2011.4.3
総理大臣の持つべき資質
総理大臣の持つべき資質とは何でしょうか。
世の中に完全な人間などおりません。総理大臣だから完全無欠な人間でなければならないというのは、無理な要求
だと思います。しかしそれに近い要求をされ、マスコミに叩かれ悪口を言われるのが総理大臣という職業?の宿命で
あります。叩かれるのが嫌なら、総理大臣にならないことだと思います。
聖徳太子は博学多識、しかも七つのことを同時に聞いて全て正しい判断を下されたと物の本で読みました。
まさにスーパーマンです。日本の2000年の歴史に登場する政治家の中でこういう人は、ただ一人ではないでしょうか。
この方は超人的な政治家。
こういう資質を現代政治家の中に求めようというのは、無い物ねだり以外の何ものでもありません。
話を現実に戻して、これだけは持って欲しくない資質は何かと考えてみたいと思います。
私はかつてやたらに怒り散らす上司に仕えたことがあります。どうしてああいう風に部下を罵倒する言葉が次々に
出るのだろうと不思議に思いました。その時気がついたことは、この上司は自分の得意分野では相手の意見を絶対に
うんと言わないことでした。しかし自分の知らない分野については、余り怒り散らしたりしないのです。これに気が
ついてからは余り怒られずに済みました。
この幹部の方は大変評判の悪い方でした。 私の先輩でこの方を口を極めて罵る方がいました。もちろん蔭でです。
表では誰も批判する人がいませんでした。「裸の王様」の童話に出てくる王様のようなものです。今になると懐かし
い存在ですが、当時この方に呼び出されると皆身構えして出かけたものでした。
前置きが長くなりました。菅総理大臣のあだ名は昔から「いら菅」です。
今度の原発事故で東電の幹部を会議で罵倒したそうです。さぞかし胸がすっとしたことでしょう。
しかしこれは総理大臣として褒められたことでしょうか?
皆さんも理由がどうであれ、上司に怒鳴られて愉快だった方はおられないと思います。
怒鳴られたら、ぱっとよい智恵が出るでしょうか? 多分そういう方はおられないと思います。
私はいらいらする人は、同僚でも部下でも嫌いでした。いらいらすれば、自分もよい智恵は出ないし、周囲の人は
不愉快になります。総理大臣だろうと、学校の先生だろうと、交番のお巡りさんだろうと、社会人としての適格性
を欠いているといわれても仕方がありません。
総理大臣は日本で最高の地位です。最高の権限を持っています。この人がいらいらして、自分の感情をコントロール
する力が不十分だというのは致命傷です。
司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」によると、日露戦争の最高指揮官であった大山巌将軍は参謀長の児玉源太郎将軍に
全て任せておられたそうです。しかし作戦の会議に現われるのは、決まってわが軍が苦戦しているときだったそうです。「
遠くで大砲の音が聞こえるが、今日はどこかで戦争がありますか?」などと皆が呆れて笑い出すような「とんま」なこ
とをいうのが常だったそうです。
大山将軍は全ての状況を承知しながら、全員をリラックスさせることだけに意を用いておられたということです。
後世日本陸軍が理想の将軍であると敬慕したのは、当然のことでしょう。
菅さんは総理大臣が半年やそこらで交替するのは問題だと思っておられます。同感です。
しかし適格性のない人が地位にしがみついておられるのは困ります。もともとこの方の性格は総理大臣にむいていな
かったのです。私は鳩山さんよりは増しだろうと思いました。今では似たようなものだったかと、情けない思いをし
ています。
「代りに誰が出ても似たようなものだ」という方もあるでしょう。しかし、いらいらして感情をコントロールできない
人よりは、増しな可能性が大きいと思います。この非常の際に、救国の名宰相は現われないものでしょうか?
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