうな店構え。ジントニックは大田氏が露口に来て,最初に頼む定番らしい。柳原良平さんと言う画家が,実際に来てサインをしてくれた置物(?)が。
自由業風の男性,露口賛歌を語る。このような常連さんが店を作るのだろう。「サマークイーン」というオリジナルカクテルはご主人の奥様をイメージしてのものらしい。
「甘くて爽やかで,すがすがしい,いい奥さんですねェ」とはサマークイーンを飲んでの大田氏。オリジナルとしてはいい命名のし方である。
ジャズ関係の来店も多いようで,店内の壁にはいくつかそのサイン色紙があった。(詳しい人にはすごい面々なのかもしれない)
店紹介テロップ「露口」 | 開店41年目を迎える四国でも最も古い歴史を持つバー。ジャズファンのご主人は,注文されたカクテルによってBGMを変えるほどロマンティスト。松山でコンサートを行うジャズメンの来店も多い。オリジナルカクテルのサマークイーンは,今や全国的に人気のあるカクテルだ。 |
店を出る。何十年と通いつづける常連のいるバーの歴史に思いをはせ,まだ看板の明るい松江の町へ消える太田氏。番組終了の際,拍手の効果音はこのときだけのものだろうか。
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新全国居酒屋紀行「新潟編」 〜酒処越後の居酒屋〜
信濃川にかかる万代橋を背景に立つ太田氏。地酒ブームの発端である新潟に期待を感じつつ,最初は地ビールでスタート。
近代的なビルのなかにあるエチゴビールの「ブルーメ」にはいる。天井が高く開放的な雰囲気で,昼間ビールを飲むにはいい環境のようだ。地ビール第1号のエチゴビールが五年程前にできたとき,太田氏はわざわざ新潟まで飲みに来たとのこと。
アンバーエールがくる。若干赤みがかった色で,泡とのバランスがいい。今では数多くの地ビールが全国にあるが,エチゴビールは今だベスト5に入る水準という。地ビールだからといって必ずしもうまいとは限らないとの言葉も。
次にスタウトがくる。先ほどのエールとは違って,ずんぐりとしたグラスに入った黒ビール。後で苦味が残るのはアンバーエールとは逆で,少し大人向き(?)のようだ。
グラスは清潔で,脂肪(手脂など)などが無いようにしないと泡がうまく立たずおいしくないので、「ブルーメ」では洗浄したグラスは自然乾燥されている。大きさの均一なグラスが列毎に逆さになって吊られているのは壮観。
店紹介テロップ「ブルーメ」 | 地ビール第1号であるエチゴビールの出来たて生ビールを手軽に楽しめる,上原酒造の直営店。ビールに合う料理も多く,昼下がりのひとときゆっくりビールを楽しめる。 |
店を出て,古町。その名の通り町並みが懐かしい感じ。ぶらぶら歩いているうちに(そのまま)本町中央市場へ到着。ある店頭では,地魚と書かれた札の周りに各種魚がくしに刺されて焼かれている。
2軒目「案山子(かかし)」という店の看板を少し検分する。千代の光,能鷹など気になる酒がたくさんある様子。「ちょっと,ここはいってみようかな」
店の壁には各種酒の種類が達筆な字で書かれている。越の寒梅は超特選から二級酒まで5種類もある。最初の注文は清泉を常温で。「清泉の特徴は穏やかで清雅な味わい」とのこと。黒板には各種メニューが筆圧の強そうな字で書かれている。1980年代後半にあった地酒ブームに火付け役になったのは,越の寒梅であるそうだ。この大手ブランドから地酒への移行(おもに酒飲みの注目先)は大きな変革だったとか。
トビウオ刺身は盛り付けが素晴らしい。透明なはね部分が弧状に並べられ,手前に刺身各部が展開している。清泉との相性は抜群らしい。
次の栃尾揚げは新潟の栃尾という所で作られる揚げのこと。ここで出てきたものにはなかに納豆・ねぎが入っている。
次の酒は鶴の友。今度は燗酒で。最初は物足りないほどの酒だが徐々にその良さがわかってくるような酒だというご主人。フナベタ刺身がくる。
千代の光はぬる燗で。以上飲んだ酒3種を家族に例えてみる。カウンターに乗せられた一升瓶達を見ていると,そんな気になってくる。
店紹介テロップ「案山子(かかし)」 | 新潟の台所といわれる本町中央市場に隣接する案山子は,開店21年を迎え,新潟の地酒を十分に堪能できる店。出張族や単身赴任のサラリーマンも多く,手頃な予算で新潟の地料理が楽しめる。 |
店を出る。地酒の種類の豊富さなど新潟で紹介しておきたかったことが順調に消化できていることに満足げな大田氏。
古町に戻り3軒目,「いづも」へ。比較的新しい感じのカウンターへ座る。こちを頼み,朝日山を燗で飲む。徳利とお猪口の質素で清潔感のある組合せが白木のカウンターに合う。こちの薄造りは赤のプレートに乗せた白の皿にふぐのように花びら状に展開している。酒によく合うそうである。
卵焼きは南蛮味噌付き。アルミホイルで白子を焼きグラタンを作るご主人。ふぐ白子のグラタンはまったりとして意外に酒のみにもよさそうだ。隣席の終始タバコをふかすおばちゃんは「死んでもいい」と口走るほどのうまさ。
店紹介テロップ「味処いづも」 | 開店してまだ7年だが,店の建物は古く,大正時代頃のもの。その昔はお茶屋さんだったそうで,今もその当時の雰囲気が残る。昼食時も営業しているので,ご主人が腕を振るった釜飯,ウナギなどが手軽に楽しめる。 |
店を出る。ご主人の渋さと美人の女将さんのコンビ,白子のグラタンにも満足。満面の笑顔で満足度を伝える大田氏。ちょっと慌しい感じの夜の新潟の細道に消えて行く。
今回は酒処,新潟だけあってビールから始まり,各種銘酒などアルコール中心であったが,意外なグラタンが魅力的に見えた。
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全国居酒屋紀行「秋田編」 〜秋田名物,美人と銘酒〜
夏の秋田。旭川(漢字は不明)のほとりに立つ大田氏。旭川はかつて武家と朝家とを隔てた境界になっていたらしい。秋田美人のお酌を期待しつつ,居酒屋のたびへ。
秋田駅前からスタート。秋田市民市場へ今夜の酒の肴を見に行く。細い道の両側にびっしりと店が並び,豊富な魚介類などが並ぶ。店ひとつはあまり大きくはないのか,通りを眺めると看板が重なるように見える。ブリコ(ハタハタの卵)ははじめてみる物だ。ハタハタ関係は種類が多く,魚でも子持ちなどがあり,ハタハタで作ったしょっつるもある。
