2012.5.26
老人の一人住まい



最近独居老人の孤独死がよく話題に上っています。

誰も気づかない内に病死したり、極端な場合動けなくなって救援を頼む術もなく餓死したなどと

いう悲しい話さえ聞かれます。老人が独立した自宅で一人住まいをすることは、本当に危険です。

殊に地震・津波などの天災地変が発生した場合は、「津波てんでんこ」で避難から取り残される恐

れが高くなることは避けられません。火災で老人が焼死したという話を聞かない日はほとんどない

といっても過言ではないでしょう。また犯罪被害者になる確率も高いと思います。
 

私は現在83才です。男性の平均寿命を既に過ぎています。四肢の身体障害者3級、介護保険は要介

護2の認定を受けています。妻は認知症で介護付きの老人ホームに入居しています。息子が2人おり

ますが、東京本社に勤務していた次男は最近名古屋に転勤し、現在東京本社に勤務中の長男もいつ

転勤するかわからない状況で、私は否応なしに自立した生活を送らざるを得ません。今にして思え

ば70代でこういう施設に入居していたことは、我ながら先見の明があったと思います。


私の現在の住まいは東京都練馬区土支田4丁目の自立援助型マンション、ポルテドール光が丘の一

室です。私はこのマンションの開業以来6年間ここに住んでいます。

ここポルテドール光が丘では昼食と夕食は、パート従業員として勤務しておられるご近所の奥さ

ん方が交代で用意してくださいます。家庭料理を食べさせてもらえますので、健康的で味に変化

があり、飽きが来ません。朝食は自炊ですが、パン、トマトなどの生野菜、牛乳・ヨーグルトな

どでややこしい料理をせずにやっています。近所にセブンイレブンとローソンがあり、少し先に

はスーパーマーケットのライフがありますので、食材の買い物には便利です。また近所には野菜

を直売している農家が何軒もあります。新鮮な野菜が安く買えるのは、散歩の楽しみの一つです。
 


掃除洗濯は介護保険でヘルパーさんにお願いしています。近所に訪問介護のセンターが何軒もあり

ますので、親身になって世話をしてもらえます。
 

私はこの施設にも土地にもすっかり馴染んでおり、よその土地に行く気がしなくなりました。

昔は土支田は練馬のチベットと呼ばれていた不便な土地でした。私も現地を見るまではためらいが

ありましたが、今は来てよかったと思っています。

ポルテドール光が丘は土支田1丁目バス停の直ぐ前にあり、バス停に近いのが有り難いです。

東部東上線の成増と西武池袋線の間を路線バスが日中でも10分程度の間隔で走っており、交通は意

外に便利です。都営地下鉄大江戸線終点の光が丘にも本数は少ないが(一番少ない時間帯だと1時間

に2本)路線バスが運行しています。

大きな病院は近所に練馬光が丘病院、順天堂病院、埼玉病院などがあります。私は昔からお世話に

なっていた東京警察病院(中野)に引き続きお世話になっており、上記の病院にはお世話になってい

ません。しかし日常の健康管理は練馬駅近くでクリニックを経営しておられる小原先生に定期的に

診察して頂いています。お父様が亡くなられた後クリニックを引き継いでおられる、人柄のよい先

生です。私が大きな病気になったら延命措置なしで死なせて下さいとお願いして、承りましたとお

返事下さっています。


80才前後になると体力の低下速度が非常に速くなります。

70歳代には年々衰えを感じていましたが、最近は低下のスピードが速くなり日々に体力低下を感じ

るようになりました。体力低下防止のために、毎朝テレビ体操をしています。また数年前からリハ

ビリデイサービスの「葵」(練馬区東大泉、筋力強化)と「なごみ」(練馬区田柄、ヨガ)にそれぞれ

週1回ずつ通っています。どちらも半日のコースです。

そのほかに毎日極力歩くようにしています。練馬のこの近所は畑や昔の屋敷林が残っており、散歩

をするのには適しています。

リハビリと散歩のお陰で、かなり体力低下にブレーキがかかっているようです。
 

よいことばかり書きましたが、この土地の最大の欠点は夏の暑さです。

練馬は東京23区で最も暑い土地です。これだけは覚悟して置いて下さい。

記憶力はかなり落ちてきましたが、57才でサラリーマン生活に終止符を打って以来続けている英和

、和英の翻訳は頭脳の最高のトレーニングでした。今年中に何とかして仕事から引退したいと思い

、現在後継者育成中です。引退が実現したら長年関心があった江戸文学の勉強をしたいと思ってい

ます。たまり水にはボウフラが湧くと申します。認知症にならないように、最後まで好奇心を失う

ことなく、前向きな人生を送りたいと私は考えています。



「もっと高齢になって単独で生活できなくなってから老人ホームに入居する」と言われる方がおら

れますが、私は賛成できません。

どこでもよければ話は別ですが、果たして親切に老後を見てもらえるかどうか自分の目で入居する

ホームを確かめる必要があると思います。それと健全なうちに入居してスタッフや経営者との人間

関係を作る必要があると思うのです。あの人はこういう方だからと理解して介護してもらうのと、

訳のわからない我が儘な年寄りを仕方がないから介護するというのとどちらがよいかお考え下さい

。人間が人間を介護するのです。
 

大切なのは設備ではなく、それを運営する人々です。

老人ホームをご覧になるときは、その辺をじっくりご覧になることです。

入居者の話を聞き、経営者の考えを確かめ、自分に適した老人ホームをお選びになることをお奨め

したいと思います。
                                                                             目次へ