増田 次郎
6月9日に手術をして膀胱結石を取り出しました。
一昨年秋の手術と比較すると出てきた石はごつごつと角張っていて、
とても指輪やイヤリングに加工するなどとはほど遠い不細工なものでした。
二回目の手術ではほぼ前回と同じところを切開して「膀胱ろう」をつくったのですが、
カテーテルへの締まりが悪く隙間からの尿漏れが現在も止まっていません。
このため退院が3-4日延びました。
やむを得ず膀胱に尿を溜めるのを諦め、常時「ウロバッグ」というプラスチックの小便
袋を携帯し、ここに常時小便を流しっぱなしにしています。
何しろ小便が絶えず流れ込んでいるのが外から見えますから、食堂などで皆さんがご覧
になるとさぞかし不愉快だろうと思い、布をぶら下げて隠しています。
美老年だなどと勝手なことを言っていたら、尾籠年になってしまいました。
情けないことです。
入院前に申し上げていた通り、一番恐れているのはまた結石が溜まることです。
「膀胱に尿を溜めず四六時中流していれば結石が溜まりにくいのではありませんか」と
ドクターに質問したところ、「その可能性はありますね」と言っておられました。
「溜まり水にボウフラが湧く」という諺があります。
それならこれを機に垂れ流しを続けてみようかとも思っています。
普通に生活していれば膀胱結石はまた溜まるだろう。溜まったらサイズが小さく数も少
ない内に内視鏡で掻きだしてしまおうとドクターは考えておられる。
「掻き出すときは痛いですか」と聞くと大丈夫だとドクターはおっしゃるが、どの程度
痛いのか本当のところはわかりません。
今のところウロバッグを歩行器につけて持ち運ばなければならない(小便が溜まるにつ
れ重くなる)こと。朝晩溜まったものを捨てなければならないこと。
醜い姿をお目にかけ、皆様の顰蹙を買いそうなこと。デメリットはこんなところです。
しかし石が溜まらなくなれば、そのメリットははかり知れません。
どうせ俗称「腰曲が爺さん」。
お前のことに注意を払って下さる方はいないよという声もあります。
これを機会に酒をやめます。
その代わりうまいものを食べることには手間を惜しまないつもりです。
金に糸目をつけずといいたいところですが、ないものはどうにもならず身分相応のご馳
走を食べたいと思っています。
幸いなことに頭の方はよくもならず悪くもならず、手術とは無関係でした。
翻訳のお客様から私の不在で困った話を聞かされ、私もまだ社会のお役に立っているこ
とを知り嬉しく思っています。後2ヶ月足らずで77才。
こんなに長く生きているとは思いませんでした。
しかしお客様が頼りにして下さる間は、仕事を続けます。
シルバーヴィラ向山の「銀杏」にも、この「やっとこさっとこ」のエッセーも、
皆様が読んで下さる間は(ブーイングが起こるまで)書き続けるつもりです。
身体と心の健康を維持し、ますます精神の若返りを図る所存であります。
よろしくご声援を賜りますよう、隅から隅までズーイとお願い仕ります。
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