2006.3.19
恐るべきは中国の軍国主義





                                                                                                                       増田 次郎


昔砲艦外交という言葉がありました。フランスの大統領が二月にタイ国を訪問しました。

フランスとタイの国交には
300年の歴史があるそうです。

シラク大統領はもちろんその間のよいところだけを取り上げて両国の親善関係を讃えたそうです。

しかし現実にはフランスの軍艦がシャム湾からチャオプラヤー川をバンコクまでさかのぼり、大砲の圧力

下で領土を奪い取るといった歴史もあったそうです。

タイは英国(インド・ミャンマーを領有)とフランス(ベトナム・カンボジア・ラオスを領有)の間に挟

まれ、王様は少しずつ領土を奪われながら辛うじて独立を維持されたという話です。



かつてご紹介したことがありますが、インド訪問時にお目にかかったインド人の紳士は「インドは北に

中国、西にパキスタン、さらにその向こうにアフガニスタンと、多数の非友好国と境を接しており常に

不安を感じている。原爆を開発したのは自国の安全を守るためで、他国を攻撃する意思は全くない。

日本人には特に理解をお願いしたい」と言っておられました。



中国は4,000年の歴史を通じて、ほとんど常に周辺諸国に脅威を与えてきました。

近世でも清朝末期に国家が衰退するまで「眠れる獅子」といわれ、欧米列強からも恐れられていました。

清末のアヘン戦争で敗れ香港を奪われた後、欧米列強の侮りを受け上海に租界(中国の開港都市に各国が

設けた行政権・警察権を持つ地域)がつくられ、フランス租界にあった公園に「犬と中国人入るべからず」

という掲示板が出るなど屈辱的な扱いを受けた歴史があります。

しかし中国は中華民国時代も現在の中華人民共和国になっても、欧米各国の侵略はあまり問題にしていない

ようで(もちろん対日との比較です)日本との問題だけが常にクローズアップされてきました。

これは私が子供の時読んだ日清戦争前の反日・侮日運動、第二次大戦前の日本製品排斥運動などでも一貫し

ています。


 
一方米国の民主党政権は、日中対立に際し一貫して中国側に立ってきました。

前のクリントン政権が日本バッシング(日本叩き)、さらには日本パッシング(日本無視)を唱え、中国

支持を繰り返していたのが思い出されます。

もちろん米国に共和党政権ができるか民主党政権ができるかは、米国国民が決めることであってわれわれが

口を挟むことではありません。しかし歴史を学ばずにいたなら、日本が繁栄を続けられるとは思えません。

米国の共和党と民主党の性格の違いを見極めることも考えなければと思います。



現在の中国を見ていると恐ろしくなります。黄河の水量が不足して北京の水道は量的にも衛生的にも危険な

状況にあるといいます。

中国政府(日本の
NPOも加わって)が砂漠化防止のため植樹したという話がありましたが、砂漠は拡大してい

ると聞きます。毎年春先には西からの季節風に乗って大量の黄砂が日本各地に降っています。

国土の荒廃が心配ではないのでしょうか。中国国民
13億人のうち8億人が農民だと聞きます。

この農民の土地(法律的には土地は国のものなのだそうです)を地方出先機関の官吏が取り上げる。

テレビで見ていると北京に陳情に来ている農民を警察が逮捕する場面が映されている。テレビの画面に出て

いることが全て事実だと思うほど素朴ではありませんが、日本とは随分違うようです。

そうした民衆の不満が政府に向かおうとするのをそらすには、反日感情をあおるのが一番好都合なのでしょう。

仮に日本人が貧乏で喰うや喰わずでいたとしたら、中国政府は別の標的を探して民衆の不満をそらしていたで

しょう。



「政府の経済政策がうまく行かないのは共産党独裁が悪い」といわれるのが、今の中国共産党の泣き所です。

これは何としても避けなければならない。そのためになら、何でもすると思わなければなりません。

日本では政府の悪口をいっても大丈夫だが、中国では生命の危険にさらされるようです。

成田空港の滑走路はいつまでたっても増えないが、中国ならあり得ないことだと思います。



日本人は中国の反日に切れて、日清戦争とシナ事変の2回中国と戦いました。

この失敗を二度と繰り返してはなりません。主張すべきことはしっかり主張して、わが国の領土、資源など

を外交手段で守るべきです。ただし砲艦外交に対抗しうるだけの防衛力は持たなければなりません。

それはもちろん日本単独では不可能です。

米国、インドなど友好国と共同で、そして憲法も砲艦外交の国に対抗できるようにあらためて、日本国民が

この美しい国土にいつまでも平和に住み続けられるようにしたいものです。


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