2005.3.10
スター列伝(可愛いミッチャン)





ミッチャン、Yさんよりも更に3才ご年長で、やはり2年ほど前に100才の天寿を全う

して亡くなられましたが、いまだに「ミッチャン、ミッチャン」と噂に上るほどの人気者

で、またヘルパーさん達を含む周囲の人々から愛された方です。

私などから見ても、年長者として尊敬するよりも、「ミッチャン」として面倒を見てあげ

たくなる可愛い人でした。

かなりお分かりにならなくなったところもある「まだらボケ」でしたし、また「年寄りの

ジコチュー 」を絵に描いたようなところもあり、周囲の人々も手を焼くことがありましたが、

「仕様がないな」と許してしまえたのはある種の人徳だったのでしょう。

兎に角この「スター列伝」に取り上げる最高のスター性を持ち合わせた人だと思います。



客観的に見てもスター性があったのでしょう。

毎年秋に行われる「シルバー・フェスタ・オン・ステージ」に際して、各新聞社や週刊誌

などが取材に来ますが、シルバー側から宣伝するわけでもないのに、「ミッチャン」の写真

が大きく取り上げられ、週刊誌のグラビアの一面を飾ったりするのです。

失礼ながら特別の美人でもなし、「派手な衣装を付けたお年寄り」に過ぎないのですが、

奇妙に目立つのでしょう。生来スター性があったのでしょう。


何処が可愛いのかと云われると困るのですが、兎に角「ありのまま」に振舞う人で、裏表が

なく、悪い表現ですが「バカ丸出し」で憎めないのです。

それに「老人じみた分別臭さ」が全くなく、「アッケラカン」としたところが可愛いのです。

「意地悪さ」も全くない人です。

「私、ミッチャンと呼ばれるの大好きヨ、でも『ミッチャンみちみち……』と云う歌は止め

てネ」と云っておられました。正直な面白い方です。



ご本人もいつも言っておられました。

「あたし男の人が大好き! 女の人は意地悪だから大嫌い」と憚りもなく云われます。

それでいて女性にも嫌われないのですから、これも人徳でしょうか?


派手で目立つこと、賑やかに陽気に騒ぐことが大好きな人でした。

また一流のブランドが大好きで、「私、三越・帝国ホテル・帝大が大好き!」と言って憚

らず、元気に外出された頃には、あちこちで開催される旧制高校の寮歌祭を渡り歩き、

オールド旧制高校生たちと親しくなって、シルバーヴィラ向山のクリスマスの時に弊衣破

帽のオールド高校生達を連れて来て、「嗚呼玉杯に花受けて」の大合唱をしたりしました。

私も引っ張り込まれて一緒に歌わされました。

(私は静高なので、一高寮歌を歌いたくないのですが……)


私がカラオケ会を始めた時には、ミッチャンも喜んで参加され、意欲的に新しい歌にも挑

戦されました。「川の流れのように」とか「昴」をマスターして、「長生きしていて良かっ

たわ、カラオケで歌えるようになったもの」と喜んでおられました。

お上手に歌えるのに、マイクを渡すと「一緒に歌って!」と決して一人では歌われなかった

のは何故でしょうか? 

この「スター列伝」ではミッチャンはまたあちこちで登場するでしょう。 

                                                                         
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