「「坂本君っ!!!」」

ラストシーンが無事撮り終わるよう、メンバー全員で撮影を見ていた。

車の方へ猛スピードで駆け寄る仲間達。

その時、誰もが、血の気が引いて、生きた心地がしなかった。

ただただ燃え行く車を見た時、愕然とし、手足が震え、言葉も出なかった。


そこに、小さく、呟くような声がみんなに聞こえた。

「ぁ・・あそこ・・・」

長野が振るえながら指差す方へ、みんなは硬直している目をゆっくりと向けた。

そこには、ぼうぼうと燃える車から放り出された坂本の姿。

「「坂本君っ!!」」

みんなの叫びが重なる。


しかし、そこに一人だけ違う声が。

「剛・・・」「バサッ」

「健!!」

坂本を見つけ、「剛」と叫び、気を失い、そのまま倒れ込んだ三宅を、長野は抱きかかえた。


「ピーポーピーポー・・・・・」



「どうゆうことなんだろう?」

「・・・健君、坂本君見つけた時「剛」って言うた。間違いない。」

「それって、あそこに剛が。。。」

「居たってことになるね。」

「・・・もしかして、剛、健も坂本君も連れて行く気なんじゃ・・・」

「待ってや、剛君、そんな人やない。井ノ原君だって分かってるやろ。」

「それは、生きてた頃の話だよ。」

「ちょっと、2人とも落ち着けよ。俺達がしっかりしなきゃどうにもならないだろ。」

「・・・ごめん。」

「健がね、「剛」って叫んで倒れる時、どこか、笑っているように見えたんだ。」

「笑ってた?・・・それは、剛を見つけたから?」

「う〜ん・・・よく分かんないなぁ。健と坂本君が目を覚ましてくれない限り。。。」


坂本と三宅が運ばれた病院の、手術室前での、長野と井ノ原と岡田の会話。

三宅は気を失ったまま病室で眠っていた。

坂本がどのくらいの傷を負ったのか、手術は順調なのか、分からなかった。

坂本が死ぬというような言葉は、決して口にはしなかった。

口に出来るはずがない。

自己暗示をかけるように、自分の中で、みんなの中で、タブーになっていた。


手術中の赤いランプが消えた。

手術を始めてから、あまり時間は経っていなかった。

3人に、嫌な想像がふくらむ。 

―― 手の施し様がなかったのか・・・。


息を呑み、ドアを見つめた。

ドアが開き、中から医者が出てくる。

急いで駆け寄ったものの、3人は聞く事が出来なかった。

「坂本君は?」と・・・。

それを悟った医者は、笑顔を浮かべ、こう言った。

「無事、助かりました。外傷が少しあって何針か縫う程度で済みました。
しかし、あれだけ大きい事故でこんなに少ない怪我だけなんて、奇跡的です。」


「・・・あ、ありがとうございました。」

3人は大きく一礼した。


「不幸中の幸いってとこだね。」

「ホント、よかったよなぁ」

「ほんま、今回は心臓止まるかと思うた。。。」

「後は、2人が目を覚まして、剛を見つけるだけだな。」

本当に軽傷で済んだ坂本は、普通の病室に、三宅と並んで寝ていた。


「・・・ご、ごう・・・」

「さっ、坂本くん?」

呟きながら目が覚めた坂本に3人は勢いよく駆け寄った。

「坂本君、大丈夫?」

「・・・俺、事故ったんだよな・・・生きてるのか?」

「当たり前でしょ。生きてるに決まってるじゃん。」

「そうか・・・剛は?」

「剛を見たの?」

「よく分からない。・・・でも、見たような気がしたんだ・・・」

「剛は、坂本君を連れて行こうとしたんじゃ・・・」

「違うっ!!」

いつ目を覚ましたのだろう、三宅が口をはさんだ。

「違うんだよ。」

「何が違うんだよ?」

「坂本君が車から放り出されてるのを、みんなが見つけた時、剛もそこにいた。
怪我しないよう、坂本君を包んでた。剛、坂本君を守ってくれてたんだ。」

「・・・剛が?・・・」

