2006.7.19
人間としての最低基準
増田 次郎
私も来月にはついに78才になります。何と長く生きたことか。50才頃、21世紀に生きているとは
思ってもいませんでした。驚いたことに今年は既に2006年。
現在の状況からするとまだ後4年くらいは生きていそうです。
そうすると2010年の世界をこの目で見られることになります。
馬齢がますます加わり、いつか馬脚を現すのではないかと生きているのが恐ろしくなります。
78年間人間をやってきて、随分いろいろな人に会いました。
しかし地球上にいる人の数を考えると、私がお目にかかったのは人類のごく一部に過ぎません。
従ってこの僅かな経験で、人間とはかくかくしかじかなど生意気なことを言うと笑われそうです。
しかし近頃の世相を見ていて、皆様に私の考えを聞いて頂くことにも多少の意味があるかと思い、
この欄に書かせて頂く次第です。
最近の殺人事件の多さには、目の先が暗くなる思いです。
秋田県能代市の小学校1年生殺人事件には心が痛みました。犯人が仲のよかった友達の母親だったこと。
さらにその友達も母親に川に投げ込まれて殺されたらしいこと。本当に救いのない話です。
また奈良県の高校生による継母と腹違いの弟妹の放火殺人事件。
父親は自分の育て方が間違っていたと嘆いておられるようです。
自分の人生をリセットしたかったと犯人の高校生がいっているそうですが、どうしてそんなことをして
しまったのかと思います。つくづく残念です。
もちろんここに書いたのは最近の殺人事件のごくごく一部です。
犯人が特定できていない殺人も、記憶に残っているものだけでもかなりの数です。
交通事故で加害者が危険運転罪に問われたものまで含めると、とても数え切れません。
これらの事件の犯人の話を聞くと、この人たちには生きている資格があったのだろうかと思いたくなります。
もちろん「生きている資格」の試験をやっているところ、認定をする機関など、世界中どこにもありません。
しかし「生きている資格」のない人は確かに存在していると思います。
自分のことしか考えられない人、他人に感謝する気持ちのない人、他人を不幸にすることに喜びを感じる人。
こういった人たちは人間でないと思いますし、少なくとも生きている資格のない人だと思います。
最近私はある高齢のご婦人と会いました。この方は裕福な家に生まれ、お母様から大変かわいがられて成長
なさった方だそうです。ところが莫大な財産を全部だまされて失ったそうです。
私はこの方に「うまく行かなかったことの責任を全部他人にかぶせるのはおやめなさい」と申し上げました。
しかしこの方には通じなかったようです。
私は自分の身体が不自由で、いろいろな方にお世話になっているから、できるだけ恩返しをしたいと思って
いますが、この方にはそういう思考回路がないようです。
そのため誰からも好かれませから、自分が損をしているわけで考えてみれば気の毒な人です。
北朝鮮のキム・ジョンイルさんも無資格者だと思います。
自分の国民が喰うや喰わずでいるのに、個人生活は贅沢三昧。
核兵器の開発、ミサイルの開発にうつつを抜かす。北朝鮮の国民は気の毒ですね。
翻って私は「生きている資格」はもらえているのでしょうか。読者の皆様は私に資格を下さいますか。
よもやイェローカードやレッドカードをもらうことはないと思いますが。
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