紹介テロップ「秋田市民市場」 | 水産,青果などの食料品から衣料品まで揃う秋田市民の台所。200軒近くの店がひしめき合い,新鮮な品が市価の2〜3割引で買える。 |
市場を出て,肴の次は酒という事で「酒屋まるひこ」へ.ご主人に秋田の酒事情を伺う大田氏。普段からもお付き合いがあるらしい。秋田の酒が近年いいのは,米の精米やその後処理などの良さにもにも原因があるとのこと。
テーブルの上に幾つか酒を並べて味を見る。「春月」から。品評会で金賞受賞の酒らしく,「これは金賞タイプの酒ですねぇ」と大田氏。酒の品評会で金賞を取るタイプはたぶん決まった味や香りの傾向があるのだろう。他にくまげら,さっとにごり酒など。
店を出て,居酒屋が多いという川反通りへ。鍋茶屋は店の壁にある装飾(囲炉裏など)がいい。40種類近くの魚の中から好みを選んで鍋にしてもらえるという。寒い地方に特有の鍋料理のバリエーションの豊富さが嬉しい。「てのじ」も同様な装飾があり(活きのよい魚を模ったもの)いかにも大田氏好み。「こんなものテレビにうつしてんの」といわんばかりの若い女性が何人か通過。
1軒目「北洲」へ。中にはいると店の向うは先ほどの川が見えて視界良好。通りは比較的ごみごみした感じなので,この対照は面白い。秋田の何気ない夕方の風景で1杯やるのは楽しそうだ。大田氏ハタハタについて講釈。昔は捨てるほどとれたハタハタも量が減ったのを心配した秋田県がかつて,4,5年禁漁にしたらしくそのおかげで最近は比較的とれるようになったらしい。が高級魚になったとのこと。
ハタハタ一夜干しやいか鍋などが並ぶ。店の女将さんとまるで奥さんとのやり取りのようにしみじみと鍋を食す大田氏。女将さんの鍋に具を追加したり火加減を見たりする様は自然でいい。鍋は地味でも(地味だから)いいということもあるとのこと。カウンター席には律儀に一席づつ白いカバーがかけられており清潔そう。
店紹介テロップ「北洲」 | 昭和28年開店というから,50周年を迎えようとしている川反通りでも老舗の一つ.秋田の料理が一年中楽しめる。特に,イカのワタ,イカの塩辛,味噌で味付けしたイカ鍋は絶品。 |
店を出る。ささやくような語り口の店の女将さんをやはり気に入った様子。
2軒目の「酒盃」はちょっとひそやかな通りの一角にある。丁寧な言葉遣いのご主人自ら注文を取りにくる。百合正宗(?)を注文。お猪口で冷酒を飲む。お猪口も冷やされているようだ。お通しとしていくつかの小鉢が入った箱がくる。イカの塩辛はワタが黒く新鮮そう。
つやつやと輝く岩ガキ。吟醸酒にぴったりのよう。(ちょっと周囲の客がうるさい)次は白魚とじゅんさい貝焼(大き目のホタテ貝の上に具・調味料を入れたもの)。百合正宗との相性は抜群とのこと。あまりのうまさにくらくらするほどの大田氏。
くじらと茄子の味噌貝焼。なぜか茄子とくじらがよく似ている。どちらも細切りで両端の部分が少し黒い。店内は味や酒にうるさそうな客でいっぱいのようである。
店紹介テロップ「酒盃」 | 武家屋敷を思わせる重厚な造りは全てご主人の沖田さんの思いがあらわれたもの。その思いは料理と日本酒にも活かされ,秋田の田舎料理である貝焼や,地元の銘酒の品揃えは,実に素晴らしい。 |
店を出る。酒,料理,店全てに満足な大田氏。特に岩ガキはこれを食べに夏の秋田にきたと言わせるほどのうまさのようだ。
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全国居酒屋紀行「高知編」 初がつおよりも酒盗?
南国高知。かつおに銘酒でその上竜馬的に天下国家を語りながら(?)酒を飲もうとのこと。
いきなりの大雨の高知駅前。坂本竜馬像を見る予定を急遽変更して,高知銘酒「濱乃鶴」の蔵元(濱乃鶴酒造)へ行く事に。
1年目の若き杜氏相原さんはコンピュータ会社に勤務していて,とある居酒屋で社長に会い杜氏を目指したという変わり種(テロップより)。以前の仕事と違い,他人との連携部分が多いようで大変とのこと。また杜氏の仕事を酒造りのいろいろな過程を取りまとめる役と認識しているようだ。酒の素晴らしさは酔っ払ったときの気持ちの変化(ほぐれ方)にあるとの話は共感。
次ぎにいくつかの酒の味を見る。夢許(ゆめばかり)美丈夫・美丈夫 麗(男らしく,シャープでもかすかな甘味も<太田氏談>)など。相原さん好みの酒は「ひたすら飲める酒」。気がついたら一升空けちゃったというような酒はやはりうまいからだろう。
酒造を出ると,雨があがった後で爽やかな居酒屋地帯(帯屋町)へ。歩くうち,おじや町小路という細道の両側に看板が連なる一帯へ侵入。立ち飲み風モツ屋は満員のようだ。途中すでにでき上がった様子の二人組みに触発されて,1軒目「魚福」へ。どろめ(イワシの稚魚)・チャンバラ貝など珍しいものを頼むが,映像にはでないとのこと。どろめは店の人が注文を聞き入れているのに,(この日は時化《しけ》のため,漁が無く,食べられませんでした)とテロップ。よくわからないテロップの新たなバージョンである。
個人の酒の消費量では高知は日本一かもしれないとのこと。日本酒限定ということだろうか。酒盗が出る。酒盗とはここではかつおの腸のこと。辛口酔鯨にはよく合うらしい。鰹たたきは全体に味がついていて薬味も豊富。「うまい,うまい,やっぱりこの酸味がいいなあ」 ご主人が丁寧にたたきらしきを作る映像が入る。
ウツボのたたきも鰹同様の盛り付け。かぶりついて太田氏あまりのおいしさに普段とは違うちょっと大きなリアクションをする。「坂本竜馬や中岡晋太郎もこれを食べながら国を論じていたのかもしれないですね。まさに日本を救う料理だよ」
鯨のすき鍋は本来にんにくの芽で炊くところ,季節的に無理なためネギで代用してあるとのこと。鯨のベーコンの厚切りが豊富に入っていてうまそう。
店紹介テロップ「魚福」 | 開店14年を迎える魚福は,高知の地酒と地魚が十分に堪能できる店。特に鰹のたたきやウツボのたたきは注文をいただいてからあぶるので多少時間はかかるが絶品。店内にはイケスがあり,ウツボが泳いでいた。 |
