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中国対外経済戦略のリアリティー
2015年12月にアジアインフラ投資銀行(AIIB)が正式に発足した。これを受けて、2016年から中国の“一帯一路(新シルクロード)構想”および“走出去(中国企業の対外直接投資)戦略”が本格的に始動している。ここに中国の対外直接投資戦略は、新たな一歩を踏み出す。
中国は、(1)経済成長を維持するために必要な資源を確保し、(2)輸出を維持するために海外市場を確保し、(3)「中所得国の罠」に陥らないために、産業構造の転換が求められ、製造業部門ではハイエンドの高付加価値製品を生産できるように成長モデルの転換を図ることが差し迫った課題である。“一帯一路”構想を支援するAIIBの発足で“走出去”戦略がいよいよ活発に展開されることになりそうである。
本書では、(1)“一帯一路” 構想および“走出去”戦略を中心とする対外直接投資戦略の意図について整理し、(2)対外直接投資戦略の実施の現状、通商法整備、人民元の国際化の現状、(3)対外直接投資戦略を推進する上での国内外での要件、課題の所在、(4)国内産業への効果について、分析・検討し、この上で(5)中国にとって今後どのような戦略の調整が必要であり、(6)どのように対外直接投資の発展が見込まれるかの予測をし、(7)なお残される課題について分析・検討した。
第1部は、4章で構成される。
第1章は、中国政府の“走出去”戦略について叙述する。第2章は、主に“一帯一路”構想について叙述した。第3章は、人民元国際化の歴史的背景から、現時点における課題について叙述した。第4章は、中国における対外投資プロジェクト管理制度およびその発展について叙述した。
第2部は、対外投資戦略のリアリティーについて分析・検討した。
第3部では、対外投資戦略の展望をした。第1章では、共存共栄、Win-Win関係構築の可能性について検討した。第2章では、“走出去”戦略の価値序列について、再度確認した。第3章では、対外投資戦略成功のための要件について検討した。第4章では、“走出去”戦略の今後の展望、対日直接投資戦略と日本政府・日本企業の関係について叙述した。
次世代の中国の方向性及び対外経済戦略もある程度まで明らかになるものと考える。
2017年3月発行