2006.9.23
誕生月



                                                                            島 健二


母は常々私に言いました。

「あなたは毎年のように、9月になると体調を崩すから、注意しなくては駄目よ。夏バテなんてバカにした

らいけません。ことにあなたは9月生まれでしょ、人間、誕生月に亡くなる方が多いと云いますからね」


若いときはこんな忠告などは耳に入りません。

夏休みをフルにエンジョイしますから、どうしても過労になります。

それも当時は野球に熱中していましたから、練習だ、試合だ、と連日無理を重ねました。

涼風がたつ頃になると、覿面にやられました。私の場合は胃腸系がやられるのです。

母は何も云 わずに消化の良いものなどを食べさせてくれ、調子が回復するまで、看病してくれました。

決して「ソラ見たことか…」などとは云わない人でした。


就職して社会人となり、結婚して家庭を持ってからは、自分で気をつけるようになって、9月に体調を崩

すことも滅多になくなりましたが、それでも9月は要注意の月という観念は頭に叩き込まれています。

暮れから正月にかけての病気から回復して、自分でも近年では一番好調と感じていますし、人様からも

「お元気ですね」と言っていただく今年にもこのジンクスは生きていました。


誕生日(9月15日)も近付く7日、9日、10日と夜の予定が続きました。

3夜共楽しく、10時、11時過ぎ、10時と老人にしては遅い帰宅が続きました。

2日目、11時過ぎに帰宅したとき、妙に足元がおぼつかないのです。確かにお酒は相当入っていますが、

足をとられるほどは飲んでいません。

「オカシイナ、ああ9月バテ」などと思いながら、口では「酔っ払った!お休みなさい」と増田さんと言葉

を交わして、兎に角転ばないように、つかまり歩きで慎重にベッド・イン。

翌朝起きても特に異常はないが、夕方からの「花ちゃんクラブ」出席に備えて休養。夕刻から可もなく不可

もない状態で、シルバーの「花ちゃんクラブ」へ。

いつものように談笑しながら飲み食いするが、あまりおいしくない。

お料理はピザ、スパゲッティ、卵料理等私が好きなものばかりなのに…。

お開きも早々に帰宅、タクシーから降りるとまた昨夜と同様な足のもつれ、昨夜ほども飲んでいないのに…。

またご挨拶もそぞろにベッドへ。翌朝は、平素6時に仕掛けてある目覚ましを無意識に止めて、目を覚まし

たのが8時半、軽く朝食を済ませて昼食は抜きを宣言して又ベッドへ、何と12時半まで眠りました。


やっと疲れは取れたと思いますが、母の教えを守り、9月バテにならないように、3日ほどは安静に、注意

深く過すつもりです。日頃は、「何時ポックリ逝ってもいい」などと言っていますが、もう少し頑張ってい

れば、いいことが何かチョッピリはあるかも知れないので…。


「自分の誕生月に死ぬことが多い」ということはご存知ですか? 

勿論何の根拠もなく、母も経験からそう感じていたに過ぎないと思いますが、私も我が家の過去張その他を

調べたことがあります。確かに誕生月に亡くなった方がかなりいらっしゃいます。

信じる、信じないは別にして、何か潮の満ち引きのようなものがあるのではないでしょうか? 

ちなみに、私の母は99才の天寿を全うして、その誕生月、誕生日に大往生しました。

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