( the Spiral )




1998年 日本



 
評価 3

★★★☆☆




 「らせん」は「リング」の続編です。
 ちょうど「リング」の結末の1日後から話が始まります。。

 水難事故で息子を失い、そのショックから抜け出せずにいた
 医者の安藤は、かつての同級生だった高山の死を聞かされ、
 そして、その解剖を担当するのが自分だということを知る。。
 安藤は、解剖した高山の胃の中から、数字の羅列が書かれた
 謎の紙切れを発見する。。高山の死体の第一発見者で、
 彼の恋人だった高野 舞から、呪いのビデオの話を聞くうちに、
 やがて彼自身も巻き込まれていき、呪いの謎について、
 科学的に解明していくことになるのだが、それはまるで、
 死んだ高山が導いているかのようだった。高山は、
 安藤に何をさせたがっているのか・・・?

 この映画は、表面的な派手さのある作品ではなく、
 貞子の呪いの謎についての解明がメインになっているため、
 「怖くない。物足りない。」と感じる方もいるかもしれないです。
 しかし、私はじゅうぶん怖い作品だと思いました。

 前作で唯一助かる術だと思われた、ダビングして他人に見せる
 という方法が実は違っていて、さらに、ビデオを見ていない人が
 呪いで死んだりもします。貞子の呪いの謎とは一体何なのか?
 それが解明されます。そのため、前作で定義され、
 認識できた貞子の呪いが再び認識できなくなり、
 「じゃあ、一体何なの?」という混乱の中で恐怖が生まれる、
 といった感じで、目が離せない展開でした。

 また、前作で、浅川玲子が息子を救うために決心した時と同様に、
 安藤も息子のために、ある決心をしてしまいます。。。
 そこにあるのは、子に対する親の愛か?それとも狂気か?
 紙一重の恐ろしさが今作でも表現されています。

 最愛の息子を失ったこと、近くにいながら救えなかったことで、
 後追い自殺を試みるが、そんな度胸もなく死ねなかったこと、
 それらによって、序盤からずっと苦悩していた安藤の、
 痛々しいまでの心の弱さは、終盤でもかなり強調されています。
 「らせん」は前作にも増して、人間の弱い一面を鋭く表現した映画
 だと私は思います。

 そして、高山竜司の存在。彼が死ぬ間際に見た真理は、
 世界にとって正しかったのか?貞子に操られた狂気だったのか?
 彼の冷徹な表情と豹変ぶりが、怖さを増します。。。
 最後のシーンで、安藤の問いに答えた高山のセリフ、
 「俺にはそんな残酷なことは出来ない。
  この世界に子供を引き戻すなんてできない。」
 というセリフが、かなり皮肉っていてゾクっとしました。
 それをそそのかしたのは、彼らだったというのに。
 安藤の心の弱さを見下したようなその冷たいセリフは、
 最後の最後で凍りつかされました。。

 「安息が訪れるのはずっと先なんだよ。」と、
 最後は「NIGHT HEAD」のような結末。どこか要所要所で、
 サブカルチャーの雰囲気を感じる映画でもありました。。