「・・・あれは剛だったのか・・・剛が俺を守って・・・
俺は剛を殴ったのに、傷つけたのに、剛は俺を助けてくれた・・・」

男泣き。坂本はそう言うにふさわしい涙をこぼしていた。

「剛君が守ってくれてたから、だからこんなに軽傷で済んだんか・・・。」

「剛、そうゆう奴なんだよ。悪ぶったって、本当はやさしいんだ・・・」

この中に、もう森田を疑う者なんていなかった。


疲労で倒れただけの三宅は、ずっと寝かされたままの状態に嫌気がさしていた。

『このまま寝ているのは飽きたし、剛だって探せない。』

そっと部屋を抜け出し、屋上へと上っていった。

屋上のドアを開けると吹いてきた寒い風に三宅は身震いをした。

「うわっ、さみぃ・・・6月ってこんなにさむかっ・た・・け・・・剛っ!!」

屋上の隅にちっさく座っていたのは森田だった。

三宅に呼ばれた森田は慌ててその場を去ろうとした。

「待てっ・・・剛、なんで逃げるんだよ。」

「・・・俺は・・・お前の体奪おうとしてた。」

背は向けたまま、答えを返した。

「剛は悪くない。」

「なんで悪くないんだよ。俺、健の事・・・どうでもいいって思ってた」

「・・・・・・」

「思ってた・・・それって過去形だろ。今はそう思ってないんだろ?だったらいいよ。」

「よくない。」

「だって、剛、坂本君のこと助けたじゃん。もう、それで今までの全部チャラだよ。」

「そんなんじゃ許されねぇよ・・・」

「森田剛!!俺はお前が見れない。けどなぁ、お前にひとつ言いたいことがある。」

突然やってきた井ノ原は森田に話し掛け始めた。

「俺、お前に謝んなきゃなんねぇ。・・・俺、剛の事疑った。」

《「俺に何謝るって言うんだよ・・・」》

もちろん、井ノ原に森田の声は聞こえない。

「坂本君が事故に遭った時、お前がそう仕向けてるんじゃないかと思ってた。
岡田に剛はそんな奴じゃないって言われても、どっかでお前のこと疑ってた。」

《「・・俺、疑われても仕方ない事してたんだ。俺が悪いんだ。」》

「剛がいなくなってからバランスとれなくて、ずっと不安定だった。
それを、自分じゃなくて、誰かのせいにしたかった。俺は、剛のせいにした。」

《「・・・・・・」》

「でも、最悪だよな。大切なメンバーを、仲間を疑うなんてさ・・・。ごめん。」

《「謝らないで。」》

「悪かった。ごめん。」

井ノ原は森田がいると思われる方向に向かって、土下座をした。

「井ノ原君?!」

三宅は止めようとしたが、井ノ原のあまりに真剣な瞳にそうすることは出来なかった。

《「そんなに謝られたら俺はどうしたらいいんだよ?何もかも悪いのは俺なんだ。」》

「剛、違う。俺は、俺達は剛を怒ったり、恨んだりしてない。
剛を失って、どれだけ剛の存在が大切だったか、みんな心から感じてる。」

「もし、お前が今どうしたらいいのか分からないなら俺達といろよ。
俺達はお前が納得いくまで一緒に悩んでやる。それが本当の仲間ってもんだろ。」

「どんなに離れてても、近くにいても、仲間は仲間や。」

「俺達6人もいるんだからなんだって乗り越えられる。」

「俺、剛殴った事、謝らない。お前がしたことは悪かった。
・・・・けど、俺、後悔してる。」


何時の間にか、久しぶりに6人全員揃っていた。


《「みんなくせぇなぁ。・・・ちくしょう・・・なんでそんなみんないい奴なんだよ。」》

「当たり前だろ、俺達V6なんだから。」

他の4人には森田が何を言っているのか、どう動いているのか分からない。

でも、やっぱりどこかで繋がってる。

森田が再び、心を開いたことを、全員感じていた。


*****************第6話 終わり*******************

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