2005.11.5
野球留学



                                                                   島 健二


先日、NHKの「クローズアップ現代」を見ました。

この番組は比較的によく見るのですが、あまり興味を持てないテーマのときは、あまり注視しないで、

何となく他のことをしたりしていい加減に見過ごしてしまうことも多い番組です。

この日のテーマは「野球留学」で、私の興味を呼ぶテーマでしたので、珍しくジックリと見ました。

「野球留学」というのがあるということは知っていましたが、これほどとは思っていませんでした。

全高校の野球部に2700名以上も「野球留学生」がいて、甲子園出場校では60%以上もいるそうです。
 


中学の野球少年たちはみな、甲子園の高校野球に憧れ、甲子園出場を夢見ます。

レベルの高い地区(例えば大阪)では、予選を勝ち抜いて甲子園出場を果たすのは至難の業で、強豪校と

いえども毎回のように出場出来るわけではありません。そこで、野球留学の希望が多くなるのだそうです。

比較的にレベルが低い地方で、特定の高校に好選手が集まると、その高校は毎年のように勝ち抜いて、

または選抜されて甲子園出場となるわけです。


例えば、東北地方では東北高校や青森山田高校などが近年出場回数も多く、また成績も良いのが目立ちます。

両校とも甲子園に出場した選手のうち、地元出身の者は1〜2名で、大部分の選手が他の都道府県からの

留学選手だったと云います。これでは地元の人達は応援するのに戸惑いを生じるでしょう。

高校野球大会はもともと地方色が強く、応援する者は自分の出身地方を代表するチームとして応援するわけ

ですが……。


高野連もこの野球留学の行き過ぎを何とか是正する方法はないかと検討を始めたようですが、高校進学は

義務教育ではなく、生徒が進学校を選ぶのは自由であるし、高校としても他の都道府県からの入学希望者を

その理由では拒めないわけです。

また、斡旋するスカウトがいて、特待生扱いとして学費免除等の優遇が提示されていると云いますが、制度

及び募集方法に違法性がない限り問題とはならないわけです。


要するに、この野球留学の流れを阻止する対策はなさそうですが、中には自宅から高校へ通う通常の生活の

流れの中で、父母や家族と一緒に野球生活をエンジョイしようと働き掛ける高校もあり、例えば長崎の清峰

高校のように地元出身者のみで甲子園出場を果たした高校もあり、一概には是非を問えませんが、球児の

甲子園出場の夢は極めて高く、甲子園出場を一つの契機として、大学野球部へ、さらにはプロ野球へ、と

夢をふくらまして行くのでしょう。その意味合いでは、甲子園大会は出身地代表を応援する郷土色の高い大会

から脱却しつつあるのかも知れません。


野球の場合にも世界的な規模で大会が行なわれるようになり、少年たちの夢が甲子園止ま りでなく、世界的

規模へと広がって行くように野球界の組織や規模が大きく発展することを願って止みません。

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