昔話筆の向くまま
ちょっと休憩ーーーランチパン
6月17日、府立六中の同期会がありました。私達は府立六中の第17回卒業ですので、毎年6月17日にこの会合を持つことになっています。覚えやすい日ですので、……。今年は参加予定者40名が1名見えず、39名の参加でした。数年前までは100名近い参加者がありましたのに、年々減って行くのは淋しいことです。それに今年も会の冒頭、物故者の知らせがあり、黙祷を捧げて献杯しました。自分達の年齢を考えればやむを得ないことですが、この会もいつまで続けられるのか? と悲しくなりました。幹事さんは「参加者がいくら減ってもこの会は続ける」と言っていましたが、……。
ところで、不思議なご縁と申しましょうか、幹事さんの百目鬼(どうめき)さんは増田さんの親しい友人なのです。増田さんの方が三年ほどお若いのですが、百目鬼さんは軍隊の関係で遅れて早稲田大学に入学されたので、増田さんと同学年になったわけです。従って、百目鬼さんは増田さんと私の共通の友人なのです。
さて、この六中の同期会は、百目鬼幹事のお骨折りで10年以上続けて開催されていますが、この5年ほどは場所は新宿の中村屋に固定されております。
六中と中村屋とのご縁は深く、私達の在学中には校内の売店で中村屋のパンが売られていました。私達は通常はお弁当を持っていっていましたが、時折は、親の都合または本人の希望で、昼食に中村屋のパンを食べるのが楽しみでした。値段はジャムパン6銭、ランチパン8銭、ブドウパン10銭でしたが、一番人気があったのがランチパンだったように記憶しています。
数年前、幹事の百目鬼さんがこのランチパンの話を中村屋さんにしたところ、シェフがわざわざ古いレシピを探し出して作って下さり、試食会を開いて研究し、幾らか改良を加えて新しいレシピが出来、平素は商品化されてはいませんが、私共の会合等で要望があれば作って下さることになったのです。
私達にとってとても懐かしい味の「ランチパン」は、コッペパンの内部に特製のコロッケを入れて焼き上げたもので、一見普通のコッペパンですが、中には隅々までおいしいコロッケが詰まっているのです。
会合が終わって帰宅する時に、おみやげとして「ランチパン」が手渡されました。「今日中にお召し上がり下さい」のコメント付きでしたが、フルコースの昼食を食べたこともあり、かなり大振りな「ランチパン」2個を一人で平らげるルームがないので、因縁浅からぬ増田さんに1個お福分けして食べていただきました。「ランチパン」の由来を増田さんに説明しましたが、増田さんも「とても美味しい。戦時中によくこんなものがありましたね」と褒めてくださいました。懐かしい「ランチパン」のお話です。