酒を飲みながら,徐々に活気がみなぎると言う高知の肴達。勢いに乗って2軒目「とんちゃん」へ。1階は満員のようで,横の別入り口から2階へ行く。とんちゃん(こんな感じ)と黄色の暖簾にでかでかと店1階を覆うように書いてある。2階の奥の席につくと,ご主人親子が歓迎してくれる。以下はベレー帽が似合う吉本健児さんの言葉。
「庶民的な酒場を作りたかった。」
「私のメニューには高価な料理はないんです。」
「高価な料理は作らないと,始めから決めていたんです。」 太田 「ええ,ええ」
「ささやかに自腹切って飲んでいるのに,隣りで豪勢にやられたんでは,面白くありませんよね。」 太 「分かりますね,隣りでうーん…」
「酒を飲んでいるのに,隣りでね,めし食われたらおもしろくない。」
「私は,どこまでも庶民の酒場を作りたい。」 「と言うのは,その前が屋台ですからね。」 「その前は,やみ酒屋ですからね。」
太 「屋台からはじめられたことを忘れないために,あそこに窓を作っている,ちょっと開けてみてもらえますかね。」
高価な料理はない庶民的な居酒屋と言うのは分かるが,「めし食われたらおもしろくない」という信念も酒飲みのもうひとつの信念という感じで良い。
1階から2階へは古風な手動エレベーターでビールなどが運ばれてくる。にらとんを食べる太田氏をちょっとひきの絵でとらえた映像は,手前のテーブルの年季の入った風情に居心地のよさを感じる。急に雨が降りだし,先ほど開けた天窓から降りこみ店内はちょっとした騒ぎに。店の外も道行く人が慌しい。頼んだメニューは他に「ジンギスカン」「銀ナベ《もつ煮込み》」。銀ナベの中身がもつというのは銀シャリ(具なしおにぎり)にヒントを得たのだろうか。
店内カウンターは古い燗付け機から立ち上る湯気で熱気が立ち込める。
2階の映像で思い出したのだが,タイトルバックで使われる映像だ。
店紹介テロップ「とんちゃん」 | 91歳になるご主人,吉本健児さんが,昭和29年満州から引き上げてきて開業。屋台から始め,こつこつと自分で作り上げた店は,今年で45年になる。いごっそうで気骨のあるご主人は,今でも店に自分の席を持ち,気軽にお客と語り合う。現在は息子の吉本光徳さんが店を切り盛りしている。 |
ご主人の信念が結実した店に満足し,また雨が振り出してきた高知の夜へ消える。……と珍しく翌日の朝市「日曜市」の映像がでる。
簡易なテントに青果や干物等豊富に品々が並ぶ。
紹介テロップ「高知日曜市」 | 江戸時代の元禄3年(1690年)以来,高知市民の台所として300年以上の歴史がある。地元農家の新鮮な野菜に加え,土佐湾一帯で獲れた干物などを売る店が,長さ1キロにも及び,見て歩くだけでも楽しい。全ての商品が市価のニ〜三割安とお買い得。 |
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新全国居酒屋紀行「長野編」 〜信州の山菜と善光寺〜
中央通り(善光寺への参道)に立つ太田氏。すがすがしく晴れ渡った空。お参り日和である。道が広々と新しいわりには両側に古風な看板の店が並ぶ。
とある店から聞こえてくる長野県の県歌。長野県出身の太田氏は県歌を歌えるとのこと。これは太田氏に限らず,ほとんどの長野県人が歌えるらしく,県歌の存在さえ知らない私は驚く。長野県歌の詳しい事はここへ。
七味唐辛子も長野ではお馴染みらしい。私のうちにもあった八幡屋礒五郎で売られている赤と金の容器は高価なものという気がしたのを思い出す。
善光寺へ。仁王門両側の柵部分にはわらじがぎっしりとおいてある。理由はわからない。仁王像に対するお供え物なのだろうか。
善光寺本堂(国宝)は質素でありながら個々の装飾はきちっとしている(太田氏談)。お香から出ている煙を体に当てるとその部分が治るとのいわれがあるらしく,酒飲みの太田氏は肝臓に当ててみる。「よし!」
寺からアーケード街へ。秋葉横丁という小道に入る。ちょうど学校帰りらしき小学生とぶつかりそうになる。明治ゴールド牛乳の看板・古めの洋品店など地方都市的雰囲気の町並みが続く。とある居酒屋前にたたずんでいた主人と雑談。ハートランドビールがあり(珍しいものらしい。長野では発売していないらしいがなぜあるのだろう)・天法などがおすすめの酒としてある。この酒を作った天法酒造の瀬川杜氏は酒造界では非常に有名な人らしい。
いわなと山菜料理とかかれた1軒目「ごんべえ」に入る。カウンターに座り,瓶ビールで一息つく。山菜料理の材料はご主人自らが山に行って収穫するとのこと。店にはりだされていた根曲り竹の子の玉子とじが来る。根曲り竹の子とはご主人の話しからすると,雪の重みで根が曲る事からの命名らしい。
ミヤマイラクサという山菜が竹器にのって出てくる。胡麻,味噌,マヨネーズをあえたソースでいただく。べにばないちやくそうという小さく可憐な花が飾りとして添えられている。ちょっと気になったのはそうこう説明しているご主人も他のお客にビールを注いでもらっている。通常の居酒屋の主人のような白い上っ張りも着ていず,ラフな感じである。
イワナ刺身が出る。今度はやまぼうしという白さが際立つ清潔感のある花が添えられる。口の中でゆっくりとイワナの刺身を味わい,「や,おいしいね,全然川の魚って感じしないですね,たいの刺身みたいですね」
ヨブスマソウがでる。今度はきぬがさそうが添えてある。小さくて白く可憐な花。先ほど玉子とじで出た竹の子が今度は焼き物として出てくる。添えてあるのはまいづるそうである。竹の子は皮ごとなのでむいてからかぶりつくように食べる。次にギョウジャニンニク。マヨネーズベース状のたれがのせられている。ちご百合が添え物としてあり,器からかおを覗かせる。細く小さな花弁が5,6枚でかわいらしい。山菜尽くめで満足した太田氏曰く,「魚ばっかりが肴じゃないねェ」
店紹介テロップ「ごんべえ」 | 信州の山菜を堪能するなら開店16年を迎えるこの店。ほとんど毎日,早朝から山に入るご主人は,キノコ取りや狩猟も得意なので,秋にはキノコとキジ料理が楽しめる。山菜のコースは毎日料理を変えているので,毎日通っても飽きることがない。 |
