2006.7.3
やきもちはよくない
増田 次郎
やきもちは女の人の特色だと思っていたことがありましたが、
男のやきもちはもっと醜いような気がします。
私は諸悪の根源にやきもちを加えたいと思っています。
前にご紹介したことがありますが「隣のうちに倉が建ちゃ、わしゃ腹が立つ」とか
「向こう岸の火事と隣の喧嘩は大きいほど面白い」など、他人の不幸を喜ぶのは見苦しいことです。
見苦しいといいながら私にも内心では他人様の不幸を喜ぶ気持ちがどこかにあり、
恥ずかしいことだと思っています。
国と国の間のトラブルにも、やきもちが原因になっていることが多いようです。
昭和20年の敗戦直後は日本が再起不能な状態にあり、中韓両国は優越感を持っていたと思います。
まさかあの状態から今日のような経済大国になるとは、
私自身も含めて誰にとってもまさしく想定外のことでした。
日本が復興するまでは何も言わなかった日本人の「靖国神社参拝」に、
クレームをつけ始めた中韓両国の腹に「やきもち」があったのは確かでしょう。
敗戦国の日本が何故あんなに金持ちになり、戦勝国の側に立っていた自国が(韓国は連合国の一員では
ありませんが)なぜ日本の後塵を拝するのかと思ったとしても不思議ではありません。
それから後は何か自国の政治に問題があると、反日を声高らかに言い立て国民の目をそらしてきました。
サッカーでも野球でも中韓両国のサポーターは、日本チームに対して猛烈なブーイングを浴びせているよ
うです。それが国際的に自国の評価を高める要因になるかどうかを考えないのでしょうか。
やきもちには人間の理性を麻痺させる傾向があるようです。
嫉妬が原因で起こる殺人事件が少なくないではありませんか。
さて国内でもやきもちが原因で起こるトラブルが少なくないようです。
今新聞紙面を連日賑わしている「村上ファンド」事件にもそれが濃厚に伺えます。
村上という人は私も嫌いです。
会社は株主のもの。株さえ持てば会社は自分のもの。何をしても許されるというのは、おかしいです。
会社には従業員がいる。得意先や、仕入れ先など沢山の関係者がいます。
この多数の利害関係者の意思などとは関係なく、会社がどうなろうと自分さえ儲かればよいというのは許
されないことだと思います。しかしルール通りに行動して、「ずる」などせずに金を儲けたことを非難の
対象にするのはおかしいといわざるを得ません。
日銀総裁が村上ファンドに資金を預け、年利回り16%だかお金を儲けたと聞きます。
総裁になる時、ファンドの口座を解約し、ほかの民間企業の株式も売却するか、どこかに預けるかした方
がよかったと思うのは私も同じです。しかし庶民はゼロ金利なのに、お金持ちは16%利回りのところに
お金を預けられるのは怪しからんというのはおかしいと思います。
総裁は若い村上氏の起業を応援したいと思ったそうです。
1,000万円を村上氏に託する時、経済の専門家である総裁は、この資金が果たして戻ってくるかどうか疑
わなかったとは思えません。よくわからない相手にお金を出してやった。一方出してもらった村上氏は、
このお金を返せなかったらどの面下げて出資者の前に顔を出せるだろうか。たとえ死んでも、そこそこの
利子を付けて返したいと思ったのは当然だと思います。
その気持ちが高じて1打か2打かスコアをごまかした。これは当然失格です。
村上氏の失格は当然ですが、だから日銀総裁は責任をとって辞任しろというのはどうでしょうか。
日銀総裁が辞任して日本経済に何の影響もなければよいけれど、おかしな天下り官僚が総裁になって日本
経済がおかしくなったら誰が責任をとるのでしょうか。
「川の真ん中で馬を乗り換えてはいけない」と申します。
日銀総裁は村上ファンドから返ってきたお金を元本とも然るべき慈善団体に寄付すると言っておられます。
また総裁の給与を自主的に返上することも言っておられます。日銀の規則には違反しておられないようです。
「儲けたのは怪しからん、庶民の感情を逆撫でした」と皆が異口同音に叫ぶ。これはリンチです。
儲け損なった奴らのやきもちじゃないのかと思う私の方がおかしいのでしょうか。
向こう岸の火事が飛び火してわが家が燃えないとは限りません。
日銀の規則を変えるのはよいことですが、総裁を辞任に追い込むことが国益につながるとは私には思えません。
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