2004.11.13
惚けない方法と老害

                                                           増田 次郎


一体全体年をとって惚けない方法があるのでしょうか? 

私にももちろんわかりません。

わかったら多分ノーベル賞がもらえるのではないかと思います。

ただ惚けにくくなる方法(条件)はありそうな気がします。

惚けやすい条件の裏返しといった方が正確かも知れません。

これはあくまで私の独断と偏見です。


こんなことを書いて自分が惚けたら恥ずかしいですね。

しかし惚けてしまえば、恥ずかしいこともわからないから、まあいいか。



年をとると、次第に頭から足の先まで全身が衰えて行きます。

近頃惚けというものは、人間の宿命ではないのかと思うようになりました。

これで3年余り老人ホームで生活していますが、身近におられる方々(私自身も含めて)

を見ていて次第に記憶力、判断力とも衰えて行くように感じています。


救いのない話ですが、人間は必ずいずれは死ぬもの。

惚けにブレーキをかけ、死ぬまでまともでいることができればよいわけです。

私自身は惚けにブレーキをかけるため、このエッセーを書かせて頂き、翻訳で頭をひねり、

シルバーヴィラの機関誌の原稿書きと目一杯頭を酷使しているつもりです。


さて囲碁・将棋の名人が惚けてしまったという話は、聞いたことがありません。

もちろん名人も次第に弱くなられるようです。

しかしそれは体力の衰えで、思考の持続力が低下し、長時間の勝負に堪えられなくなった

のではないかと思います。かつての覇者でも順位戦で負け続ければ、降格して行き、つい

には公式戦から引退されます。


先日来プロ野球で、幾人かのオーナーが不祥事の責任をとっておやめになりました。

お年は私より若い方もおられたようですが、失礼ながら心労もあるのでしょうが、随分お

疲れのようにお見受けしました。加齢とともに判断力が低下していることの自覚が、この

ような方は不十分なのではないかと思うのです。

この方々を惚け老人というのは、失礼かも知れません。

しかし先日までG球団のオーナーで、球界最大の実力者といわれたY新聞の社長さんは、

このところの言動で長年の経歴を傷つけられたのではないでしょうか。

老害という言葉は、こういう方のためにあるのではないでしょうか。

新球団に進出すると名乗りを上げた、若い実業人の姿をテレビの画面で見たとき、

つくづく老害の恐ろしさを思い知らされました。


私も老人ですが、このエッセーを読まなければ月給を下げるなどといえる立場ではありま

せん。誰も読む人がいなくなれば、原さんがもう書くのはやめなさいとおっしゃるでしょう。 

翻訳はお金を頂いていますから、お客様がお仕事が下さる間は大丈夫です。


老人の皆さん。

自分の仕事のできばえを常にチェックし、真剣勝負の場に身を置き、社会から退場を求めら

れないように頑張りましょう。

ボケ防止の方法は、それしかないのではと思いますが、いかがでしょうか。

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