2006.5.24
インフレの恐ろしさ



                                                                               増田 次郎


私の生活は現在非常に安定していて、不満、不安はほとんどありません。

若い時と比較すると体力が落ち、体調が不安定になっていることは確かですが、これは年齢のせいである

程度やむを得ないことです。体力、体調を除けば、いろいろな意味で現在の生活は充実していて大変幸福

で、あらゆることに満足し、感謝しながら人生を楽しんでいます。

この幸福な老後の生活の中で、私が今一番恐れているのはインフレです。

今から60年前、戦争が終わった時日本が味わった大変なインフレのことは今でも忘れることができません。


昭和初年の為替レートは1jが1円だったと聞きました。

それが大東亜戦争開戦直前には日本円の信用がなくなって1jが4円近くまで円安になっていました。

戦争が終わった直後、為替レートは連合軍によって1jが360円に決められました。惨めなことでした。

現在の為替レートは1jが約110円になっていることは皆様ご承知の通りです。

これは日本円の信用度が高いことを示していると思います。


戦前はサラリーマンで月給100円を貰っている人は、かなりの高給取りだったといいます。

これは多分現在の30万円ぐらいの感じではなかったのでしょうか。

ということは、お金の価値が戦前の 3,000分の1 程度に下がったことになります。

たとえば現在1億円の資産を持っている人に終戦後と同じインフレが襲いかかったとすると、1億円の財産

が3万3000円に目減りすることになります。終戦直後のインフレに直撃されたお年寄りの打撃がいか

に大きかったかは、このことでよくご理解頂けると思います。


このインフレの原因は、もちろん敗戦にありました。

戦前の10円紙幣には、このお札を日銀に持って行くと10円金貨と交換すると印刷されていたのを覚え

ています。それが金貨との交換をやめるようになり、金貨の裏付けなどなしにお札をどんどん印刷して軍

需物資を調達しました。もちろん軍需工場で働く人にも高い月給を払いました。

それが敗戦で戦争で使ったお金が全部パーになったのですから、お札の値打ちが下がったのは当然です。

お札はそれで買うことのできる品物、サービスがあって初めて値打ちがあります。

食糧・衣類など生活必需品が足りないのですから、お札があっても物が買えないのです。

物が溢れている今の時代に生きている皆さんには、物が不足するということは想像できないでしょうが、

当時町には品物が何もありませんでした。


もちろん全国土が焦土と化した当時の日本と現在の日本とでは、状況が全く違います。

お札があっても物が買えないということはあり得ません。

ただ国が集める税金より多くのお金を政府が使っていれば、いずれはお札の信用が落ち、物価が上がるでし

ょう。こんな理屈を私のような経済音痴がつべこべ言っても 、仕方がありません。

ただ私はインフレになった時、いかに一般国民、特に年金生活者が困るかは子供時代の経験で身に沁みて

わかっています。お米は高嶺の花(とても庶民の口には入らない)、サツマイモを農家に買いに行っても

売ってもらえず、田舎道をとぼとぼ歩いた記憶は今も忘れられません。

インフレだけは何としても防がなければなりません。
 


代議士、役人の皆さんは全て税金で生活している人々です。生活保護を受けている人もそうです。

何とかして税金の範囲内で国家予算を抑えて行かなければ、いずれ日本円の信用が落ちて輸入品の値段が

上がり、それが引き金になって物価が上がってくるでしょう。恐ろしいことです。

役人の数を減らそうというのに断固として抵抗しておられる役所の方が多いそうです。

われわれ庶民は先ずそういう方からリストラの対象になって頂きたいものだと思います。

もちろんわれわれ年金受給者も痛みを分かち合うことが必要でしょう。

仕方がありません。覚悟はしています。国会も議員定数を減らし、自ら範を示して下さい。

日本 を将来とも繁栄させるために頑張ろうではありませんか。

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