2008.2.1
日本はどこに行くのか?



                                                                              増田 次郎

国会審議は相変わらず、空転しています。

私は小沢一郎氏を平安時代の国崩しの悪人(歌舞伎の世界の話ですが)、大伴の黒主になぞらえています。

あの人は不思議な人ですね。ほんの数ヶ月前に福田首相と会談して自民・民主の大連立の合意をした。

それを民主党に持ち帰ったら幹部全員が反対したので、ぶち切れて代表を退任すると言い切った。

退任の挨拶で「民主党は未熟で政権担当能力がない」とわめいた。あわてた党幹部が全員で引き留めた。

そうしたら思い直して退任を撤回した。その時に「私は岩手県人で、口下手だから」とか何とかよく意味の

わからないことを言った挙句、辞意を撤回なさった。現在は徹底的に自民党と対決姿勢をとり、一切妥協し

ないと頑張っている。そして「こうなったら民主党に政治を任せるしかないでしょう」と豪語しています。
 

これらの言動から私が感ずるのは、この方は年をとって脳が弾力性を失っているのではないかということで

す。随分不思議な方ですね。今は自民党が意気地がなくて、やられ放題になっていますが、選挙になったら

この辺のことをどう説明するのでしょう。いやそれ以上に恐ろしいのは、あの人が総理大臣になってこの国

をどうするつもりかです。
 

大阪府知事選を応援するために、憲法違反とまで言い切ったインド洋給油活動再開の法案採決に欠席した。

その後で鳩山幹事長が釈明したら、「結果がわかっているのだから、あんなとき議場にいるのは意味がない」

とか驚くべき暴言を吐いて、開き直りました。直ぐぶち切れるところは、明らかに老化特有の現象だと思い

ます。民主党員は、民主党支持者は、どう考えておられるのでしょう。あの人が総理大臣になってよいので

すか。今までもあちらに付いたり、こちらに付いたり随分変わり身の早い方でした。

政局を読むことは多分上手なのだと思います。しかしあの方の師匠である田中角栄さんは、列島改造論とい

う政策を打ち出されました。あの政策が正しかったかどうか、それを実現するためにとった手段が正しかっ

たかどうかにはいろいろ議論があると思います。しかし田中角栄氏は政策をひっさげて、それを推進しよう

とした人であったことには間違いありません。小沢さんには、何か政治理念があるのでしょうか。
 

国会空転の原因を作ってしまった安部前総理大臣は、意外にひ弱くてあっさりつぶれてしまいました。

しかし彼は「美しい国を作る」のだという理念らしいものを持っていました。そして憲法を改正して日本を

普通の国にするのだと公言していました。小沢さんはひ弱くはなさそうです。しかし政局を作るだけで、彼

の言動からは日本をどうするかの思想が見えてきません。
 

小沢氏は政局に合わせて舵を右に左に急激に切ります。

タクシードライバーか、漁船の船長ならそれでよいでしょう。しかし日本はかつての勢いはないにせよ、船

でいえば決して小舟ではありません。急激に舵を切れば、そばにいる小さな船は横から来る波を受けて転覆

します。乗っているお客は、ベッドから転げ落ちたりして生きている心地がしません。


「自民党から政権を奪い取る」だけでは困ります。民主党が政権をとったら、今までの行きがかりからいっ

て、先ずインド洋から補給艦を撤収しなければなりません。その時に国際社会がどういう反応を示すか。

そのときに外国に「わかった」といわせる自信があるのでしょうか。

米国の大統領選挙は多分民主党が勝つでしょう。歴史的に見て民主党は親中国、反日本的色彩を持った政党

です。日本に原爆を落とせと命令したのは民主党のトルーマン大統領でした。米国新政権を相手にして、ど

う付き合って行くのか。それから今の少子高齢化にどう対処して行くのか。これからの社会福祉をどうやっ

て行くのか。莫大な国の借金をどうするのか。課題はほかにも山ほどあります。


国会が本当に議論しなければならないのは、このような課題ではないでしょうか。

日本はどこへ行くのか。本当に心配になります。

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