2005.8.21
官と民についての私見


                                                                 増田 次郎

小泉自民党は「官業はできる限り民営に移すべきで、その象徴が郵政民営化だ」と力説

しています。逆に一部の政治家はテンポが速すぎるとか、郵政民営化だけが問題ではなく

ほかにもっと急がなければ問題があるとか、いろいろ反論しています。

官と民の問題については、皆様も既にご自分の認識をお持ちのことと存じますが、

私の私見をここで披露させて頂きたいと思います。

 

官に原価意識を持たせることは至難の業だと思います。

確か
30年くらい前のことでしたが、「パーキンソンの法則」という本を読んだことが

あります。インターネットで調べたら今でもこの本が売られているようです。

興味がおありの向きはお読みになることをお勧めしたいと思います。

この法則は「組織は一旦誕生したなら、たとえ存在の必要がなくなっても絶対になくならない」

といった具合に、組織が必ず肥大化することを皮肉たっぷりに述べたものです。



民間の営利企業でも、大企業病が問題になっています。

メーカーの場合、利潤追求の第一線である製造部門(コストダウンで経営から常に

ノルマを課せられている)、営業部門(売上のノルマがかかる)、経理部門(損益計算

業務を通じて常に業績に直面している)などはとにかく、総務部門や人事部門などには

下手をすると自己の所属する部門の権限維持拡大しか念頭にない人が多くなる可能性が

あります。製造部門にしても一旦取り上げたテーマを「やめた」ということの難しさは、

大変なものです。創業者が健在でしかもまだ若ければ大企業病にかかりにくいでしょうが、

創業から年数が経つにつれ次第に大企業病が忍び寄って来ます。



民間企業ですら大企業病を避けるのは容易なことではありません。

ましてや官業は本来利潤追求を目的としていないのですから、大企業病を避けることは

不可能です。また利潤追求に熱心になれば、税金を払っていないのに民業を圧迫している

と批判されます。今の郵政公社のゆうパックと宅配便各社の競争がその好例だと思います。

公社のままでいれば業務拡大にブレーキがかかりますから、経営合理化に限界があること

は間違いないでしょう。



ましてやほかの公社、公団の類には問題が山積しています。

道路公団の醜態が今注目を浴びています。四国に三本も橋を架けてしまった。

金輪際採算に乗ることはないと言われます。

東京湾横断道路も含め官業のプロジェクトには、採算に乗らないものが多いようです。

黒字の東名や名神は償却が終わった段階で高速料金が無料化されるはずなのに、高速道路

全体でプール計算するため未来永劫無料開放されることはないといいます。官業には選挙区

への迎合など、必ず政治家の思惑が入るので採算が無視されることが多いようです。



官から民への移行は、政治家と官庁の権限を握っていたい、手放したくないという気持ち

がある間は(その気持ちがなくなることはあり得ないでしょう。

私でもその立場にあったら手放したくないと思います)至難の業であります。

小泉さんが好きだとか嫌いだとかいうことは別にして、ここは小泉さんの蛮勇に任せたい

というのが私の気持ちです。広島にかの有名なホリエモンさんが亀井さんの対抗馬として

立候補するそうです。私はホリエモンさんの人生観、経営理念は全く気に入りません。

しかし郵政民営化に賛成というなら支持したいと思います。

本当は小異ではなく大異だと思いますが、目をつぶることにして大同につきたいと思います。



参議院では衆議院で郵政改革法が可決されても、参議院に廻ってきたらまた否決すると

言っている人がいるそうです。

まさか国民の意思に逆らってそんなことはできないと思いますが、そうなったら憲法改正

のとき参議院不要論が民意の大勢になるでしょう。

小さな政府のためにはその方がよいのかも知れません。

参議院の先生方は自分たちが国民のために本当に役に立っているかどうか、よく考えて頂

きたいものです。
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