新鮮な山菜と山の可憐な花達に満足げな様子。まだ日も明るい中,長野駅近くの2軒目「山ニ」へ。もとは魚屋だったという山ニ。店にジャズが流れているのはまた面白い。
長野県育ちの太田氏,カウンターに置かれた七味唐辛子の缶を見ながら感慨に浸る。
イワシのヌタがくる。カウンター越しご主人の「かき混ぜて召し上がってください」に混ぜてから口に。
メバル煮付けは日本海の物。ひとりでお客に応対するご主人は忙しそうだが,きちっとした料理の説明は良い感じだ。
店紹介テロップ「山ニ」 | 日本界の新鮮な海の幸を提供して30年。ご主人の趣味は多岐にわたり,ジャズ以外にも車やスキーなど若者顔負け。残念ながら,平成12年7月から11月にかけてご主人の念願である改築を行うが,どんな店になるのか乞うご期待。 |
松本出身の太田氏は長野市にくるのも善光寺もはじめてとのこと。県歌を久しぶりに口ずさみ少年時代を思い出した旅だったのだろうか。長野には1軒古いバーがあるんですよ,といいつつ街中に消える太田氏。
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全国居酒屋紀行「那覇編」 〜夏・沖縄・泡盛〜
首里城前に立つ太田氏。首里城は全体に赤く塗られているが,太田氏の衣装もまたそれに近い色。「沖縄の好きな理由の第一はなんといっても泡盛だな,あれをオンザロックできゅっとやると最高の暑気払だね。……それから島ラッキョウをはじめとする沖縄の豊かな食文化ですね。沖縄が日本一の長寿県だということは皆さん知ってますが,酒を飲んで長生きできる,こんなに良いところは無いんじゃないですかね」
新装がおわった那覇空港前からスタート。すぐに牧志の公設市場へ昼飯を求めて移動。看板にはマチグワカイユーメンソーチェビーサヤーと沖縄方言で書いてあり,意味は市場にようこそいらっしゃいました。
ゴーヤがひとつ200円。これは東京の約2分の1の値段らしく,しかも質もよいとのこと。とある魚屋にはぐるくん・アバサン(?)など関東の人間には見慣れない魚もある。魚以外にも豚の頭・豚足が市場に置かれている様は香港や台湾の市場を想起させるものがある。
紹介テロップ「第一牧志公設市場」 | ここの市場で買った食材は,2階の食堂で調理してもらい,食べられる。(有料) |
市場の2階には巨大な食の世界が展開している。屋台風にいくつもの店が周りを囲み,真中はテーブル席が並び,思い思いのものを食べれる仕組み。これもアジア風な感じだ。ちょうど昼飯時でほぼ満員の盛況振り。太田氏の沖縄の友人嘉手川さんとともにビールで乾杯。テーブルには幾つかの惣菜が並べられている。へちま(ナーべーラー)のみそ煮。ナーベーラーはゴーヤとともに沖縄でよく食べられる野菜。最近ゴーヤは関東でも見られるが,ナーベーラーはあまり接する機会はない。
次に三枚肉煮込み(豚の角煮のようなもの),焼きビーフン,ゴーヤみそ煮。台湾料理の度合いが強いようだが,というのは店主が台湾の方だそう。
テーブルに置かれたコーレーグス(とうがらしの泡盛づけ)は各種料理や刺身,沖縄そばにもOKな万能調味料。ご馳走の数々に仕事で困憊していた太田氏は疲れも吹っ飛んだようだ。
瑞穂酒造で泡盛などを見る。大きな甕(かめ)が置かれ貯蔵と製造が行われている。
紹介テロップ「瑞穂酒造」 | 現在沖縄には,46の酒造があるが,瑞穂酒造はその中で2番目に古い蔵。年間9万リットルの出荷量で,30年物の古酒まである。 |
創業150年の歴史があるこの酒造の最古のクース(泡盛)は98年物という。「…98年古酒!すごい,金さん銀さんみたいですね。…それはもう開けられないですね」
賞状などが壁にかけられた手前の雛壇状のところには300年物という古い甕に貴重なクースが入っている。
酒造を後にして街中へ。めんそれー桜坂,楽しい社交街と書かれたちょっとあやしい看板の細道へ。歴史のある一帯らしい。スナックイヤリングや,居酒屋がじまる,居酒屋南洋など。戦後の町並みそのままのディープさがある。「たまんないね,このムード。アメリカの国境の町を行くみたいな。テキーラの匂いがしそうだな」
そうこう散策するうち,1軒目「りょう次」へ。玄関の静かな感じに似合わず,店内はお客さんでいっぱい。昼飯で一緒の嘉手川さんが加わる。今度は二人してビールのジョッキをあおる。(昼間嘉手川さんはウーロン茶)オリオンビールはすっきりと飲みやすいそうだが,タイのビール・シンハーの様にアルコール度が低めなのだろうか。
島ラッキョウは鰹節が豊富にかけてある。形態が通常のラッキョウとはだいぶ違い細長い。咲元を丁寧に水割りにして飲む。肴には他にうんちぇー炒め,からす三品盛り。魚,野菜類の新鮮そうなものがケースに置かれている。
店紹介テロップ「りょう次」 | 開店11年を迎える那覇で最もいきおいのある店のひとつ。カウンター,座席を含めて60名ほど入る店内は,いつも満員。沖縄料理だけではなく,刺身から日本酒まで,なんでも楽しめる。 |
沖縄料理がしゃれた居酒屋に溶け込んでいる感じのりょう次。改装後の雰囲気にも満足な太田氏,嘉手川さんの隣りの,酔ってしきりに話しかけていたおやじのことを少し心配する。
国際通り牧志交番の脇にある,龍宮通りに着く。かつて沖縄で最も古いこの通りを見つけてきたものの遅い時間だったため,店が閉店していたらしく,期待が高まる太田氏。2軒目「小桜」へ。カウンターだけのこじんまりとしたよくいう隠れ家的雰囲気の店。開店当初記念のパーティをやったらしく,その時の集合写真をご主人が見せてくれる。
その他にも常連さんたちの写真なのだろうか,壁に写真がいっぱいに貼ってある。豆腐ようは6カ月もの熟成期間が必要なもので,沖縄の昔からの珍味。ご主人が作り方をざっと説明してくれる。爪楊枝でちょっとづつ食べる様子は和菓子のようだが,れっきとした酒の肴である。
店紹介テロップ「小桜」 | 昭和30年に開店して以来,44年に渡って龍宮通り社交街の歴史を作ってきた店。現在は,76歳になる中山フミエさんと,息子である孝一さんが店をきりもりしている。自家製の豆腐ようは絶品で,本土からわざわざ豆腐ようを目当てに来店するお客様も多い。 |
