2005.3.10
スター列伝
島 健二
私がこのシルバーヴィラに入居してから丸23年が経過しました。この間にご縁があって
接触した方々も沢山おられますが、またご縁がなく、お名前もお顔も存じ上げないままに
通り過ぎられた方々も大勢いらっしゃいます。
ある方がうまいことをおっしゃいました。
「此処にいる者はみんな多かれ少なかれ本ボケ、半ボケ、まだらボケだ」
全くその通りだと思います。
私はその時まだ60代後半でしたので「私はまだボケていませんよ」と言いたかったので
すが、最近はとみに物忘れが多くなり「まだらボケになって来たのかな?」と思うことが
あります。加齢による多少のボケは致し方がないことですが、勿論個人差が大いにあって、
かなり酷い方もあれば殆どボケを感じさせない方もあります。
脳梗塞やアルツハイマー病が原因で、まったくお分かりにならなくなった方々は他人の言う
ことが全く理解出来ないようですが、それでも会話は必要なようで、玄関前の銀杏の大木を
指差して「これは私がもって来て植えた木なのですよ。いつの間にか大きくなりました」と
おっしゃると相手の方はうなずきながら「私は子供がまだ小さなものですから、早く帰って
やらなければ……」といった調子で会話は盛り上がっているのです。
不思議な世界です。
所詮人間は孤独ではいられない、内容が通じなくてもおしゃべりが必要なのだと云うことが
よく分かります。祐子先生はいつもおっしゃいます。
「性格が良い方はボケても性格がおよろしいし、意地悪な方はボケても意地悪よ」と。
これもその通りだと頷けます。
こんな風にして強烈な個性やインパクトを示して通り過ぎた方々や、特に印象もなくいつの
間にかご他界になった人々もおられますが、やはり印象に残り、思い出となっている方々は
インパクトの強かった方々です。
こうした方々の思い出を順不同でご紹介したいと思います。
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