2006.5.6
首相の靖国神社参拝




                                                                 増田 次郎


中韓両国の最高首脳は、日本の首相がA級戦犯を合祀している靖国神社参拝を続ける限り、首脳会談には

絶対応じないと公言しています。しかし日本の側にしても外国からいわれたから、参拝をやめると言い出

すことは絶対できません。戦争責任の話を出せば日本は必ず譲るという過去の「事なかれ主義」の失敗を

繰り返してはなりません。
 

日本にとってはこの状態は困ったことですが、中韓両国でも心ある人は困っているでしょう。

チキンゲームで日本が下りると思ったのに、下りないのは先方にとっても誤算だったろうと思います。

中韓両国もここまで突っ張ってきては、今更簡単に下りることは不可能でしょう。
 

民主党の小沢代表は、自分が政権を取ったら靖国神社の祭神名簿からA級戦犯の名前を削らせると公言し

ておられるようです。靖国神社が普通の宗教施設だとは私も思ってはいません。しかし首相といえども宗

教施設の祭神名簿から特定の人の名前を削れと靖国神社に命令する資格があるのでしょうか。

法律上、また教義上そういうことが可能かどうかも私にはわかりません。しかし少なくとも政治家がその

ようなことを靖国神社に要求することは、全ての祭神に対し失礼極まる態度ではないかと思います。
 

現在の中韓両国との国交関係は確かに異常であり、このままでよいわけはありません。

相手側は振り上げた拳の下ろしようがなくなって、困っているようです。

中国も胡錦涛主席が先に橋本龍太郎元首相などを招待して、事態を打開しようとしました。

面目を保ちながら、国交の正常化を図りたいと考えていることは確かです。

韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は韓国国内世論をつなぎ止めるために反日に凝り固まっている人で

すから、反日感情の強い韓国国民を含めどういう反応を示すかはわかりません。しかし中国に態度を変え

させることができれば、中国を宗主国と考えておられるらしい韓国も追随するでしょう。

どうすれば中国の面目を立てながら、今の事態を変えられるか私見を申し上げたいと思います。


いわゆるA級戦犯の人たちは、戦勝国が無条件降伏した日本に対し事後立法で開いた裁判で死刑にされま

した。確かにこの方たちは敗戦の犠牲者であることは間違いないと思います。

しかしこの方たちには勝ち目のない戦争を始め、多数の日本国民を犠牲にし、国土を失い、明治維新以来

の「大日本帝国」を滅亡させた責任は間違いなくあります。

重大な過失、判断ミスに対する責任は免れられません。お気の毒だとは思いますが、靖国神社に祀られる

資格があったかについては疑問があったと思います。この方たちに国を思う心があったのは間違いなく、

今の日本の窮状を打開するためになら喜んで祭神の名誉を返上されると思います。
 


東條元首相を始め皆様ご遺族がおありだと思います。

ご遺族からのお申し出があれば合祀の取り消しは可能ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

もちろんこの方々の名誉を守りたいとは私も思いますが、小沢さんのような命令ではなくご遺族が自発的

に辞退されるなら、故人は死後も国のお役に立つということでむしろお喜びになると思います。

ご遺族からのお申し出に対し靖国神社が合祀取り消し、他の施設への分祀を認められれば、中韓両国も振

り上げた拳を下ろすことができるのではありませんか。


死ねば一切の罪は消えると日本人は思います。その点は中韓両国の人々とは大分考え方が違うようです。

韓国では日本に協力した人々の遺産を没収することまで考えておられるやに聞きました。

現在の両国首脳が将来遺体に鞭打たれることがないように、陰ながらお祈りいたしております。

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