2011.7.2
節電統制


「欲しがりません勝つまでは」これは戦時下の標語である。

戦争に勝つまでは、各自が我慢をし戦争に協力しましょうというものである。

「♪どんな短い鉛筆も、どんな小さい紙切れも無駄にしないで使います。そうです、僕たち私たち、欲しがり

ません勝つまでは〜」という標語が入った戦時歌謡、当時大ヒットしたようだ。

「節約は美徳である」無駄を省くことに異議を唱える人はいまい。

これを誰が否定できようか。否定できないところに、一種のこわさがあるのだが…。

福島原発事故は未だ収束せず、解決の糸口すら見えてこない。こんな状態では原発反対の声は高まるばかり。

こんな時、原発存続論を唱えれば非国民にされそうな勢いである。

「欲しがりませんエネルギー」「節電は美徳なり」今まさに、節電に協力しないと後ろ指をさされそうな気配

なのである。こんな空気が怖いと思うのはおばさんだけであろうか。


先日、おばさんが所属している合唱の演奏会があった。

節電でクーラーが入ったり消えたりするから、涼しい洋服を着用との連絡を受けた。

15%の節電をしないと通報されるのだそうだ。

大口需要家が強制的に対象となり、15%の節電を守らなければ、100万円以下の罰金が科せられるのだ。

演奏会前の会場は、クーラーを切っていたせいか、やや暑かったがお客様が見えてからは、暑くならない程度の

クーラーが入った。大病院の待合室もクーラー設定温度が低い。病院の待合室で扇子や団扇を扇ぐ人の姿が多く

みられる。店の照明電気もやや暗く設定、駅構内の照明も昭和時代にタイムスリップしたような明るさだ。

これ以上の灯りは必要ない、この程度の暑さは我慢しなければ、みんな協力しているではないか、もし大停電になっ

たらどうするんだ、と上段に構えられれば、従わざるを得ない雰囲気なのだ。


「電気足りないって本当なのかしら…。政府の言うことなんて信用できない」

「無理して節電する必要ないと思うけど、でも大停電も困る…」と、こんな声も聞こえてくる。

それでも、遅々として進まない原発問題。電気予報なるものも出てきた。テレビに新聞で大量に流れ来る節電報道。

節電の呼び掛けに、おばさんも知らずうちに、ここあそこと電気を消し始めるのだ。
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