若い人とタバコ、薬物の関係を断ち切ろう
増田 次郎
今から10年ぐらい前に、カウンセラーの養成講座を受けたことがあります。
そこで精神科の先生の講義を聴きました。
既にシンナー遊びの害悪が新聞などで話題になっていた当時のことです。
講義を聴いてショックだったのは、シンナーを吸引すると脳のある部分が破壊され、
一旦破壊されると二度と復活しないという話を聞いたことでした。
タバコも同じことだといわれました。
幸いなことに(?)私は貧乏で育ちましたので、タバコの配給をもらっても全て食べ物
に換えており、タバコを吸う習慣が身に付かずじまいでした。
もちろんシンナーを吸うなどという風俗は、私が生意気盛りのころは皆無でした。
前にも書きましたが、私は製紙会社に長年勤務していました。
専売公社(現在の日本たばこ)さんは私の勤め先の大事なお得意様でしたから、営業の
連中はタバコを吸わない男も専売公社の担当になるとタバコを吸っていました。
(担当が代わり公社との縁が切れると、途端にタバコをやめる者もいました)
私も仕事で公社の方にお目にかかることが何度もありましたが、タバコを吸わないので
その度に何となくばつの悪い思いをしました。
しかしとがめられることなどもちろんなく、長い勤務中を通じてタバコを吸わずじまい
で通しました。
製紙工場の現場はもちろん喫煙厳禁です。
現場勤務の愛煙家は、休憩室であわただしくタバコを吸ってニコチンを補充し現場に戻
っていました。休憩室の中は煙がもうもうと立ちこめていました。
そのころは受動喫煙などという言葉はなく、私もタバコを吸っている者の隣で平気で打
ち合わせをしていました。
本社勤務の時はもちろん部屋の中は紫煙もうもうです。
愛煙家のH君は座席の上の天井がやにで真っ黒。
皆それでも平気でタバコを吸うやつは吸う。吸わないやつは吸わない。
嫌煙などという言葉が社内で出るような時代では、ありませんでした。
H君は優秀な若手技術者でした。しかし定年退職後第二の勤め先で間もなく癌にかかり、
亡くなりました。温厚な人柄で、私と仲がよかったのですが残念なことでした。
かつて愛煙家だった私の友人も、今ではほとんどがタバコをやめています。
しかし愛煙家のY君は今でもタバコをやめません。
彼は肺気腫で息が切れるので、私と並んで歩いていると(私がのろのろ歩くので)息が
切れないで済むと喜んでいます。
肺気腫で苦しんでいる人は、私の知っている限りでは全員が元愛煙家です。
中にはお医者様もおられ、私はその方のお兄様(この方もお医者様です)から聞いたの
ですが、お兄様は「医者のくせに、何たる恥知らず」と大変怒っておられました。
タバコを吸ってよいことは、どうもなさそうです。
タバコを吸う人は大体1ヶ月に少なくとも5,000円くらいのタバコ銭を使っているのでは
ないでしょうか。
すると1年間に6万円。
30年間吸ったとして180万円。
今は超低金利時代ですが、かつての高金利時代だったら生涯に500万から600万円を煙に
してしまったことにならないでしょうか。
私の長男はかつて自分で給料をもらうようになってからタバコを吸っていましたが、
子供が生まれた時ぴったりやめました。私はやめろとは一言も言いませんでしたが、
自発的にやめてくれて本当によかったと思います。
次男も社会人になってから遊び半分でタバコを吸っていましたが、これも現在は完全に
やめています。 目次へ