2005.7.10
お隣の国々と



                                                                                                        増田 次郎


お隣の国は世界中どこでも仲が悪いようです。

インドとパキスタン、ブラジルとアルゼンチン、英国とフランス、ドイツとイタリーなど

例を挙げればきりがありません。日本も近隣諸国との関係には常に悩まされてきました。


江戸時代のいろいろな寓話には面白いものがたくさんあります。

私の覚えているものに「隣の家に倉が建ちゃ、わしゃ腹が立つ」とか「隣の家の喧嘩と

向こう岸の火事は大きいほど面白い」などは、ご近所に対する嫉妬の恐ろしさがものの

見事に現れています。国と国との関係も同じようなものです。




先ず日本と中国の関係から思い出してみます。

中国が近隣諸国を呼ぶのに使った東夷(とうい)、南蛮(なんばん)、西戎(せいじゅう)、

北狄(ほくてき)という言葉があります。

この東西南北にそれぞれ未開の野蛮人が住んでいるというのがいわゆる中華思想の根元で、

自らを中華と呼び文明の中心とし、日本は東夷の一つと考えてきたわけです。

その東夷の一つである倭国(日本の蔑称、現代語にすれば小日本にあたるのでしょうか)が

アジアの覇権を握ることは絶対に許せないというのがあの人たちの基本的な考え方でしょう。




日本人もかつて中国人をバカにしていました。

私が子供のころ、チャンコロという言葉がありました。

こういう言葉が死語になったのはよいことです。

願わくは中国でも日本に対する反感が消えてくれればよいのですが、

現在の中国の学校教育を考えると日中親善などということは所詮絵空事で、

百年、二百年と今後も現在の反感が続くことを覚悟すべきだと思います。


英国が香港を返還するときに中国は英国に謝罪を要求しませんでした。

香港が英国に支配されるようになったのは、

清朝末期のアヘン戦争で中国が敗北したからです。

私は英国が好きですが、これは誠に理不尽な話で中国人に同情していますし、

どう弁護しようと当時英国のやったことは正当化できないと思います。

しかしこれに対しては香港の場合返還の式典があっただけで、

中国側から英国に対し公式な謝罪を求めることはなかったし、

英国側から謝罪することもなく淡々と返還が行われたと記憶しています。

日本が相手だと何故居丈高に謝罪を要求するのでしょうか。

私には中国人の心の中に東夷の分際でという差別意識があるとしか思えません。




韓国、北朝鮮との間でも事情は同じです。

昔々朝鮮半島から大勢の帰化民が日本に来ています。

私の先祖も出身がそちらである可能性が高いと思います。

埼玉県の秩父地方には高麗(こま)のつく地名があちらこちらにあります。

中には百済の王子がお見えになったという言い伝えが残っているところもあり、

私はその方を祀った神社にお詣りしたことがあります。

日本は古来渡来帰化人に対し差別意識を持たなかったどころか、尊重していました。

今韓国で執拗に日本文化軽視、蔑視の発言が行われていることを聞くと、

日韓・日朝友好もこれまた不可能ではないかと思います。



ロシアも長い間日本と友好関係を結べない国でした。

これからも難しいでしょう。

この国も利害関係が一致したときだけ日本と仲良くしてきました。


国際関係とはもともとそういうものかも知れません。

日本と仲良くすることが国益につながる国だけが、親日国になる。

メリットがなければ親日ということはあり得ないと思うべきです。


日本は戦後60年、武力で外国を威嚇したりましてや武力を行使したことは一度もなく、

武器を輸出することもなく今日に至っています。

それを軍事大国である中国が、日本軍国主義復活と声高に叫ぶのは理解に苦しみます。

軍事大国としてアジアの宗主国でありたいと考える中国政府にとっては、

日本の軍事力が弱いことは国益に適うことなのでしょう。


日本が今後歩むべき道は非常に限られています。

親日が自国の国益につながる国と結ぶ以外に日本がアジアで生きて行く道はないと思います。

米国、台湾、インド、オーストラリアなどの諸国とは当面国益が一致していると考えられま

す。常に国益を念頭に置いて行動し、反日諸国とは最小限のお付き合いにとどめようではあり

ませんか。                                                   


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