「近頃苦々しくないことなどあったか?」といわれると、返答に詰まるのは悲しいことです。
しかし私の苦々しく思うことが必ずしも皆様のお考えと一致するとは思えませんので、またまた下らぬ
老人の繰り言をお読み頂こうと書かせて頂きました。
苦々しい話の筆頭はライブドア事件です。
ホリエモンこと堀江社長は、今では肩書きが前社長から容疑者に変わり、住まいも六本木ヒルズの豪華な
自宅から東京拘置所の狭い独房に移り、昨日に変わる憂き暮らしをしておられるようです。
ライブドアがプロ野球参入を企てた時、結局堀江氏は参入できず三木谷社長の楽天の参入が認められました。
私も何故先に手を挙げたライブドアが落選し、後から手を挙げた楽天なのだろうと思いました。
じゃんけんの後出しみたいなものだと堀江氏を気の毒に思いました。
しかし今思うとプロ野球はライブドアを取らずに、楽天をとってよかったなと思います。
堀江氏は「お金さえ儲かれば何でもやる。人の心でも何でも金で買える」と放言していました。
私は彼の発言は露悪趣味ではないかと思いましたが、本当にそう思っていたようです。
才能のある人だったのでしょうけれど、惜しいことでした。
私はビジネスにも敗者復活戦があるべきだと思っています。
しかしドーピングで失格したアスリートは、何回目かで終身追放になるというルールがあるようです。
堀江氏の場合はこの終身追放ルールが適用されそうです。
ほかにもマンションのヒューザー、ビジネスホテルの東横インなど、嫌な話が目白押しです。
どうしてこんな人が大勢出てくるのでしょう。
私も株を持っています。
しかし私は銀行預金の金利があまりに低いので、利回りのよい株、株主優待制度のある株を選んで長期
保有しています。
ライブドアの株で大損した人がいると聞きます。
私は何をしているのかよくわからない会社の株を持とうとは思いません。
小さな会社でも、すぐれた技術を持つ会社の株を買いたいと思います。
経営者が儲かりさえすれば何でもやるというような会社の株に投資しようとは思いません。
「儲けるが勝ち」という言葉を正しくないとはいえません。
しかし儲けるのは難しく、損するのはやさしい。
今から10年以上前になりますが、バブルがはじけたとき大勢の人が損をしました。
私の知人で1億や2億は直ぐ儲かると豪語していたお爺さんがいました。
バブルがはじけたときそのお爺さんに意地悪く「あなたは上手に売り逃げて、損しなかったでしょう」と
聞きました。お爺さんは情けない声で「財産が1/3になった」といいました。
株屋の諺に「魚の頭としっぽは猫にやれ」といいます。
また「底に買いなし、天井に売りなし」ともいいます。
私は野村證券の窓際族的おじさんからよい話を聞いたことがあります。
このおじさんの話は大変含蓄がありました。
「増田さん。あなたが売った株を買った人が損したらかわいそうでしょう。もうけを独り占めしようと
いうのはよい心がけではないでしょう」 魚をしっぽまで全部食べてしまったら、猫の食べるところが
なくなります。なるほどと思いました。
お金を儲ける過程も問題です。
私は細々と翻訳をし、お金を頂いています。零細翻訳屋とお笑いになるかも知れませんが、
クライアントが頼りにして下さる間は頑張り「しこしこ」と稼がせて頂きます。
私はこの年になってもお金は汗水垂らして稼ぐものだと固く信じています。
どかんと稼ぐ人は、間違ったらどかんと損をします。
いまはまだ株式相場の絶頂には来ていないようです。
勝って兜の緒を締めよ。ご用心、ご用心。
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