2005.7.25
面白おかしく




                                                                増田 次郎

笑う門には福来たると申します。

何とかして人生を面白おかしく過ごしたいと思いますが、なかなか思うようにはなりません。

私も後1ヶ月で
77才になります。年をとるのは仕方がないけれど、問題は体力が落ちること。

それ以上に頭の働きが悪くなるのが、面白おかしく過ごせない最大のさまたげのようです。


お隣の部屋にいるF様は、この二、三ヶ月で急速に衰えられ、車椅子に乗られるようになり

ました。お年はまだ
84才。夏ですからお互いに窓を開けています。

夜になると「ヘルパーさん、ヘルパーさん、助けて」と叫ばれます。

だれも来ないと「増田さん、増田さん。助けて」と叫ばれます。

誤解のないように「増田さんが来たから誰か助けて」といわれたことは一度もありません)



仕方がないからときどき「どうしました」と覗くと

「動けないの。動かして」といわれます。

自力で動くことができない。寝ているしかないのは本当にお気の毒だとは思いますが、

私にはどうしようもありません。私自身が自分がひとりで動くのが精一杯なのですから、

他人様の面倒が見られるわけはありません。


F様は元小学校の先生で、人柄のよい奥さんでした。

しかし身体が動かなくなると、頭も衰え子供のようになってしまわれます。

悲しいことです。



前にも書いたことがあると思いますが、身体が動かなくなり意欲がなくなると頭脳の働き

も衰え、人間としての尊厳性どころではなくなります。

生きているということは、人間として理解力、判断力を持っていることが前提で、

それが失われれば何のために生きているのかわからなくなります。



私の畏友島 健二さんは人生85才定年説を唱えておられます。

この定年は知能年齢の定年です。

大体の方は
85才になられると脳の能力がはっきり衰え(もちろんもっと若くて衰える方も

ありますし、逆に
90才でも衰えを見せない方もあります)、いわゆる認知症の症状を呈し

てきます。淋しくかつ悲しいことであります。

島さんの言われるジコチューの症状がひどくなります。

何とかそうならないうちに、あの人はいい人だったといわれるうちに、この世からバイバイ

したいものだとひたすら願う今日この頃です。


このごろ久田恵さんの運営されるひなげし舎のサイトの、ナンセンスポエムに凝っています。

そこで「やっとこさっとこ」を行頭に読み込んだナンセンスポエムを一つご披露申し上げます。


 
やっさもっさで77

 ついに喜寿までやっては来たが

 年だけ重ねた

 腰曲が爺さん

 坂道下るときすっころげるな

 杖を落としても拾いもできず

 とうとう寝たきり

 困ったもんだ


お粗末でありました。こんなことにはなりたくないものです。

島さんといつも話すことですが、「何か面白いことおませんか」というのがわれわれの会話

の枕であります。大阪弁なら「儲かりまっか」というところですね。

返事は「ぼちぼちでんな」というわけです。



面白おかしくということは

「常に好奇心を刺激されている」「人間コンピューターが絶えずリセットされ、新しい情報

が入って来ている」ということだと思います。

面白、おかしく生きるべく、笑いの種を探しながら生きております。

                                                                     
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