ミズスマシの飼育


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生態に関する基礎知識 飼育法


生態に関する基礎知識

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節食中の個体 池や水溜まりなどの水面を素早く円を描いて動き回っている昆虫を見たことがありますか?
今でこそほとんど見かけなくなりましたが、昔は庭先でも見かけた、あたりまえの風景でした。
これはミズスマシというゲンゴロウに近い仲間で、分類上は鞘翅目−食肉亜目−水生食肉亜目−ミズスマシ科に属し、落下昆虫を食べる肉食昆虫です。 見た目はアメンボのような生態に見えるかも知れませんが、アメンボはカメムシの仲間で、ミズスマシは甲虫です。
アメンボは落下昆虫が発生させる波に反応して餌に近付きますが、ミズスマシは上下2組、計4つの目で(昆虫の目は単眼じゃないぞなんて言わないで下さい)餌を探します。オオミズスマシがほとんど落下昆虫を補食するのに対して、ミズスマシは水面に浮いている死んだ魚なども好んで食べます。
春の産卵期は食欲旺盛で、水生植物の茎などに数十個の単位でかためて産み付けられます。ミズスマシの卵は1oほどの小さなものですが、浮遊植物の葉の裏にかためて産み付けられているのはオオミズスマシの卵です。ライフサイクルや越冬方法はゲンゴロウと似ていますがゲンゴロウに比べて寿命は短く、1年で死ぬものが多いようです。
ミズスマシの卵は1週間程で孵化しますが、ゲンゴロウ同様、幼虫の共食い性向は強く、飼育はたいへんです。成虫は野外においてある程度の個体数が集まって活動していることが多く、ある意味では群れる性向があると言えると思います。
自然下に於いては、落下昆虫は想像以上に多いのが普通で、餌に困ってはいないようですが、飼育下ではすぐに飢えてしまいます。甲虫類は餌をたくさん食べるのが常ですから、飼育は餌の確保が要点になることでしょう。 


飼育法

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蛹室を作るために上陸した個体 あまり深くない、適度の面積のある飼育ケ−スにマツモなどの沈水植物を少し入れ、トチカガミなどの浮葉植物を産卵と甲羅干しのために用意してやります。越冬を考慮する場合は、素焼きの鉢に土を山盛りに盛り、その上に藁などを被せておきます。水は鉢の高さより数ミリ低くしておけば、個体はそれを登って上陸することができますし、鉢の中の土が流れだす事もありません。
集団摂餌 餌は蚊やユスリカなどを好んで食べますが、餌としては大変なので、ショウジョうバエを繁殖させてそれを補虫網などで集め、蝿叩きなどで軽く叩いて弱らせてから飼育ケ−スに落とし入れてやるといいでしょう。産み付けられた卵は、植物ごと取出し、別ケ−スで飼育するようにします。経験的に2p程の水の深さに、オオカナダモを入れておくと幼虫を上手に飼育することができます。3回の脱皮をして3pほどに成長すると、幼虫は蛹化のために上陸しますが、ゲンゴロウのように土にもぐって蛹室を作るのではなく、湿った土を材料にして、比較的乾燥した環境の所に長さ1p、幅7o程の蛹室を練りあげていきます。1週間強程すると成虫が出てきます。幼虫の餌はやはりアカムシが最適で、生きたアカムシを安定して確保する必要があります。夜間はよく飛びますから蓋を忘れてはいけません。
          



この稿おわり


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