2009.3.16
総理大臣とは
増田 次郎
米国の大統領は一期が4年で、再選が許されていますから大体8年間同じ大統領で政権が続いています。
それに比べて日本は小泉内閣が5年続いたのが最近では一番長い方です。余りにも短すぎます。
何とかならないものかと思いますが、どの内閣も二進も三進も(にっちもさっちも)行かなくなって失礼だが
のたれ死にしています。
何故うまく行かないのでしょうか。
私は総理大臣に資格があるとすれば、それは専門知識ではなく高い教養、特に歴史ではないかと思います。
古今、東西の大政治家と言われる人たちがいろいろな危機に下した決断などの歴史を知ることが、総理大臣
の持つべき大局観の基礎になるのではないかと思うのです。
実は国民もそういう知識・教養を身につけるべきだと思っています。そのような知識・教養を持たないから、
箸の上げ下ろしなどを面白おかしく報じるマスコミにあおられ、一国の宰相が備えるべき資質など考えもし
ない。○○劇場などと罵りますが、国民が皆劇場が好きだったら、政治家が皆俳優を演ずるのは当然です。
劇場はお客が入らなければ成り立ちません。
詐欺の犯人が悪いのは当たり前です。しかし騙される人にも責任がないではありません。強盗殺人の被害者
とは違います。マルチ商法に引っかかったとか、儲け話に騙された人は欲が深すぎたために騙された人もい
るのではありませんか? 世の中にそんなうまい話はないことに気がつかなければいけません。
私は政権交替がなければいけないことには、全く同感です。
しかしこの前の参議院選挙で、岡山で「姫の虎退治」というスローガンを掲げて姫が自民党の大物を落選さ
せたことがありました。(ただし私はあの落選した人を好きだったわけではありません。柴又の寅さんは大
好きですが) その後姫のスキャンダルが暴露されて、民主党幹部が弁明に追われる場面があったような気
がします。あのような無責任なスローガンで政権交替をやって、日本の政治がよくなると考えるとしたら
「能天気」の誹りを受けても仕方がないのではありませんか。
私は職業政治家とのお付合いがありません。従って日頃どういう勉強をしておられるのか、全く知りません。
企業経営者の方が、一般的に勉強しておられるのではないでしょうか? 国民はもっと勉強して、政治家の
善し悪しを目利きしなければいけないと思います。そういう政治家を選ばなければ、永田町は霞ヶ関のお役
人の言いなりになるしかないのは当然です。
何代か前の総理大臣に小渕さんという方がおられました。彼は早稲田の文学部国文科出身でした。
世田谷稲門会にに、たまたま小渕さんの高校の同級生がおられました。そこで「彼は何故国文科に入ったの
です。政治家になるなら政経や法科に入った方がよかろうに?」と質問しました。
「ほかは全部入学試験に受からなかったんですよ」という答でした。
彼はブッチフォーンと称してどこにでも電話をかけ「自分は実行力はあるが、知恵がないから知恵を貸して
貰いたい」と公言していたそうです。考えてみれば一人の人間が何でもわかる、知っているということはあ
り得ません。必要なのは大局観だと思います。彼は総理在任中突然倒れ、病死しました。暢気そうな顔をし
ておられましたが、凄い心労があったのでしょう。
永田町に深い教養と大局観を持った人物が、何人かいないものでしょうか?
そうすれば日本国の政治は、もう少しうまく行くと思いますが。
皆さん、政治家ではなく政治屋さんばかり。いや政局屋さんばかり。
メディアも「○○派閥の誰と誰が会って、次の内閣がどうなるか相談した」だの、芸能記者と何の違いもな
いではありませんか。そんなことをしているから、新聞の読者が減るのは当たり前です。
「自分が定年になるまで新聞社をつぶさないようにしないと、妻子を養えませんよ」と悪口を言いたくなる
のは私だけでしょうか
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