憧れの店にようやくたどりつけて満足するとともに,那覇一番の老舗に,長く続いている店特有の安心感を感じる太田氏。さらに龍宮通りの奥地に分け入る果敢な(?)太田氏の後姿とともに終了。
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全国居酒屋紀行「名古屋編」 〜八丁味噌と伊勢湾の魚〜
名古屋市役所前からスタート。経済観念の発達した(言葉を変えるとケチということか)名古屋の人はあまり外で酒を飲まないというが,全国どこへ行っても居酒屋のないところはないという信念のもと,居酒屋の旅へ。1軒は確実に素晴らしい居酒屋があるとのことだが。
名古屋駅は近年巨大な駅ビルができた。ツインタワーである。そのあたりにはさほど触れずに名古屋ならではの昼飯にゴー。
「山本屋総本家」で早速瓶ビール。そしてみそ煮込みうどん。まるでカレーうどんであるかのように黒いスープ(八丁みそ)に太目のうどんが泳ぐ。調味料入れの竹筒は真中に節があるらしく,そこで七味と一味を分けていれてある。太田氏は七味を投入。蓋にいったん取ってからうどんをすする。味噌だけでなく,他のスパイスも入っているらしく「人を夢中にさせる要素が」あるらしい。
とある店の壁に名古屋名物,方言競という方言を相撲の番付にしたものがある。
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西 | 東 | |
まわし | 横綱 | あのなも |
きんにょう | 大関 | でやあこん |
だいつう | 関脇 | ぎょうさん |
さやあでやあ | 小結 | やっとかめ |
とろくさい | 前頭 | こそべたい |
そうきやあも | 前頭 | おみやあさん |
他にも前頭以下たくさんあったが,割愛。「まわし」はしたく・用意という意味らしい。「きんにょう」は昨日。「きんのぅ」などとも発音するらしい。「だいつう」はおしゃれという意味であるがこれは方言としても古いものらしい。名古屋弁は単語というよりも独特のいいまわし(みゃー・きゃー)などがよくネタにされたりする。この看板がどういう基準で作られたのかは不明。
「よし,俺も居酒屋に入ってやろまいか(前頭のひとつ)」と指差して満足そうに立ち去る太田氏。
1軒目の「大甚」はかつて玄関にちょうちんがあったらしいが,通行に邪魔とのことで外され今はない。場所は伏見駅近くの交差点という一等地。店は開店直後なのに,半分の入りといったところでなかなか混んでいる。酒の肴は各自で取るようになっていて,太田氏はまず,シャコ,トコブシ煮,タラコ煮を。
だいたいテーブル席のようだが,相席は当たり前で一人の客が多いのは大塚で登場した斉藤酒場を思い起こす。客層はちょっと違うが。
樽から酒を徳利に入れるのはいかにも風情のある感じ。徳利とお猪口には小さく大甚と文字が入っている。酒は賀茂鶴(広島)であるが店のための特別製であるらしい。
次ぎの肴はタイの刺身,トリガイ酢味噌和え。 2階席にも続々と客が来て,店内ははや満員の模様。
店紹介テロップ「大甚」 | 名古屋の酒のみなら誰でも知っている名店。明治40年創業で,現在のご主人は3代目。数えきれないほどの料理は,煮物から焼き物,刺身にいたるまでなんでもござれ。しかも何を食べても美味しく安い。居酒屋の原点ここに有り! |
老若男女の別なく集まる大甚は家族で経営されている。テロップにも有るとおり,まさに居酒屋の「原点」だろうか。
栄駅周辺にもどり,2軒目「万菊」(ばんぎく)へ。生ビールをまず頼む。つくねその他も注文。名古屋コーチンはかつて絶滅の危機に陥ったことがあったらしい(太田氏談)が,普通のブロイラーよりも二倍以上も育成に時間がかかることなどが理由だろうか。
かもしびと,へいじ(漢字不明)あたりが名古屋の酒のお勧めらしい。名古屋茶漬が来る。鳥の刺身薄切りを入れて湯を注いだものらしく,他に海苔,わさびが薬味としてのっている。名古屋全体の名物かと思いきや,この「万菊」のオリジナルメニューらしい。
店紹介テロップ「万菊」 | 昭和21年創業の老舗で,居酒屋料理のほか,冬にはふぐが,夏にはハモが楽しめる。名物の名古屋コーチンは刺身や磯揚げの他にミソカツ丼としても味わえる。 |
表に貼ってある若い着物姿の女性につられてはいる客も多いとか。 3軒目はバー「バイン」へ。バインという言葉はドイツ語で「酒」を表すらしい。
太田氏お得意のジントニックが来る。マスター以下4人の男性が正装して働く様はカッコイイ。居酒屋と違いバーは業界全体を盛り上げようと他のお店を積極的に紹介する傾向があるらしい。次ぎのカクテルは「タワーリシチ」。作ったのはマスターの息子さん。ロシア語で同志というような意味。マスターによるとなかなか通好みのカクテルらしい。淡いオレンジ色が印象的だが,なんのかんきつ類を使っているのかは不明。
店紹介テロップ「バイン」 | 開店3年目のまだ若い店だが,マスターはバーテンダー歴30年という大ベテラン。名古屋のバーの老舗オードビーに13年間働き,同じくオードビーでバーテンダーをやっていた息子さんと共に独立した。 |
ベテランのマスターの洗練された会話に
名古屋には居酒屋密集地帯はない。が,ぽつぽつと分散してではあるが優秀な居酒屋またはバーが有ること,また酒呑みの存在を確認して満足げな太田氏。さらに町に消える。
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全国居酒屋紀行「特別編その2」 〜女性の一人酒?〜
番組一周年を記念しての特別編。雨のなか東京・秋葉原の居酒屋「赤津加」で素敵な女性をゲストに迎えて…という趣旨。
奥まったところのテーブルに座り,女将さんと話す太田氏。
店紹介テロップ「赤津加」 | 昭和29年から,現在の居酒屋の形になって46年。女将さんは2代目で,店を継いでもう41年になる。秋葉原の青物市場が,最盛期の時からの常連さんも多く,威勢のよい声が今にも聞こえてきそうな粋な雰囲気。 |
「歴史のある店は有るんだけども,建物自体が残っているのはこのぐらいしか(指を2本ほど折る)。妙な言い方だけど居酒屋の黄金時代の雰囲気をそのままに残した貴重な文化遺産だと思う。」と絶賛。
