2005.11.20
島 健二
日本シリーズで圧倒的な強さを示し、対阪神戦に4連勝してビックリさせたロッテは、またもやKONAMI
CUPアジアシリーズで韓国、台湾、中国、韓国の各代表チームを連破してアジア初代王者を勝ち取りました。
パ・リーグのプレイオフ最終戦から数えて、九連勝だそうです。
どうしてこんなに強いのでしょうか?
一戦必勝のトーナメント方式に強いのだと云ってしまえばそれまでですが、とにかくここぞと云う時の集中力、
選手層の厚さ、投手陣の安定を軸とした守備力の堅さ、攻撃面では簡単には諦めない粘り強さ、誰もが細かい
的確な戦法を成功させる確実さが目に付きます。
この素晴らしい全員野球がどうして出来るのでしょうか?
バレンタイン監督の采配は勿論のことですが、チームの全員が監督の思い通りに動けるということです。
何故か? 私の考えでは「スターがいない」から出来るということだと思います。
誰もが思い切ってプレイ出来、ホームランも打てればバントも出来るのです。
勿論、李承Y選手やベニー選手のようなホームラン打者もいますが、チャンスによっては確実な短打を狙う
応用性も発揮します。また最終戦の対韓国戦で、負傷した今江選手に代わって出場した渡辺正選手のように
エラーを咎めず、「思い切って打って来い」という監督の言葉に応えて見事に貴重な2ランホームランを打つ
ことも出来るのです。選手一人一人がこのような多様性を持つことで、チームの選手層が厚くなるのです。
これには打順を固定化しないバレンタイン監督の方針が役立っているように思います。
パ・リーグのプレイオフ以降を観察して気付くのは、打順で固定しているのは一番打者の西岡選手と四番打者
のサブロー選手くらいで、あとは日替わり打線です。
前期の李やベニーのような大型打者も七八番の下位を打ったり、三、五番のクリーンアップを務めたりします。
四番に固定されたサブローは一般的な観念の長打者ではなく、典型的なつなぎのうまい打者です。
阪神との日本シリーズの時に驚いたのは、前の試合で2番を打ち、ホームランをも含めて4打数4安打を
記録した今江選手を次の試合では7番に置いたことです。
通常は大当たりした打者を次の試合で打線の中軸に置くことはしても、下位に下げることはしないものです。
その試合の打順を記録しておくのは忘れましたが、恐らくその試合の打線のつながりを考えたのと、
中軸に置くことによって今江選手にかかるプレッシャーを警戒したのでしょう。
果たせるかな、その試合でも今江選手は気楽に安打を連ねて連続安打記録を作る大活躍をしました。
このバレンタイン監督の手法が最善無二とは云いませんが、他チームから4番打者ばかりを集めて来て、
ずらりと並べる知恵のない融通の利かない打線を組むよりは、スターのいない日替わり打線の方が色々な
作戦を組みやすいと思います。
投手陣は阪神タイガース以上に安定した先発投手と、阪神と同等な中継ぎ、押さえを持つ堅固さで、内外野
の守備も堅く、このディフェンス面の堅さを軸にして、攻撃面の作戦が立てやすいロッテの強さは本物で、
当分続くのではないでしょうか? 面白いチームが出来上がったものだと思います。
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