2005.7.21
シルバーの長い夜


                                                                島 健二


シルバーヴィラの夜は長い夜です。

前にご紹介した「泣きと踊りのMさん」が掻きくどくような良く通る泣き声で廊下を

さまようか、時として誰か具合の悪い方が出たため救急車がサイレンを鳴らして来な

い限り、シルバーヴィラの夜はまことに静かです。

私のような宵っ張りは別として、一般の善良なお年寄りたちは早寝で、夕食後の7時

頃にはおやすみになるからでしょう。



夕食は5時ですが、物事は何でも早め早めに行われるので、4時半頃から始まった夕

食は5時には終わってしまうのです。

私のような宵っ張りは5時から後の就寝までの時間が極めて長く、また8時か9時頃に

は何か夜食のようなものが必要となるのです。

このこととは別に、このシルバーヴィラでは話し相手が極めて少なく、私のお相手とし

ては増田さんしかいないので、金曜日の夜に増田さんのお部屋で一杯やりながら懇談す

る楽しいひと時を持つことにしていました。

これは増田さんが健康への配慮からお酒をやめた現在でも増田さんはお茶、私はお酒で

続いています。時にはエッチな話題をも含めて何でもありの懇談会は、私にとって週に

一度の頭と口のエクササイズとなっています。



この楽しい金曜日と日曜日夜の祐子先生を囲む花ちゃんクラブを別とすれば、他の日は

独りで過すわけです。

私の場合はお酒が好きですから、毎晩8時以降は晩酌ということになります。

5時から8時までは大概パソコンの時間です。

メールを出したり、何か原稿を書いたり、インターネットで何か調べ物をしたりと、

結構することはあります。

8時からは規則正しくウィスキーでの晩酌です。

テレビを見ながらダブルより少し濃い目の水割りで3杯から4杯をゆっくりと楽しみます。

1杯を1時間近く掛けてゆっくりと楽しむと11時か12時近くになるので、

就寝は12時過ぎになるのが通常です。



テレビの内容は野球がある日は巨人の負け方の研究です。

ピッチャーやバッターの欠点を分析しながら「バカ」などと罵ったりします。

勿論勝つゲームを見たいのですが、期待を裏切られるので……。

野球がなければドラマを見ます。見たいものがない時にはニュース系にします。

これは「やっとこさっとこ」の原稿のテーマになるなという目で見ています。


こうしてシルバーの長い夜は更けて行き、寝ることになるのですが、一つ悩みの種は、

何かウィスキーのつまみが必要なのです。

私は乾き物や所謂お酒のつまみ的なものは好きでないので、どうしてもてんぷらや

フライものが中心となるため、シルバーの食事が折角栄養のバランスがとれているのに

(皮肉です)栄養過多となり、現在は体重が80キロ近くに増えてしまい、腰痛、膝痛

で散歩や運動が出来ないため、かなり体重過多の状態です。

特別に長生きしたいとも思いませんが、病気で苦しむのは嫌で、そのため多少減量が

必要でしょう。72〜3キロがベストです。                       

                                                               
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