ここでゲストの森川由加里さんが登場。森川さんは全国居酒屋紀行のファンらしく,太田氏に会えるのを「夢みたいな」というほどだ。
森川由加里 | 東京都葛飾柴又生まれ。チャキチャキの江戸っ子で1987年にリリースされたセカンドシングル”SHOW ME”が大ヒット。その後もドラマ,ラジオ,CMなどで活躍中。 |
総集編をとりあえず見ながら,ビデオに揃えて見るほどの森川さんとの話しがはずむ。最初に登場は清水の「かねだ食堂」。かき揚げやシラスが出る。森川さんのお母さんはよくかき揚げを作ってくれたとのこと。
次ぎに大阪「明治屋」のVTR。「居酒屋の居とは…」と話しだす自分に太田氏照れ笑い。3番目は大阪「ながほり」。
森川「この番組始まる前に必ず,コンビニなんかに売ってるちっちゃい吟醸酒と塩辛ポンって用意してそれから見るんです。(身を乗りだす)」
4番目は横浜「バラ荘」。5番目は釧路「炉ばた」。
森川「釧路の炉ばた,私が一番行きたいところ!居酒屋紀行ファンは周りに山ほどいまして,(行ったことの有る)バンドの連中が言うにはここは絶対出るんじゃないか(総集編に)といっていたところ。」
6番目は東京「山利喜」。森川さんは特別編一回目登場のなぎら健壱さんに連れられて行ったことがあるとのこと。
7番目は東京「大はし」。8番目は博多「さきと」。9番目は名古屋「大甚」。 以下に出てきた店を順番に表にしてみました。
特別編その2登場店 | ||
|
地域 |
|
1 | 静岡・清水 | かねだ食堂 |
2 | 大阪 | 明治屋 |
3 | 大阪 | ながほり |
4 | 横浜 | バラ荘 |
5 | 北海道・釧路 | 炉ばた |
6 | 東京・江東区 | 山利喜 |
7 | 東京・足立区 | 大はし |
8 | 九州・博多 | さきと |
9 | 名古屋 | 大甚 |
有名店なのだろうが,わりとリンク先が見つからない感じだ。(熱心には探していませんが)
太田氏が頼んだ,ぬたとたこぶつがくる。森川さんは筑前煮と卵焼きを注文。以下会話の抜粋。
太田「森川さんは居酒屋なんか入ることあるの。」
森川「ほとんど居酒屋ですよ,呑み行くときなんか」
太「森川さんだと,分かっちゃうから」
森「ああ,いえ特に気にしません。女同士です。ひとりでは入りませんね。だから男の人はうらやましいですね。カウンターで何杯か呑んですっと帰る。素敵じゃないですか。ところが女がそれやったらどうですか?」
太「訳ありに見えるね。まわりが気にしちゃって。」
森「私,女でも,そういう人がいたら詮索してしまいますね。」
太「そうね,男は一人で居酒屋のカウンターに座って自分の世界に入れるのは男の特権かもしれないね。でもね,東京の大塚の江戸一という居酒屋で女の一人客が割合いてあんまり変じゃないですよ。女性が一人で行くときは女将さんがいる店にいくと安心なんですよ。」
森「あー,そうだ,そうかもしれない。」
ここで,先ほど注文の卵焼きが来る。続いて筑前煮も。
森「良いお客さんがいる所って良い居酒屋ですよね。あと一見(いちげん)として入る時にこうちょいと覗くんですよ。お店の雰囲気を。その時に親父さんが多い,仕事帰りのサラリーマンとかのいる店って悪くないんですよ。今まで9割方当たってるんですよ。安くてうまい。」
太「中年以上の男性は自分のお金でお酒飲むんだけども,ちょうど子供のことなんかでお金がかかる時期だから。どうしたって自分のお金で飲むから厳しくなるわけよ。ひとりもののお客さんがカウンターに陣取ってる店はだいたい間違いないね。だからその見方は当たってますね。」
森「ご飯食べに行く時に,彼氏にしても彼氏じゃないにしても,男の人に誘われて,ざくっとこういう渋い,自分の知らなかった居酒屋に連れてこられると,ころっとなるのは森川だけですか。」
太「いいこと言ってくれるねェ。」
森「本もおだしになってて,番組で紹介されてないお店ってたくさんあるじゃないですか。どうやってこの…やっぱり土地勘と足を使って(探すんですか?)」
太「……当たらないもんだねぇ。打率は昔2割5分って言ってたけど,2割だね。だから5軒入れば1軒良い店があるって感じだね。基本的にはその町で一番古い店に入るんだけども,ただ古いだけでひどいなっていうのもあるからね。……」
徳利のやり取りが続き,気持ちよさそうに酒を飲む二人。そうこうするうちにフェイド・アウト。しかし,森川さんは居酒屋の似合う素敵な女性だった。
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全国居酒屋紀行「スペシャル」 〜行ってみたい居酒屋は?〜
浦和駅前からスタート。今回は太田氏でなく,番組ディレクターの小川さんが登場。お住まいである浦和の居酒屋紹介から始まる。「裏に行きますと案外いい居酒屋があります。せっかくですからちょっと紹介しましょう。」
まず西口から。浦和でおそらく一番の有名ラーメン店「かめ福」,暮六つ(居酒屋),バー「WAITS]などを。
東口は「勇寿司」から。ちょうどサラリーマンの団体が入って行くところ。「鳥昇」。提灯にはなぜかうなぎ・やきとりが交互に書いてある。「安くて美味しい,ま普通の店ですね。」 居酒屋「石松」。そうこう歩くうち,「酒呑道場」へ入る。それにしてもすごい名前だ。道場破りだ!なんて居酒屋をはしごする酒呑み達の声が聞こえてきそうである。
ブラウ・マイスターのジョッキを飲む小川さん。ここで気を入れ替えて総集編前半(北海道〜中部)のVTR。個々の紹介は別にある(またはしていく)ので,名前だけを書きます。
スペシャル総集編(北海道〜中部) | |
地域 | 店名 |
札幌 | あんぽん |
札幌 | 葡萄酒倉庫 |
釧路 | 挽歌 |
秋田 | 酒盃 |
会津若松 | 麦とろ |
会津若松 | 籠太 |
東京 | 串駒(なぎら健壱さん登場) |
東京 | 大はし |
横浜 | パパジョン |
横浜 | バラ荘 |
神奈川・葉山 | フィッシャーマンズバー |
静岡・清水 | 新生丸 |
富山 | 真酒亭 |
金沢 | 菊一 |
福井・三国 | 魚志楼 |
名古屋 | 大甚 |
