2005.12.22
危険な国はどこの国?




                                                                                                                                   増田 次郎

 

先日民主党代表の前原誠司氏が米国を訪問した際、中国人民解放軍の行動がわが国にとって脅威であると

明言されました。またその後訪問した中国でもその論旨を変えなかったと聞いています。

私は前原氏の発言を支持します。



先に中国は原子力潜水艦が潜航したまま、わが国の領海を「誤って」通過するという領海侵犯を犯しました。

わが国に強い原子力アレルギーがあり、米軍の原子力空母の日本寄港にすら大きな反発があることは、中国

政府もよく知っているはずです。にもかかわらず原子力潜水艦が潜航したままでわが国の領海を通過した。

万一岩礁に触れて沈没でもしたら、大変なことになるのは中国国防当局も十分承知しているはずです。

海洋の核汚染、水産資源に対する被害、さらには周辺の日本領土と住民に対する影響は恐るべきものがある

でしょう。米国原子力空母の日本配備とその危険性は比較にもなりません。



「誤って」と中国は釈明していますが、

有人衛星の打ち上げができる高度な技術を持つ中国がそんなことを「誤る」ことは考えられません。

日米の潜水艦探知能力を探るのが目的だったことは、間違いないのではありませんか。

しかもその後この「間違い」を犯した責任者が処罰されたという話は聞いておりません。

中国軍内部でもし処罰されるとすれば、日米の探知網をごまかせなかったという一点だけでしょう。

もし私が中国軍幹部であったとしたら、命令を守り生命を賭して未知の海域を航行して無事に帰還したこと

を表彰するでしょう。



中国の軍備はかなりな水準に達しているようです。

ウクライナの中古航空母艦を購入しているとか、ロシア製のミサイルなど多数の武器を保有していると聞き

ます。しかし一番恐ろしいのは、軍が果たして政府のコントロール下にあるのか疑わしいことです。



かつて日本が中国に侵攻したとき、政府が不拡大方針を唱えているのに、現地部隊の指揮官がその方針に

従わず、次々に戦闘を拡大し既成事実を積み上げて行ったことが思い出されます。

私はまだ小学生でしたが、

私の父は日本が戦争の泥沼にはまるのではないかと恐れていたことを記憶しています。

今の中国の状況が当時の日本にあまりにも似ているような気がします。

昭和
1612月日米開戦。

その時「進め一億火の玉だ」というスローガンが掲げられました。

日本人はまさしく「火の玉」になってアメリカという飛んでもない強敵と戦争をし、完敗しました。

日米双方だけなく世界中で夥しい人命が失われました。愚かな戦争でした。



しかし愚かでない戦争が今までにあったことがありますか。

戦争ほど愚かなものはありません。

対日戦の勝者アメリカでさえ、朝鮮戦争で引き分け、ベトナムでは実質的に負け、イラクでも戦闘には勝ち

ましたがどうやって幕を引くのか、悪戦苦闘しています。

日本があの愚かな戦争で得た教訓は、戦争の幕引きがいかに難しいかということでした。



今から60年も前、日本は一億人の人口で、独伊その他の枢軸国を除き世界中ほとんどの国を相手にした

戦争を戦いあれだけの大惨事を起こしました。

もし中国が本気になって台湾解放(?)を始めたら、どうなるでしょう。

アメリカと戦って、中国が勝つか負けるかは私にはよくわかりません。

ただ明らかなことは、勝敗と関係なく中国が万一「十三億火の玉」になったらその人類に及ぼす影響は、

地球温暖化どころではありません。まさしく人類滅亡に直結するでしょう。

それを中国の首脳は、軍の幹部は、そして国民は(蚊帳の外に決まっているでしょうが)どの程度認識し

ているのか。それが私には心配です。



アメリカにも確かに戦争の好きな人がいるようです。

しかし今度のイラク戦争でもわかるように、同じくらい戦争を恐れる人がいます。

ベトナム戦争の時は民主党が起こした戦争の幕を共和党が引きました。

イラクでは共和党が起こした戦争の幕を民主党が引くのではないかと思います。

このあたりが民主主義国であるアメリカのよいところです。

中国は共産党が右といえば右、左といえば左という国。

もともと「由らしむべし、知らしむべからず」

(人民を為政者の定めた方針に従わせることはできるが、人民全てになぜこのように定められたかという

理由を知らせることは難しいという意味 出典:「論語−泰伯」)の国です。

ですから昔の日本と同様、戦争が始まったら最後まで「聖戦完遂」ということになるでしょう。

日本を軍国主義だと言っていますが、自分の国こそが本当の軍国主義だということに気がついていないの

でしょうか。

危険な火遊びは、人類の将来のため「歴史を鑑(かがみ)として」いい加減にやめて頂きたいものです。


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