2015.10.15
TPPについて思うこと
日本が参加してからも随分長い間かかりました。
大変な難産でしたがやっと妥結しました。
しかし米国でも議会が批准してくれるかどうか心配ですが、日本でもそうすんなりと行くかどうか心配でなりません。
日本の経済はいうまでもなく貿易で成り立っています。
資源を輸入して付加価値を加え、製品を輸出して外貨を稼ぎそれでまた資源を輸入してきました。
そのサイクルで日本は今日まで生きてきたわけです。 話せば簡単ですがこの道は決して容易ではありませんでした。
日立製作所は起源を辿ると日立鉱山の機械修理の鉄工場だったそうです。
日立鉱山は現在どうなっているか知りませんが、日立製作所を知らない日本人は殆どいないでしょう。
トヨタ自動車は自動織機を発明した豊田佐吉翁の長男だった喜一郎氏が自動車をつくりたい一心で始めた会社でした。
終戦後倒産の瀬戸際にあったとき、たまたま朝鮮戦争が勃発し米軍からトラックを大量に受注したことで生き延びた
会社です。 米国に初めて輸出した乗用車は、これが自動車かと笑われたそうです。
何くそというのがこの会社のルーツにあります。
その後トヨタの偉い人が「晴れた日にはGM後ろ姿が見えるようになった」といわれたの覚えています。
今やトヨタ自動車は世界最大の自動車メーカーになりました。
日立もトヨタも容易に今日の姿になったわけではありません。 容易ならぬ苦労の結果今日の姿になったわけです。
農は国の元だという言葉があります。
私も否定しようとは思いません。 しかし失礼ですが農業者は日立やトヨタほどの苦労をしてきたでしょうか。
日本の国土をまもっているのは農業です。 農村が消えたら間違いなく国土は荒廃します。
しかしその立場に農業は安住していなかったでしょうか。
小作農が自作農になりたかったのは当然です。
しかし規模が小さいままで補助金漬けにして小規模な自作農を温存したのは、農政の大失敗だったのではありませんか。
規模を大きくしなければ海外農業国に対抗できるわけがないと思います。
旧式な火縄銃で近代戦争が戦えないのは当然です。 農業の近代化こそ日本農業の生きる道です。今からでも遅くない。
TPPをピンチからチャンスに変えて日本農業を再生しようではありませんか。
日立、トヨタにできたことが日本の農業者にできないわけがありません。
最大の責任は国会にあります。もちろん農林水産省と農協にもあると思います。
大学の農学部も責任を免れるわけには行きません。どうぞ奮起してください。ただし各地の千枚田などは別の問題です。
そういう文化遺産は文化財と同じように保護すべきです。
しかし一般の農林畜産業は産業として生きて行かなければなりません。その道筋を是非関係者に考えて頂きたい。
農地の売買は厳しく制限されているようです。しかしむしろ小規模な農地の個人所有は制限されて然るべきです。
誰でもが大規模な農業に参入できるようにしなければいけません。昔の大地主が再現する恐れなどありません。
どこに零細な小作農を引き受ける人がいるでしょうか。耕作放棄された農地は大変な面積になっているようです。
法改正ができなければ農林水産省は廃止して厚生労働省の農村対策部になって貰いたいと思うのです。
農林議員は選挙で落ちてもよい覚悟で頑張って貰いたいものです。 目次へ