VTR明けに,へしこという鯖のぬか漬を美味しく食べる小川さんの映像が入る。会津若松・麦とろで食べた鯨汁が美味しかったとのこと。続いて総集編後半の近畿〜沖縄。
スペシャル総集編(近畿〜沖縄) | |
地域 | 店名 |
大阪 | ながほり |
神戸 | 金盃 |
神戸 | 八島東店 |
徳島 | 丸ニ寿し |
松山 | 露口 |
高知 | とんちゃん |
小倉 | 武蔵 |
長崎 | 桃若 |
熊本 | うまか屋 |
鹿児島 | 焼酎天国 |
那覇 | 小桜 |
牛すじの煮こみが出ている。那覇・小桜の豆腐ようはクースのためだけの肴としてその存在自体が素晴らしいと絶賛。次ぎはいよいよ,行ってみたい居酒屋ベスト10。
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第10位 | 大分 | こつこつ庵 |
第9位 | 仙台 | 源氏 |
第8位 | 大阪 | 明治屋 |
第7位 | 京都 | めなみ |
第6位 | 高松 | 美人亭 |
第5位 | 東京 | 山利喜 |
第4位 | 釧路 | 炉ばた |
第3位 | 清水 | かねだ食堂 |
第2位 | 博多 | さきと |
第1位 | 仙台 | 一心 |
太田氏自身が東の横綱,西の横綱と言った両店が一,二位を占めた。かねだ食堂が3位にはいるとはかき揚げ効果だろうか。 店を出て,歩きながら番組を進める小川さん。「未公開VTRがあります」と言いつつ,バーらしき店へ入って行く。
店の人との掛け合いなど,普段の落ち着いた雰囲気より幾分ハイな太田氏の画像の数々。横浜・パパジョンのマスターは美空ひばりが亡くなった時だけ少し早く店を閉めたそうだ。未公開VTRのあとは少し早回しのエンディング・テーマに,居酒屋横丁(?)の絵,酒を呑む人達の絵,がなんともいえない。最後の拍手で終了は納得。
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新全国居酒屋紀行「青森・八戸編」
(最初の部分が録画されていなかったため,サブタイトルが分かりません。)
八戸港,イカ釣り船を背にした太田氏。八戸港は平成11年度の漁獲高日本一だそうだ。内訳は主に鯖とイカだそう。漁獲の金額ではまた違う順位になるそうですが。(ふぐなどが獲れる福岡が上位の常連のよう)
陸奥湊駅前市場へ行く。ちょうど昼飯時のようで,店番のおばさんたちが店の席についたまま食事をとったり,新聞を広げたりしている。なんとなく恐縮する太田氏。
いちご煮という見慣れない名前の缶詰はあわびとウニを贅沢に使ったお吸い物のようだ。ここでは1缶1,000円という表示であった。
街中には無造作に干物が干されたりしている。目的の大洋食堂に到着。店入り口に豊富なメニューが書かれていて,思わず目を留めそうなところである。
メニューの組合せは客が決められるが,あまりに多いのでちょっと迷いそうである。刺身,おかず,汁物とバリエーションに富んでいる。ただ,それをメモ用紙に書いて提出するのがしきたりのようなのでちょっと面倒だろうか。さらに注文者の名前をフルネームで書かされるというのは本当だろうか。と身構えたところで,やさしそうな浦部粂子さんに似た声の女将さんがやってきて安心。
太田氏の注文は刺身三種(もどりかつお・ヒラメ・イクラ),豆腐汁,干しカレイ。「八戸の干しカレイはどこよりもうまい,風の味がするんだな」とは北風の滋味をたっぷり吸収した干物の美味しさを詩的に表現した渋い一言。
店紹介テロップ「大洋食堂」 | 本来大洋荘という宿の食堂なのだが,外からのお客も大歓迎。八戸漁港に揚がる新鮮な魚を,生でも焼いても何でも楽しめる。初めての時は注文の仕方に驚くが,慣れてしまえばそれもまた楽し。 |
一転して夜の八戸の居酒屋地帯へ。KIRINと大きく書かれた看板のネオンの派手なビルの向かいにある渋い居酒屋,「ばんや」が1軒目。
カウンターにつくなり,仕事はじめと言いつつ,最初のビールを飲む太田氏。仕事はじめとはなんともうらやましい一言。カウンターに並んだ惣菜がひとつひとつ紹介されたので,以下に列挙します。 春菊とシメジのお浸し・焼きニシン・つぶ貝・めぬけのカマ・里芋・たらこ・なめこの麹南蛮煮・馬肉のみそ煮・ふきわらび。
頼んだのはふきわらび。郷土料理の豊富さに満足な太田氏。菊駒(青森)十 純米吟醸はラベルに十と文字が大きくある。大ぶりな湯のみで飲む。味を一言でいうと,「おっかあってなもんだ」(太田氏言)わりあい単純だが,安心できる味ということらしい。
馬刺しは薬味としてしょうが,にんにく,菊の花がつく。ミョウガのみそ炒めはシンプルにみそで炒めただけらしいが材料が良いのかとても美味しいとのこと。
店紹介テロップ「ばんや」 | ご主人は30歳の時に店をはじめて33年。地元の飾らない郷土料理が,絶品の地酒とともに堪能できる。建物は火事と地震の為二度改築されているが,元は大正時代の古い料亭。酒飲みなら店に入った途端,歓喜の叫びをあげる。 |
向かいのネオンの色でますます赤く映る太田氏。付近は選挙演説かなにかで騒々しい。ご主人は若い頃,東京にいたらしく,「ばんや」には太田氏憧れの人形作家・俳優の四谷シモンさんやドイツ文学者の先生(名前聞き取れず)がいらしたということ。
もう1軒ということで,「バー花」へ。入り口は引き戸タイプで中の華やかさをイメージしにくいところがあって,太田氏も「まさか違うだろうと思い,道を聞くために入った」とのこと。注文のジントニックはカウンター近くの布を敷いた目立つところで,淡々と作られていく。球状に削られた氷が三つ縦に入る細長いグラスである。
バーテンダー歴30年のマスターによると,昔は八戸にもバーが多かったとのこと。基地関係のこともあるのだろうが,マスターの話す理由はちょっと聞き取れなかった。
次のオーダーはマンハッタン。珍しい円筒形なカクテルグラス。カクテルの入る部分が真中のくびれた円筒のような形で,ちょっと量が入りそう。
ここで太田氏の披露した本州のバー北限説の変遷。 《仙台「もん」(漢字不明)→盛岡「バロン」→八戸「バー花」。》 これをさらに更新するのは難しいだろう。
