2007.11.9
認知症談義
 


                                                                             増田 次郎


日本の少子高齢化はこれからますます進んで行きます。そういう時代を迎えているのに体が健康な高齢者が

認知症になって、介護、支援を受ける側にまわったら一大事です。認知症の人の介護は本当に大変です。

同じ年寄りの目で見ていて本当に情けないと思います。認知症が増えて行けば、福祉の予算が幾らあっても

足りるはずがありません。まさに認知症亡国を警戒しなければなりません


私は有料老人ホーム、シルバーヴィラ向山の創立者、岩城祐子先生とよくお話しをしています。先生は認知

症発症の原因で最も多いのが、精神的ショックだといわれます。

たとえばお父さんに娘さんが「年をとったから、騙されて財産を横領されたら大変。財産は私が預からして

貰うから」といったら、一夜にして認知症になったという例を先生から聞かされました。また会社の創立者

が後継者から実権を奪われたとたんに、すっかりわからなくなったという話も聞かされました。


現実があまりに厳しいと、そこから逃避するために認知症になるのだという話を別の人から聞いたことがあ

ります。何となく理解できます。このタイプの認知症だと、発症を避けることは困難だろうなと思います。
 
不心得な家族が奪いたくなるほどの財産を私は持ち合わせません。地位も何もありませんから、そこから追

われることもありません。ないものは石川五右衛門でもとれないと申します。とられる物を持たない者は幸

せかも知れません。

 
働くことは認知症予防に有効だと思います。身体を動かさないでいると、刺激がなく脳が活性化されにくい

ことは確かです。三食、昼寝付きの気楽なご身分は、羨ましいけれど危険だと思います。
 
ストレスも前記の精神的ショックの原因になる人間関係のストレスを除けば、あった方がよいようですね。

考えてみるとお金持ちはお気の毒です。お金が沢山あってもそれが精神的に有害なストレスの原因になるの

では、ない方がよほどましです。これは貧乏人のひがみかも知れませんが。


問題はアルツハイマー病です。これは防ぐ方法があるのか、ないのか私にはよくわかりません。

アルツハイマー病の人の脳は萎縮していて、成人で目方が普通1,400g程度あるものが1,000g以下に減ってい

る場合があるそうです。子供のころ頭が空っぽになるという話を聞きましたが、本当なのですね。
 

アルツハイマー病の原因として「βアミロイド」というタンパク質の蓄積が考えられるそうです。

この物質は年齢とともに脳の中にたまってくるもので、強い毒性があり、脳の神経細胞を壊すといいます。

どうすればこの物質を減らすことができるのか、残念ながらそれは現在私の手元にある本には書いてありま

せん。ただいつ、どこで読んだか覚えていませんが、アルツハイマー病の進行を止める薬が現在既に発見さ

れているという記事を読んだ覚えがあります。


頼りない話ですが、結論は認知症を防ぐには、常に自分の精神状態に注意しなければいけないということで

はないでしょうか。自分の状態を常にチェックしていれば、早い段階で専門医の診断、治療を受けることが

できます。諦めたらどんな病気でも決して治りません。認知症の原因になる病気も同じだと思います。
 

私はこれから脳の話や、認知症対策に関心を持ち、皆様にご紹介することをライフワークにしたいと思います。

それが私の認知症予防の決め手だと信じています。これを読んで下さった全ての方が認知症に関心を持ち、

先ず自分がそうならないことに努力して頂きたいと思います。それと周囲の方の理解もお願いしたいのです。

悪意がなくても不用意な一言が高齢者の心に深い傷を付けることがあることを。

                                                                                    目次へ