冬の悪魔

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 雑想ノート1/22/99より転載   この間わが家で起きた悲劇について語ろう。   目覚めたときから何かいやな予感を感じさせるような、寒い朝だった。   いつまでも俺を誘惑して放さない暖かい毛布を抜け出し、   寝ている間にすっかり冷えきった部屋で暖房のスイッチを入れた。   エアコンはかちりと寒い音を立てた。   まもなくゴオオオ……という低く、どこかすさんだ音とともに温風が吐き出されてきた。   その音と温風を受けながら、まだ寒さの残滓がわだかまる部屋で朝食をとった。   着替をしているとき、ふともよおしてトイレに行った。   そこに悪魔が大顎を開けて待ち構えているとも知らずに……。   「ーーーー!!」   太股の裏側に走った灼熱感がまだ霞のように頭をおおっていた眠気を吹き飛ばした。   悪魔が、その牙を突き立てたのだ。   しかし、痛手を負いながらも相手にも大ダメージを与えていた。   悪魔の顎から飛びすさった瞬間、「ばきっ」という会心の音をたててヤツの牙が折   れたのだ。   ーーーーー数日後、わが家に来た新たな便座は、コンセントにつなげば冬でも温か   いというスグレモノであった。   冬の朝の悲劇ーーー。
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