スノースタイル ギムレットも注文。グラスのふちに雪のようにうっすらと塩が振られている。「これは東京で飲んでいても面白くないね。…とてもとても素晴らしい。」
店紹介テロップ「バー花」 | 和風ラウンジ花という看板をかかげてはいるが,店内はオーセンティックな本格的なバー。バーテンダーとして32年の経験を持つマスターは,日本バーテンダー協会八戸支部の支部長でもある。繁華街からはちょっと離れているが,わざわざ足を延ばして損は絶対しない。 |
「オーセンティック」という言葉がわからなかったので,ヤフー辞書検索で見ると,
オーセンティック【authentic】 (形動)本物であること。正真正銘。信頼できるさま。ファッションでは正統派をいう。
とのこと。外見(店の玄関)は奥から光が差しているあやしい引き戸なのだが,まさにオーセンティックなバー。「もっとあるかもしれないぞ。」と新たな店発掘の雰囲気を漂わせて街へ消える太田氏。
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全国居酒屋紀行「札幌編」 〜すすきのの夜はなんでもござれ〜
札幌大通公園から。寒そうな太田氏。若干,声もしわがれた感じになる。歴史のない分,自由で独立心の強い札幌の最新居酒屋事情ということで,期待も高まる。
仕切りなおして札幌駅。駅前は雪も少なく若干温かそう。札幌の昼飯といえば,もちろん生ビールとジンギスカンということでいざ出陣。
サッポロビール園に到着。手馴れた感じで栓をひねって生ビールをジョッキに取る男性の映像。ジンギスカンの鍋は北海道を模(かたど)っていて,尖った部分が丸い鍋の外側に飛び出ている風で,面白い。ディンケルの生をまずぐいっと飲む。太田氏はモンゴルでジンギスカンと頼んで笑われたことがあるとのこと。ジンギスカンという名前の料理は日本にしかない。 ジンギスカン料理についての各種情報はここへ。
店紹介テロップ「サッポロビール園」 | メインのビアホール開拓使館は,明治時代に建てられた工場を利用しており,風格ある建物。この工場オジリナルのディンケル生ビールは,日本に居ながらにしてドイツに居るような気持ちにさせてくれる逸品。 |
一転して夜の札幌は大通り公園。ホワイトイルミネーションが綺麗だ。とあるクリスマスツリーの前でススキのについて語る太田氏。あまりに巨大なススキノで散策しながら店を探すわけにもいかず,既知の店「あんぽん」に行くことになる。いささか暗い照明の店には柔和そうな女将さんが迎えてくれる。かすべ(エイ)煮こごりはいかにもお酒に合いそうな一品。
煮こごりはなぜ固まるのかとふと思ったので調べて見たところ,ヤフーグルメ お料理なんでもQ&Aに以下のような問答があった。
Q : 魚の煮汁が冷えると固まるのはなぜなのでしょうか。どんな魚でも固まるのでしょうか。 |
A:魚の煮汁が固まったものを“煮こごり”といいますが、これは、魚に含まれているコラーゲンというタンパク質が煮ることによってゼラチンに変化して煮汁の中に溶け出しているためにできるのです。
ぜラチンは冷えると固まる性質がありますから、少ない煮汁で煮て、ゼラチンの濃度が高いと、冷やした場合に煮こごりとなります。
ひらめ、かれい、こち、めばる、かさごなどが、煮こごりのできやすい魚です。 |
エイとは書かれていないが,かれいなどと肉質が似ているので,同じようにコラーゲンを多く含んでいるのだろうか。自然に煮こんで固まるのが煮こごりの面白いところである。
厚岸(あっけし)産の活け生かきは夏がきのようにこくがあるとのこと。続いて同じ物を焼きものにして食べる。「こっちの方が断然好きだね」と焼き物の方に軍配が上がる。
店紹介テロップ「あんぽん」 | 店の名前の「あんぽん」は,昔のテニス選手(フィリピン)の名から取ったそうで,22年前,先代のテニス好きのオーナーから引き継いだもの。名物の厚岸産の活けかきは,毎日の様に産地から入荷するため,新鮮そのもの。生でも食べられる焼きかきは,かきのエキスを残らず楽しめる名料理。 |
地酒と焼きかきのうまさに喜びを感じる太田氏。かきの殻の中の「母の水」にはとりわけ満足とのこと。2軒目の葡萄酒倉庫へ。ワインにあまり詳しくないという太田氏はすっぱくなく,やわらかいもので深みのある味のものという注文を出す。
まだ若い店主が選んだものはシャトーラ カルドンヌ’93というワイン。6年たってちょうど飲み頃とのこと。「濡れたやぎの毛皮の香りに,干し藁の匂いがちょっと混じってる。そのなかにはえたてのきのこのこくがありますね」とワインを文学的に評した太田氏。……と「全部でたらめですが」
店紹介テロップ「葡萄酒倉庫」 | 開店して8年目を迎えるマスターは,なんとまだ26歳。全て自己流という料理は,一流料理店にも引けを取らない素晴らしい味。魚などの食材は知人が自分で釣ったものだそうで,新鮮で安心。ほとんどのワインが4000円程度なので,懐の心配をする必要も無い。 |
マスターの知人が獲ったというえぞしかのローストが出る。それにしても18歳から店をはじめ,美人の奥さんもいるとはうらやましい限り。
3軒目はバーということで,わりと閑散とした感じのビル内のバー「ラルセン」へ。まず,マンハッタンを注文。チェリー2個入りというのが特徴のようだ。
マスターは最近カクテルに関する本を出されたとのこと。タイトルは「ちょっと気取ってカクテル」。豊富な写真でカクテルの謂れなども書いてあるようだ。出版社などは画面からはわからなかった。次はサボイスタイルのブラッディーマリー。サボイというのは海外各地にあるホテルの名前として聞くものなのでそのホテルに伝わる作りかたのようなものなのだろうか。
店紹介テロップ「ラルセン」 | 昭和42年この地でラルセンを開業したマスター近藤さんは,すでに昭和28年からバーテンダーとして活躍していた経験を持つ。ボジョレーの樽のスピーカーにジャズが流れる店内は昔ながらのバーで,カクテルを落ち着いて楽しめる。 |
さらに店を探して雪がうっすらと積もる札幌の町へ消える太田氏。タイプはそれぞれ違うが,どこも落ち着いて酒が飲める店のようでした。
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