2006.3.13
メール騒動の影響と民主党




                                                                                島 健二


今回のメール騒動事件は、民主党に対しては何とも云えないお粗末な、壊滅的ダメージを与える、恥辱的

な結末となりました。現在の前原体制は崩壊しかけた民主党を、本年九月の小泉退陣までかろうじて繋ぐ

役目へと成り下がってしまいました。

しかも党内での足の引っ張り合いは相変わらずで、野田国会対策委員長の引責辞任をきっかけに、後を引

き受ける者がなく、やっと渡部恒三氏が水戸のご老公のように登場したかと思えば、今度は反前原代表と

見られる面々が糾合して、43才の前原氏を引き摺り下ろして、代表の座の若返りの逆行を図っているよ

うに見えます。




無傷で残っている熟年クラスは小沢一郎氏くらいのものですが、小沢氏とて、何度もあったチャンスに慎

重な態度をとり過ぎて、今更という感じになっていますし、信奉者も多い代わりに、剛腕と称される強引

な政治手法が仲間から嫌われ、国民からも敬遠される傾向があるのが問題です。

さらに小沢氏は自身がトップに立つのではなく、誰かを担いで思うように操るというやり方が得意なよう

ですが、現在の民主党内に小沢氏が担ぐ適当な人物がいるでしょうか。

小泉首相退陣後に誰が後継者に選出されるかにもよりますが、自民党内のポスト小泉選びがもつれて、

民主党を巻き込んでの政界大再編でも起きれば小沢氏にもチャンスがあるのでしょうが、現在の自民党の

勢い、民主党の支持率の低さでは、それもチョッと期待できそうもありません。

もっとも、小泉退陣後は自民党も今のような圧倒的な支持を受けるとは思いませんが……。



昨年秋の総選挙の際、私は自民党、民主党の双方が入り乱れて、改革派、守旧派のガラガラポンが行なわ

れるのを期待しました。

ところが、結果は小泉氏の「郵政改革賛否」を問う選挙という奇策が奏功して大勝利となり、一部の守旧

派を追い出したかも知れませんが、まだ問題のある連中がかなり残っていますし、逆に有能な人材で追い

出されてしまった人達もいます。

大量に当選した「小泉チルドレン」と呼ばれる新人達は玉石混淆ですが、一方民主党は大敗してしまいま

したので、チルドレンを含む自民党と公明党を合わせた与党は、どんな議案でも数を頼んで通過させてし

まうことが出来る、危険な集団となっています。

有権者は、小泉首相を信頼したのでしょうが、小泉退陣後もこの状態が続いたら心配ではありませんか? 

民主党は野党第一党としては頼りない存在に見えます。確かに失敗も重ねました。

しかし国民が見捨てたままでは民主党は成長しません。



私は個人的には小沢氏にもう一働きしてほしいと思っていますが、小沢一郎氏の思惑はさておいても、

ねじれ現象や玉石混淆の悩みを抱える自民、民主両党をガラガラポンして、政権担当能力がある与党と

野党第一党が競い合う形を作るのが絶対に必要と思います。


有権者の皆さんが、これらを考慮に入れて、民主党を応援し、育てて行くようになってほしいと願っています。

                                                                                目次へ